40 舞台
〝じゃ、ブラザー、また後でなー〟
おう·····。
軽くそう言って、リス様と蜘蛛に別れを告げる。
真っ黒な太陽の光は、大森林の鬱蒼とした樹木に遮られて波を作る。その現実離れした景色を眺めながら、作戦を復唱する。
~〜〜
『サソリには、ホッパー隊の指揮を執ってもらう。』
なんだそれ。
首をかしげた俺に、ゴリラが簡単に説明する。
『バッタの悪魔達の群れだ。』
それを俺が?
『同じ虫族の方が何かと都合がいい。彼等はなんと言うか·····あまり知恵のある方ではない』
なるほどねぇ。
·····で、その隊で何をすればいいんだ?
『虎の悪魔には、幾つか強力な配下がいる。』
ゴリラが、薄い木の板に彫られた地図を指さす。
『ここが虎の悪魔に占拠された洞窟だ·····。配下達は、その周囲を囲むように配置されている。』
地図には4つの点が赤く彩色されており、その内の二つがバツで打ち消されている。
『配下の内、トカゲの悪魔とカエルの悪魔は討伐済みだ。カエルの方は君も戦ったから覚えているだろう。』
ゴリラが来てくれていや助かったよ、ほんと。
来なかったら死んでたもんなー·····。
『残り二つの配下は、キリギリスの悪魔とフクロウの悪魔だ。フクロウの悪魔は始末する。キリギリスの悪魔は単体ではあまり驚異ではない』
この作戦の目標は、現在虎の悪魔が根城にしている洞窟を奪う事だ。洞窟は、地下の細いトンネルに繋がっており、それは森一体に広がっている。
手順としては、
味方の一隊が虎の悪魔を洞窟から出させ、引き付けているうちに、ゴリラが本隊を率いて洞窟を奪取するのだが、恐らく途中でフクロウの悪魔に見つかるため、交戦は避けられない。
なので、全力を注いでフクロウの悪魔を手早く倒した後は、ゴリラ達はキリギリスの悪魔を無視して洞窟に向かう。俺はホッパー隊を使ってキリギリスの悪魔を足止めする。
····了解したぜ。
キリギリスの悪魔は倒して問題ないんだろ?
『勿論だ、洞窟を占拠したら狼煙をあげる。そこからは仕留めに行ってくれ』
最低限の時間稼ぎの後に討伐すればいいわけだ。
『それでは····頼んだぞ』
〜〜〜〜〜
熱帯の樹木の間をすり抜けて進むと、それは見えてきた。
地面一面にびっしりと張り付くバッタの悪魔達·····。
グロい·····。
敵じゃなくてホントに良かった·····いろんな意味で。
キシキシと、背筋のゾッとする鳴き声を立てるバッタの群れを眺めながら、木の上にいる鳥に話しかける。
なかなか壮観ですねぇ·····いろんな意味で。
『でしょう?勝ち筋しか見えませんな、こらぁ』
派手な色をした大きなバナナ型のクチバシを打ち鳴らして、鳥が答える。ビジュアルはオニオオハシに近いか。だがやはり目は真っ赤で、クチバシも普通の物とは異なっている。
いや、オニオオハシも目赤かったっけ?一回ペットショップで売ってるの見たことあるが·····。
『んじゃ、ぼちぼち行きましょか』
ういー。
この胡散臭い関西弁のオニオオハシは、テレパシーのエキスパートだ。戦闘力はないが、付近一帯のテレパシーに影響を与える事が出来るらしい。
早い話、敵の悪魔が虎の悪魔に連絡を取れないようにする妨害電波要員だ。
ほんじゃ行くぞお前らー
バッタの大群が動き出す····。一見、俺の思念を受けたように見えるが、俺はまだテレパシーが上手くない。ここしばらくで少し出来るようにはなった気もするが、これだけの数を相手に使うのは無理がある。
俺の命令は、全てあの関西弁を通して伝達される。実はオニオオハシが作戦の一番のかなめなのだ。オニオオハシは弱いが、勿論そこも大丈夫。
肩に乗っけた小さなカメレオンの悪魔が、姿を隠す手伝いをする。
これ以上無いほど完璧な状態だ。
フラグになりそうだが、確かにオニオオハシの言う通り、勝ち筋しか見えない。
飛び跳ね、羽ばたいて進むバッタの後ろを、追いかけて進む。
んじゃぁこっから、戦争開始といきますか!
ブクマ、高評価よろしくお願いします!(_;´꒳`;):_




