19 進む
足元の草がザクリと音を立てる
おっと、慎重に慎重に·····。
鹿との戦いから早くも4日が経った。
また鹿みたいなやつに出会ったら大変なので、周囲を警戒しながら進んだのだが、その後は特に何事も無かったので正直拍子抜けだ。
俺より大きな生き物には会わなかったが、小さな生き物はちょくちょく見た。
リスだの蜘蛛だのバッタだの·····。
湿った落ち葉を踏みつけて水たまりを跳び越す
どうも森の様子が変わっている····。
最初に入った頃はThe・北欧樹林みたいな感じだったが、今では熱帯雨林だ。
あ、カエルだ。
····。
まぁとにかく進むしかないのだが····。
頭上から垂れ下がる蔦を避けて先を目指す
実はさっきから水の音が聞こえている。
小さな川のせせらぎってヤツだ。
·····といっても、どうも空気が淀んでいる気がするんだよなぁ。
クロロロロロ····クケケケケケ····
どこかで何かが鳴いている
曲がりくねった樹木は大抵蔦が絡まっていて、足元の地面には所々に苔や雑草が群生している
こりゃ完全に熱帯雨林だな····。
あ、キリギリスだ。
····やっぱりどんな生き物も体が黒ずんでて目が赤いな····。
こんなに小さくても悪魔って事か····。
そんな事を考えながら歩いていると、急に体が軽くなる。
!?·····え?
何だ急に?
この軽さってもしかして····
パッシブスキルの〈ランナーLv2〉?
でもあれって戦闘中に発動するんだよな····。
って事は·····
俺は今、狙われている?
何時どこから何が来ても良いように身構える
·····。
うるさかった鳥の鳴き声が消え、気がつけば、さっきまで苔の上にいたバッタの姿も見当たらない。
身構えながらゆっくり進む
·····!あれは·····。
突如、樹木が途切れる
開けた平地には、木の代わりに大きな沼が広がっていた
ゲロ·····ゲロ·····グコグコグコ·····
沼の中心には小さな小島が浮かんでいた·····化け物みたいにどデカいカエルを乗せて·····。