【実話】雲【新耳袋風】
Fさんの話
Fさんは実家暮らしで、一度病気になってからは資格あるけど戻りたくないとバイトを転々としている人
着ぐるみ被ったり、試食販売したりと色々楽しんでいるようだった
「…あれは今でもなんだったんだろうねー」
不思議そうに言う、今年遷宮した某社…の某県に居た頃に見たという
ある美術館で長期の清掃のバイトをしていた時、休み時間になると綺麗な湖を眺める為に窓に近寄って
ぼんやりと外を見ているのが習慣になっていた
そんなある日、ふといつもの様に窓を見ていると
あり?雲が平たくて長い?こんな雲初めて見たとFさんが見ていると
東から西に向かって水平な長い雲の上に、何か動くものが見えたので
「なんだろうかなー」
目を凝らしてみると、それは雲なのに長い髪とヒゲを垂らし、杖をつく老人の形の雲が西へ向かって
そのままの姿勢で進んでいる…のを見たという
「仙人?へ?」
思わずもっと良く見ようと目を凝らすと、老人はパっと跡形もなく消え、水平に流れる雲も消えたという
「仙人かと思ったけど、あれ多分神様だわー」
Fさんはいう
「私が見たのは9月の終わり頃…10月の別名は神無月…人型の雲が向かっていた地域だけは別名があるんだわ」
今年、60年に一度の遷宮を終えたその土地では「神有月」という