28 覚悟
くそがっ·····
前の見えない程に濃い霧の中、物凄い風の唸りと共に、俺のすぐ隣の地面を何かが抉る。
猛スピードで飛んできたそれは、再び一瞬で引き戻されて視界から消えた。
飛び散った泥を体に被りながら、僅かに得た安全時間を使って思考する。
·····舌だ。
あのカエルと戦い始めて数分····。
立ち込める霧に阻まれて、まだ一度もカエルの姿を見ていない。
実はこちらも何度かスキルの《毒針発射》を打っているのだが、手応えも無いし、あのカエルに毒は効かないだろう。
·····攻撃の仕様が無い。
よく考えられた作戦だ·····。
目の前が見えない程濃い霧をばらまいて、相手が戸惑う隙に、よく伸びる舌で一方的に遠距離攻撃····。
同格との戦いでは微妙だが、格下相手の狩りならばこの上ない戦法だ。
俺は毒耐性のスキルがあるから分からないが、恐らくこの霧は毒だ。
まぁ色見れば分かるが。
ここまで頭の中で考えた瞬間、辺りの空気が流動した。
·····来た!
咄嗟に横にジャンプして、猛スピードで飛んでくる舌を避ける。
何回も避けている内に、カエルは舌の遠距離攻撃をする時には大きく息を吸う癖がある事に気付いた。
甲殻で微量な空気の流れを感じ取る。
カエルの攻撃は俺にとってオーバーキル····神経を研ぎ澄ましていないとあっという間にお陀仏だ。
現時点での懸念は、カエルがしびれを切らして新しい攻撃をしてくる事だ。
避けるのに精一杯な以上、今新しい攻撃を出されたら対応できる気がしない。
カエルのピンク色の舌が、再び唸りを上げて地面を抉る。
鈍い黒に光る鋏を打ち鳴らして覚悟を決める。
『〝土遁Lv1〟!』
一か八か、やるしかねぇか·····!




