33 辺ー疾駆韻咬蟲(ベーシックインカム)
〝仲間たちだ····〟
ゴリラについて森を進むことしばらく────。
熱帯雨林のようだった森は、針葉樹と広葉樹の入り混じる不思議な景色に姿を変えた。
そのどこかちぐはぐな森を背景に、木材を組み合わせて作られた建築物のようなものがドンと建っていた。そしてその前にいた、これまたちぐはぐな生き物がゴリラに話しかけた····。
「〇△□✕%※」
「…;/→〃)…>*△▼」
謎の角のようなものが生えたヤギ(?)とゴリラが、よく分からない言葉で話す────。
『悪魔にも言葉があったんだな····』
転生後初の言語登場に、ちょっと興奮。·····まぁなんて言ってるのか分からないのだが。
〝お客さんですネ?〟
キーキー声が、頭に直接語りかけてくる。振り返ると、小さな角の生えたリスがいた。
〝こちらへどうゾ〟
チョコチョコと駆けるリスに着いて、緩やかな木の幹を登る。そう高くない場所に、小ぶりの家が建っていた。どうやらこの周囲には、樹木の枝葉に隠れたツリーハウスがいくつもあるらしい。
ドアはなかった。入口にポッカリ空いた穴をくぐって、中に入る。
低めの平べったい天井から、何かがスルスルと降りてくる。
〝やぁ兄弟、どっから来たんだい?〟
大きな蜘蛛が、天井からぶら下がりながら俺に話しかけた。
でっか···!1メートル近いぞ、ゴライアスバードイーターもビックリ!·····まぁ俺も同じくらいのサイズだけど。
『しかしどいつもこいつもテレパシー使えんのか·····』
ちょっぴりジェラシーなのだ。
〝群れてればすぐに使えるようになるさ。むしろ俺はお前が羨ましいぜ、ブラザー····孤独は悪魔の誇りだぜ。〟
そうなのか····。
だが俺は口から話せないから意思疎通の手段は欲しいな。
考え込むサソリを他所に、蜘蛛とリスが見つめ合う────、
『テレパシーで話すと周りからはあんな風に見えるのか····』
なんか気まずいな。手持ちぶたさだ····。
しょうがないのでボケーッと辺りを見回す。サソリは視野が広い。───なんか、よくわかんないくらい広い。
悪魔だからなのかサソリだからなのかは分からないが、視覚が300度に近い。
体も高性能だし·····もう人間がサソリに勝てる所が浮かばなくなってきた。····いや、景色か。
サソリになって体高が縮んだので、周りの景色がやけにのしかかってくる錯覚に陥る。
····いつか人型になれるのだろうか?
俺が今後のことに思いを馳せていると、話を終えたらしいリスがこちらを手招きした。




