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闇の異世界ショッピング  作者: 未来
1 転生前の闇ショッピング
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2「もりもり筋肉改造もりぞう君」 購入者:盛蔵北斗(16) 視点

 

 盛蔵北斗(16)は体格がひ弱な高校1年の男子だ。

 運動も勉強も苦手で周囲の人たちからも「ひ弱」「がりがり君」と馬鹿にされており、本人も強いコンプレックスを持っていた。


 高校に入学して数日。盛蔵はクラスのリーダー格たちから昼飯を買ってくるように命令されたもちろん、盛蔵の金で。

 近くのコンビニで昼食を買い、学校の教室へ戻りいじめっ子の元へ息を切らして戻ってきた。


「はぁ、はぁ…」


「おいおい、てめぇ遅いぞ!! そこのコンビニいくのにどんだけかかってんだ、このノロマ野郎!!」


「おいおい、こいつは何もできないひ弱なんだから。いくら言っても無駄だよ」


 いじめっ子たちが笑いながら盛蔵の買ってきた昼食を奪い食べ始める。

 盛蔵は悔しそうに涙をこらえていたが「あぁ、ライターがねぇ」とまたコンビニに行かされる。


「もういやだぁ…」


 いじめっ子たちは家が裕福でクラスの人も先生も助けてくれない。

 むしろ、自分達に矛先が向かないようにいじめっ子たちに加担して周囲からも盛蔵はいやがらせを受けていた。


 コンビニを往復され空腹のまま午後の授業を終え、放課後になるといじめっ子たちが所属しているバスケ部の手伝いをさせられる。ひたすら誰からシュートしたボールを拾い、時には飲み物まで買いにいかされるが、もともと体力がなく空腹だった盛蔵はすぐに顔色を悪くして体育館の端に座りこむ。


「おいおい、なにサボってんだよちびがぁ!!」


「俺たちはお前を鍛えるために使ってんだ、さぼってんじゃねぇ!!」


 バスケットボールを投げつけられる盛蔵。盛蔵は体を小さくし投げつけられるボールの痛みと誰も助けてくれない悲しさに涙が出た。

その後、いじめっ子たちは掃除を盛蔵に押し付けてカラオケに行ってしまう。


 帰りが遅くなりつらみと疲労でベッドの中に入る盛蔵。

 自分の体の弱さや誰も助けてくれない周囲に恨みながらスマホを出し「自殺」の方法を探す。検索すると「自殺防止の電話番号」や「相談所」の場所が一番上にくるが、盛蔵は検索を続けると「闇ショッピング」のページを見つけた。


 最近、変な商品を扱っていると噂で聞いており。もしかしたら、楽に死ねる道具でもあるのかといくつものページを経由した。すると「もりもり筋肉改造もりぞう君」の写真と効果の書かれたテキストが出る。


(飲めば誰もがマッチョに…)


 値段も親から渡された食事代を何日か抜けば帰る金額だったので、盛蔵は怪しげなその商品を電子マネーで購入した。すると、翌日。学校に行く前に郵便桶を除くと「闇のショッピング」のロゴが書かれた袋があった。


 慌てて袋を開けると、中には「もりもり筋肉改造もりぞう君」があった。

 怪しげな薬を見て盛蔵は戸惑っていたが、頭の中に自分をいじめていたクラスメイトのことが浮かび「どうせ今日も学校に行ってもいじめられるだけだ。この薬を飲んで死んでもいいかぁ」と錠剤を全て飲んでしまった。


 次の瞬間着ていた制服が弾け盛蔵の体が巨大化し皮膚が変色していく。


 数時間後。盛蔵の通っていた学校にて悲鳴が上がった。


「あ、あぁぁ!! うでが、俺のうでがぁ…」


「ば、バケモンだぁ!!」


 盛蔵をいじめていた男子たちの死体が転がっていた。

 教室には緑色に皮膚が変色して、上半身裸で破けたズボンを身に着けた筋肉の怪物がいた。


「ニンゲン、ニクイ…ニンゲン、アク…」


 怪物の正体は「もりもり筋肉改造もりぞう君」を自殺覚悟で全て飲んだ盛蔵だった。

 いじめていたクラスメイト達を殺しその後も自分を助けてくれなかった生徒や先生に向け復讐した。


 力の限りに暴れた盛蔵は倒壊した学校のがれきの上で吠えた。

 だが次の瞬間、体中の筋肉が一瞬膨脹し盛蔵の体がはじけた。


 


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