第2話 美姫さん vs PTA
世の中のお母さん方にとって四月は憂鬱な時期だといえると思う。
美姫さんが朝から吠えている「あのさ、何でお母さんになったら、人前で話をすることもどうもなくて、ボランティア活動が大好きで、バレーボールができて、運動も好きな設定になるわけ?なんの嫌がらせ?」
四月は、PTAの役員決めがある。そして学校の年間行事が配られる。一年間の学校の活動内容をみると吐き気がしてくるそうだ。
まぁ、皆さんもお察しの通り、美姫さんが参加する訳がない。「ショウは大好きだけど、ショウが好きな事と子供のためなら出来るって言うのと話が違う。」と美姫さんは豪語する。
大概の家は、文句を言いながらも渋々していると思うが、美姫さんは違うし絶対しない。
低学年の頃は、美姫さんは大学生のバイトを雇っていた。PTA活動のたびに僕のお母さんに扮した大学生がくる。毎回、違う人がくるのでばれてしまい、PTAで個人的にバイトを雇って活動に参加させるのを禁止とするという内容のがPTA発刊の新聞が配布された。
美姫さんは、それを知った時「心の狭い人たちめ。」とボソッと呟いただけだった。
自分が行かないといけないから、焦るんじゃないかと僕は内心ドキドキした。
焦った美姫さんも見てみたいと思ったからだ。美姫さんは、焦らなかった。
“両親が忙しいので、同居の祖父に役員をしてもらいます。”といい、おじいちゃんをPTAの会長にさせた。
会長は、成り手がいないために進んでしてくれるおじいちゃんをPTAの方々は喜んで受け入れた。ちなみにおじいちゃんは同居していないのだが。
もちろん美姫さんも働いていないし、お父さんもそんなに忙しくはない。
美姫さんから言わせたら「みんなハッピーだから、すべてOK」だそうだ。
ちなみに僕が幼稚園の時は、バイト生と年間契約をして本部役員になってもらっていた。これも幼稚園にばれてアウト。
そりゃそうだ、親子参加の時と親のみの活動の時と人が違ったら誰だった気付くだろう。「せっかく、高額バイト代を払ったのに―。」と悔しそうな美姫さんがいた。
小学校でも、なぜまた同じ様な事をしたかって?小学校は、親子参加の行事がほとんどないからばれないと思ったそうだ。「私も少しは学習したんだよ。今度は、一回ずつバイトを募っているから、そんなにお金をかけなかったよ。」と得意げな美姫さんだった。
読んでくださりありがとうございます。
次回もお楽しみに!