英雄が生まれた日
一月一日、ここに、私が共に歩んだ英雄の記録を残そうと思う。
皇歴三〇六〇年、
ここ【プシュケー皇国】にある、名もない辺境の村に、子供が生まれた。
子の名は【アルタイル】、後に世界を変える英雄の誕生である。
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『トタタタタ』
せわしない足音が近づいてくる。
「ハァハァ、、、旦那様、生まれました!」
『バンッ』『ガタッ』
そこに座っていた男は机に勢い良く手を叩き付け、椅子を倒して立ち上がる。
「本当か!性はどっちだ!?男か?女か?」
「奥様の下に行って、聞いてみてください」
そう言われると男は勢い良く走り出す。
『ダッダッダッ』
豪快に走る足音が家中に響く。
『バンッ!』
勢い良く扉が開かれる。
そこには白い大きなベッドがあり、
顔を赤らめた女が上半身を上げ、赤子を抱き上げて男の方に向く。
「あなた、静かにしてちょうだい、この子が起きちゃうでしょ」
そう言ってその女は、男に対し、口元に手を当てて「し~」
という動作をし、男を手招きする。
男が近づくと女が口を開いてこう言う。
「あなた、男の子よ」
そう言って隣に座った男に微笑みかける。
男はそれを聞き、
「じゃあ将来は軍人さんかな?だとしたら剣を教えてやらないとな」
そう言って、子の頬っぺたを優しくつつく。
男はつつきながら、女に顔を向け、言う。
「なぁ、この子の名前はどうする?」
そう言われ女は、「う~ん」と悩みながら、
自分が抱いている子を眺め、考える。
そうしてると、ふと、頭に名が浮ぶ。
「アルタイル」
浮かんだその名をボソッと口走る。
それを聞いた男は口角を上げ、
「良い名じゃないか!」
と言って、抱いてる子に注意を払い、女を優しく抱きしめる。
そして二人共下を向き、
「「これからよろしく、アルタイル!」」
そう言って微笑む。
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アルタイルは生まれた時は泣かずに寝ていたらしい。
これは彼の両親から聞いた事だから間違いない。
普通の親なら心配するだろうが、この両親は天才の証拠だと思ったらしい。
記録:一月一日【ニック】
これが書籍化して、コミカライズが出来る様に頑張ります!