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歴女様の異世界戦記  作者: 八百万
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情報が一番大事なの!

 カーラを捕まえた真由美はカーラを大きな木に縛り、城を取り囲む魔族たちに見せるように高い所に掲げる。


「カーラ様が負けた……」


 魔族の兵士たちには動揺が走る。


「虎太郎ちゃん、各城の兵士たちに魔族への総攻撃を命じて! あと、城の兵士たちに味方の数を言う時はわざと十倍の数で言って、敵に実際よりも多い援軍が襲ってくるように錯覚させるのよ!」


 真由美は赤穂浪士が吉良邸討ち入りの際に実際の人数より多い人数に感じさせるように実際の十倍の人数で呼び合っていたことを思い出し、同じ手法を用いた。


 総大将であるカーラを討ち取られた上に、実際は各城5千の兵なのに、5万以上の軍勢が背後から攻めてくるという情報が駆けまわり、魔族のの中には敗戦への動揺が走る。


「さあ、私たちも城から打って出るわよ! 城を囲んでいる魔族の兵士たちにこちらの強さを見せてやりなさい!」


 真由美が手に持っている扇子を前方に向けると、兵士たちは一気に城門を飛び出し、魔族の兵士に襲い掛かる。


 挟み撃ちにされた魔族の兵士たちに既に戦意はなく、逃げ惑うところを次々と人族の兵士たちに討ち取られていく。


「目の前で討ち取れる兵士だけ討ち取りなさい! 逃げ切る相手は深追いしなくていいわよ!」


 真由美は勢いづく兵士たちに敵を深追いしないように伝える。


「真由美さん、逃げる敵を追わなくていいのか?」

「小次郎さん、逃げた敵は私たちの強さを仲間に伝えるわ! 広告マンを殺すのはもったいないでしょ?」

「君はエグイな……」


 苦笑いをする小次郎。


「エグイ? あなたの能力の方がエグイわ! あのカーラって女が少し不憫に感じたもの」

「おいおい、君の指名でアイツと戦ったんだぞ!」

「そうだったわ! でも、頼りになったわ!」


 真由美は小次郎に手を差し出す。

 小次郎も真由美の手を見て右手を差し出し握手する。


「ねぇ、不思議じゃない?」

「何が?」

「あなたにうっかり手を握られたけど、ラッキースケベが発動しないわね……」

「言われてみればそうだな……。まあ、でも敵を退却させられてよかったじゃないか?」

「そうね……」


(あれ? ラッキースケベって、彼が美人と思う女性にしか発動しないわけじゃないわよね?)


 真由美は少し引っかかったが、大勝利の瞬間であったので、そのまま流すことにした。


「あ~あ、静香さんや小次郎さんは活躍できて羨ましいな~。俺は小鳥使って情報収集してただけだから……」


 真由美と小次郎が握手する脇でいじける虎太郎。


「虎太郎ちゃん、この戦いの一番の功労者はあなたよ!」

「え、なんで? 俺は情報を伝えていただけだよ」

「桶狭間の合戦の第一功は今川義元が桶狭間で休んでいることを織田信長に伝えた梁田正綱やなだまさつなという侍よ。戦で一番大事なのは正確な情報なの! だから、あなたは胸を張っていいわ!」

「そ、そうなんだ……。俺が一番の功労者か……」


 虎太郎は少しキョトンとした表情をしていたが、真由美から一番の功労者と言われ、笑顔に変わる。


「さて、そろそろマリアちゃんをジャージから解放してあげるか!」

「そうですね。私もこのドレス落ち着かないし!」


 4人は勝ち戦の余韻に浸りながら、マリアの元へと向かうのであった。

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