第26話 美姫さんvs成人式
おじいちゃん(美姫さんの父)の家に遊びに行くと、おじいちゃんは写真を見ていた。
美姫さんの写真が大量にある。
「ショウくんは、美姫さんの写真要らないかい?。」とおじいちゃんが僕に聞いてきた。
「いらないよ。」と僕が答える。
「でも、可愛いぞ。ほら、これなんか美姫さんが初めて歩いた時の写真だよ。」とおじいちゃん。「あっ、これは初めてレモンを食べた時の顔だよ。この“酸っぱい”って表情が何ともいえないよなぁ。」とおじいちゃんは、写真を一枚一枚見ながら感傷にひたっている。
―― この光景、つい最近、どこかで見たような気がする……。
あっ、美姫さんだ。学校の宿題で【成長を振り返ろう】ってのがあって、小さい頃からの写真を持ってくるように言われた時に、僕の写真が大量にあったっけ。
今のおじいちゃんみたいに美姫さんがずーっと写真を見ながら感傷に浸ってて、なかなか学校に持っていく写真が決まらなかったんだ。 ――
そんなことを僕が思っていると、「ショウくんも、この写真は要らないのか……。美姫さんも要らないって言ってたしな……。さて、どうするかな。」とおじいちゃん。
「貴方が亡くなった時に、全部、お棺に一緒に入れてあげますよ。」とその様子を見ていたおばあちゃんが言った。
「そりゃいいな。」とにこやかになるおじいちゃん。
「良子(おばあちゃんの名前)さんにも入れようか?。」とおじいちゃんがおばあちゃんに聞くと「私は、お花の方がいいわ。」とおばあちゃんは答えた。
おじいちゃんがお棺に入り、周りに美姫さんの写った写真がたくさん飾られているのを想像すると不謹慎だけど、ちょっと笑える。
その時、アルバムの表に【美姫 成人式】という字が見えた。
「これ、見てもいい?。」僕が言うと「おう、いいぞ。」とおじいちゃんが、写真に興味を示した僕に喜んでそのアルバムを見せてくれる。
【平成〇〇年成人式】と最初のページに書いてあり、着物を着た美姫さんが写っていた。
成人式の会場で写したのであろう、“平成〇〇年 成人式”と書いてあるパネルの横でにこやかにポーズを取る美姫さん。美姫さんにもこんな時代があったんだと思ってしまう。
それから、友達と思われる人と一緒に写った写真が何枚かあった。僕の知らない美姫さんだ。
「お父さんとは一緒の写真は無いの?。」と僕が聞くとおじいちゃんが僕が見ている写真をのぞき込み「この時は、まだいないんじゃないのかな?。」と言った。
“まだ、いない――。”の意味はよくわからなかったが、そのうちにお父さんも一緒に写っている写真があるのかなと思い、アルバムのページをめくっていく。
すると【平成〇△年成人式】と書かれたページになった。
さっきまで見ていた写真のちょうど一年後の成人式だ。僕が首をかしげながら写真を見ていくと“平成〇△年 成人式”と書かれたパネルの横でにこやかに写る美姫さんの写真がそこにはあった。変わっていると言えば、先ほど見た成人式のパネルからの一年後のパネルという事と、美姫さんの着物がかわっていた。
「おじいちゃん、これってどういう事?。」と僕が聞くとおじいちゃんは写真をのぞき込み
「この平成〇〇年ってのは、美姫さんが十八歳の時だよ。美姫さんが、着物を着たいって言うから、美姫さんはショウ君を産むまで、何年間も成人式に参加してたんだよ。」
とおじいちゃんは言い、成人式のパネルの横で着物を着てる美姫さんの何枚もの写真を見せてくれた。
そういえば、毎年、成人式のニュースを見るたびに「いいなぁ~。成人式。また、行こうかな~」って美姫さん言ってたっけ。
美姫さん、もうアウトだよ。
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次回もお楽しみに!




