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42 《毒虫姫の系譜》



頭蓋骨を砕かれたフクロウの悪魔が、ドサリと音を立てて、大森林の湿った大地に倒れる。


勝負に時間はかからなかった──。ゴリラの悪魔の高い攻撃力と、的確に逃げ場を潰すリスの悪魔のコンビネーションに襲われ、フクロウは瞬く間に体力を消耗した。


動きが鈍ったその瞬間に、ゴリラの右フックが頭蓋骨を粉砕した。戦いの次元は高かったが、決着はあっという間だった。


つまり何が言いたいかと言うと──、俺は経験値を貰えなかったという事だ。


『いやはー、圧倒的やな。え、何でそなに怖い顔しとるん····』


どこからかバサバサと姿を現したオニオオハシに、サソリ特製笑顔を向けておく。ほら、笑うとちょっと口の部分が上がるんです。


『まぁ、わしゃぁもう出番は無いんでな。後ろで観させてもらいますわぁ』


長いクチバシで呑気に爪を噛むオニオオハシを横目に、気を引き締める。こっからが本番だ。このホッパー達と俺だけで、フクロウと同格の奴を仕留めるのだ。


緊張するが、楽しみだ。




◇◇◇


 ゴリラ達と道を走る道中、すぐにそいつは見つかった。


毒々し紫色の棘の付いた外骨格の鎧を被り、ゆっくりと森の地面を歩いている。


ゾッと背筋を駆け抜ける悪寒が、戦いに対する焦燥感を煽る。


『思ったよりも時間が無い、すぐに離脱させてもらうが·····あとは任せるぞ』


サソリに任しとき。

バッチグー。


俺の返事に頷いたゴリラの巨体が加速して、緩慢な動きの最中のキリギリスの横腹を殴り飛ばす。


 空気が歪んむかのような錯覚の後、キリギリスの悪魔の装甲が窪む。木々をなぎ倒しながら体ごと吹き飛んだキリギリスの悪魔がゆっくりと身を起こす横を、ゴリラとリス様が走り抜けた。



こっからは俺らだけだ。


過ぎ去って行ったゴリラ達を無視して、のろのろとこちらに近づいてくるキリギリスを睨む。


 遠目でも分かるほど赤く光る眼球に機械的な動きも相まって、異様なカラクリ人形じみた不気味さを纏っている。


「〝毒針発射〟!」



[スキルレベルが上がりました]

Lv2→Lv3



 幸先よく放たれた毒針が、ゴリラのパンチに凹んだキリギリスの装甲に突き刺さる。

後はじわじわ毒が効いてくるのを祈るのみだが、こちらに向かって歩みを進めるキリギリスにダメージが入った様子はない。


「まぁこんなもんか·····やっちまえ!野郎ども!」


「「「キシキシ···!!」」」


地面に張り付いていたホッパー達が、一斉に飛び立ち、宙を舞う。黒い竜巻と化したバッタの群れは、キリギリスの巨大な体を埋め尽くし、その表皮に齧り付く。


ひぇっ、こわ·····。ゾゾっとくるわこんなん。


 バリバリと音を立てて体を齧るバッタ達を無視して、キリギリスは真っ直ぐ俺に向かってくる。


·····?なぜ俺を狙うんだ?



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