"黄色い石"
「アーロン様。祭壇の方へ。」
教皇に言われ、アーロンは神像の前に向かい、手を合わせて祈る。
「(いいのとは言わないけど、並以上の天啓が出ますように!)」
アーロンの頭上に炎の形をした赤色の光がやってくる。自分も魔法系、火属性の適正とかかな?とアーロンや周りの人々が思う。赤色の光がアーロンに入ろうとしたその時。彼の耳に何かが聞こえた。
.....外部からのアクセスを確認。自己防衛システム起動。.....神経活動をスキャン中。意識を確認しました。これより個体名アーロン=ベイリーに対し、ファイル*******をダウンロードします。
........完了しました。*******のダウンロードは秘匿され、偽の”天啓”として表示、機能します。マスターからの通達があります。”我々に失敗は許されない。世界を無駄死にさせることなきよう。*******が行使される事態が発生しないことを切に願う”....
赤い光がかき消され、どす黒い巨大な何かがどこからともなく飛んできてアーロンの体内に入る。儀式は終わった。本人も含め、辺りのすべての人間が驚きを隠せないようだ。しばらくたった後、グレイスの時とは比にならないぐらい周りが騒ぎ出す。
「...はっ!静粛に!アーロン様の天啓は...何と呼べばよいのでしょうか...私の頭に入ってきたのは奇妙な文字列で意味が分かりません。アーロン様、なんという天啓を授かったのか確認していただけますか?」
「えーと、”黄色い石”?って書いてあります。説明の欄には”我々はなぜこれを造らねばならなかったのか”ですね...能力の欄には”異常に抵抗する力”とあります。どういう意味なんでしょうか...」
「初めて聞く天啓ですので私にもわかりません。しかし、説明の欄...ですか。普通はそんな欄はありません。私にも、他の皆様にも。何か特異な天啓であることは間違いないでしょう。その天啓を行使するときには周りに気を付けて行使なさってください。その天啓が何をもたらすか分かりませんので。」
「はい...分かりました」