15 再放浪
よしっ、そろそろ出発するか!
魚を倒してから数日が経った。
オアシスは相変わらず健在だが、魚の死体は骨だけとなっていた
まぁ俺が食ったんだけどね。
·····うまかった。
腹も膨れたし水も飲んだからまた放浪の旅に出ようと思う。
さぁ出発だ!
まだ見ぬレベルへ!
荒野を、駆ける
レベルが上がったお陰か、体に力が漲っている。
全身の毛が風を受けてたなびく
·····オアシスで体を洗っておいたので、毛はフサフサだ。
風が気持ちいい。
走る····走る·····
前世は走るのが嫌いだったのに今では気持ちよくてならない。
·····種族の差か。
◇◇◇
走り続けて数時間──────
岩と苔だけの荒野の景色は、180度表情を変えた。
苔が消えた代わりに、背の低い樹木がまばらに生えはじめた
そして何より·····
あれは····森?
地平線の彼方に薄らと見える黒い影····雰囲気からして針葉樹の森の様だ。
·····ん?
走りを止めて少し後ずさる
そこには、殺伐とした荒野に似合わずミスマッチした木の看板が立っていた
この先距離500《ロウワァー大森林》
場の空気に合わない看板よりも、文字を書く事が出来る生き物が近くに居るかもしれないことが酷く恐ろしかった。