72話:こっからどうしよか
2019 7/17 『73話〜』→『72話』に修正
「ふおぉぉー!たーのしー!」
「気楽っすねぇ!?」
スズの歓声ときらりんの悲鳴が一緒に響く。
空中。
身悶えする竜の腹。
その身体に巻き付く鎖によって、スズときらりんは竜に取り付いていた。
鎖戦士を身に纏うように鎖を掴むきらりんの手腕によって、竜の力強さの前にあってはあまりに脆い鎖は未だヒビすら入らない。何度か砕かれて命の危険があったのも今は昔、見た感じあれできらりんには余裕が見れる。まあ竜を拘束するとか動きを阻害するとかいう目的はないんだから、多少は楽なのかもしれないけど。
きらりんの作戦。
それはつまり、鎖戦士ごときらりんが竜に引っ付くことで竜の動きを止めることなく鎖で縛ってやろうという荒業なのだった。
無茶といえば無茶な、だけど確かに効果を挙げられそうなそれが、何度かの失敗を経て今まさに形を成したというところ。きらりんが竜の動きに慣れたのもそうだし、鎖戦士がきらりんの思うほとんどそのままに鎖を動かせるようになったのも成功の理由だろう。
若干面白くはないけど、さすがにこんなところでそんなわがままは言わない。あとでめいっぱい可愛がるのは、まあ当然のこととして。
それはさておき。
「「―――ッッ!」」
「そろそろ諦めてくれないっすかねぇ!」
どごんぼごんと天井を砕く体当たりで異物を振り落としたり潰したりしようとする竜にきらりんが吼える。
だけどそれに応えることなく、なおも暴れ回る竜。
さっきから落ちてくる破片がちょっと怖いからやめてほしいんだけど、まったく往生際の悪い竜だ。
「■■■」
ちょっとこのままだと埒が明かなさそうだなあと思っていると、見かねたアンズが魔法を放つ。闇槍と比べると射程の長い光槍、多分『強力』を乗せたそれらは竜に目掛けてまっすぐ飛んでいくと、暴れ回っているその身体に当然に直撃する。
一息に放たれた実に十数発の光槍が全弾命中して、にも関わらずスズやきらりん、鎖には当たる気配がないというその精度にはまったく何度だって感心せざるを得ないけど、果たしてその連射は竜の意識をこっちに持ってくるには十分なようだった。
「「ッッ!?」」
『なにしやがるこのやろう!?』とでも言いたげな勢いでアンズを、ひいては私達を見下ろす竜。これまでとは違って光槍は明確に、といってもほんとに多少だけど身体を削っていて、しかもそれが概ね同じような場所に殺到してる訳だからさすがに無視はできないんだろう。
「「――――――ッッ!!」」
心底忌々しげに尻尾をぶんぶん振って、それから咆哮ひとつ。
竜はそして、私たち目掛けて攻撃を仕掛けてくる。
なんというかまあ、完全にアンズの目論見通りの結果だった。
「さすがっすリコット!」
「うぉおおおー!?」
きらりんの歓声と、どうやらローラーコースターかなにかと勘違いしてるらしいスズの楽しげな悲鳴と一緒に急降下する竜。
もちろん受け止める訳にもいかないから、当然ながら全力で回避する。
違うところといえば回避ついでにアンズが闇槍をぶっぱなす辺りだろうか、攻撃が通じると分かっててそんな不用意に近づいたらそりゃあそうだろうという話だけど、偏差射撃だってお手の物なアンズにかかれば今の竜など的でしかない。
「■■■―――」
「「――――――!??!?」」
撃てば撃つだけ当たる闇槍。
的確に翼の付け根辺りを狙っていく辺り流石と言うべきか、なんかもういっそ哀れにすら思えてくるほど一方的に削られてゆく身体に堪らず上空へ逃げてゆく竜。すると傷はみるみる埋まっていくけど、忘れてやいないだろうか。
あくまで竜に引っ付いてるのは鎖であって、きらりんじゃないんだけど。
「■■■―――」
「させる訳ねえっすよねー!」
「やれやれー!」
即座に飛来する光槍と、さも当然のように付け根の辺りに陣取って拳を振るうきらりん。あと応援するスズ。
飛竜のときはきらりんが自分の力で引っ付いてたから全力とはいかなかったけど、こと今回においては鎖がきらりんを固定している。それでも鎖が砕けないように多少フォローする必要はあるだろうけど、そこは優秀な鎖戦士だ、まあそう簡単に砕かれたりはしないだろう。
つまり。
「「―――――――――ッッ!!??」」
連射と連打、堪らず身を捩って回転して逃れようとするけど、物理的に当たらない位置とかにない限りその攻撃が止むことはほとんどなく、着々とその身は削れてゆく。背中を腹を、天井に叩きつけてみてもきらりんはさっさと回避するし、どれだけ速く回転してもアンズは見切って当てれる。速度に緩急つけてとかする程度の頭があればまだ違っただろうに。
やっぱり、二人は頼りになるなあ。
と、そこでふと、私の顔をずっと見てるソフィが、ほんの僅かに表情を変えた。
「ソフィも、やりたかった?」
「あたりまえですの。おねえさまがそんなめをしてくれるんですもの」
「そんな?」
「たよれる、というめですわ」
いやうん、まあ確かにそうかもしれないけど……別にそんな、今だけっていう訳でもないと思うんだけど。
「ゾフィも頼れると思ってるよ?何回も助けてもらったし」
「わたしだけがいいんですのっ」
ぷんすこと睨めつけてくるソフィに、苦笑する。
可愛らしい嫉妬、ナツキさんまで微妙に頷いてるのがちょっと面白い。
「にゃぁあああー!ぜんっぜん壊れないっす!」
「ん。再生が速すぎる」
おっと、いや別にちゃんと見てなかった訳じゃないからアンズはそんな目を向けないでね。
えっと、どうやら、きらりんが叫んだ通り竜の翼はどうやらかなりしぶといらしい。まあ見てる限りでも、きらりんとアンズが削った分がすぐ補完されてるっぽいとは思った。それでも削り切れなくはなさそうだったけど……ああ、アンズのMPの問題かな。まだ余裕はあるかもだけど、別に無尽蔵っていう訳でもないんだし。
「「ッ!」」
アンズの連射が収まったことで若干余裕を取り戻したらしい、引っ付いてるきらりんを睨みつけるように顔を向ける。
うーむ。
これはちょっとまずいかもしれない。
アンズが射程的な問題で威力を出せないのをいいことに、空中でとりあえずきらりんを落とすことに決めたっぽい。そうそうやられないだろうけど、万が一っていうこともあるしあんまりそういうのはやめてほしいんだけど……。
「「―――ッ!」」
「上等っすよ……!」
「が、がんばれー!」
どうやらそうもいかないらしい、スズがここにいたってついに若干申し訳なさげに声援を送る中、暴れ回る竜ときらりんの戦いが始まってしまう。
さてどうしたものかと、悩む間もなく。
アンズが、視線を向けてくる。
自信に満ちた視線、だけどそれより、私にいいところを見せたいっていう、そんな可愛らしい願望が滲み出ていて、それを叶える以上のことわざわざ考えるのも無駄なことだった。
「鎖さんっ!鎖を一本おろして!」
叫ぶ。
騒音に掻き消されてしまう程度の声は、だけどどうやら届いたらしい、即座に一本の鎖がじゃらららと降りてくる。
竜の動きに合わせて暴れ回るそれは、そしてしばらくしたところで降下をやめる。
長さの限界、多分さっきナツキさんが跳んだよりも高いくらい、その上めっちゃ荒ぶってるっていう。
「いける?」
「愚問」
当然の返答に、だけど私はなにか手助けをしたくて、命ずる。
「『リコット、跳んで』頑張ってね」
「ん」
嬉しそうに、ほんの少しだけ口角を上げて。
そしてアンズは大きく膝を曲げると、次の瞬間跳躍する。
私の命令によってそれだけでも結構な距離を稼いだけど、それでもまだ届かない。
さてここからどうするのかと思っていると、アンズは手に持った杖を思い切り振り下ろして、そして更に跳んだ。
「す、すごっ」
「とんでいますの」
「ゲーム、ですね」
正しくナツキさんの言う通り、現実では絶対にあり得ない光景。
アンズは、自分で打った魔力弾を支点に杖の勢いで上昇を繰り返していた。
魔力弾がアンズの質量を切り離して放つものではないという事実は、つまり射出による反動が絶無であることを表していて、だからそれを支点にすれば運動量保存則とか平然とスルーできるよねっていう圧倒的暴論、まあ今更といえば今更だけど、なまじやってることがシンプルなおかげでこう、『ああゲームなんだな』っていう感じがすごい。
……あとこのゲーム、いいんだろうか、その、めっちゃ見えてるんだけど。
アンズのローブってそんな危うい代物だったんだ……いや、うん、肌着とか変更できても外すのはできない設定だし、初期装備の肌着とか厚手のスパッツ風でなんならショートパンツくらいに見えるような代物だけど、えっと、うん……ま、まあ、どうせプレイヤーの身体なんて最初の時に見たようなマネキンボディなんだし、いい、のかな?
……とりあえず、人前ではやらないようにきつく言っておこう。
さておき。
しばらくしてアンズは荒れ狂う鎖に届いて、叩き落とさんとするくらい勢いで飛んできたのを魔力弾で強引に止めるとその端をがっちりと掴んだ。
そしてそのまま鎖をずんずんと上ってゆくアンズ。
同時に鎖戦士が鎖を引き上げる。
最初は軽快だったけど、次の瞬間竜がぐるんと一回転する。
それに合わせて勢いよく振り回されるアンズだけど、空中で魔力弾を殴ることで勢いを上手く殺して、当然のようにしがみついたままやりすごした。
かと思えば気がついた竜がしっぽを振るうけど、これまた身体を揺らして魔力弾を殴って尻尾を殴って平然と回避。
そして間もなく、アンズは竜に到達した。
アンズを見てるとすごい簡単なことみたいに見えるけど、そんな訳ないんだよなあと。
まあ、それをさらっとできるアンズはやっぱりすごいねっていう。
「む」
「嫉妬は後でね」
「いけずですの……♪」
そう言いつつ、言質はとったとばかりにちょっと嬉しそう。可愛いなあくそう。
さて。
アンズも竜に取り付いたことだし、ちょっと身構えとこうかな。
「っしゃあ!今度こそやってやるっす!」
もう辛抱ならない、とばかりのきらりんの声。
そして次の瞬間猛攻が始まるけど、まあ至近距離に到達したことで拡散闇槍という最大火力を連射できるようになったアンズの前に、竜の再生力など追いつける訳もなく。
「「―――――――――ッッ!!??!??!」」
ごりごりと削れてゆく身体。
今度は目に見えて再生が追いつかずに、そしていとも呆気なく。
ばぎゃっ!
と音を立て、砕ける。
落下する片翼と、そして竜。
……思ったんだけど、あんな訳の分からない飛行するくせになんで翼がひとつ落ちた程度で墜落するんだろう。絶対あんなの翼で飛んでないのに……竜だからかな。いや、ちょっと意味分かんないけど。
「はっはぁー!ざまあねぇっす!」
「ひゅおあー!」
やっぱスズはローラーコースター気分なんだなあ。きらりんも楽しそうでよかった。
結構悲惨な光景とは裏腹の楽しそうなみんなは、落下前にさっさと竜の身体から離脱していく。なにげにきらりんが乗り物扱いされてるのがちょっと面白いけど、まあ順当な扱いかな。
そして、墜落……いや。
竜は空中で身を捻って、そして四肢にて着地する。
盛大な地鳴りを引き起こしヒビが入ったりするもののそれは直ぐに再生してしまうし、器用に尻尾でキャッチしていた翼を元の場所に押し付けると、当然のように引っ付いた。
いつものパターンならここで攻撃チャンスかなと思ってたんだけど、まさかこうなるとは。見た感じでいけばほとんど無傷に近いんじゃないだろうかこれ。
とはいえ、さすがに無事という訳でもないんだろう、憎悪と憤怒に満たされたその視線が私たちを見下ろす。飛竜とかとは迫力が段違いだ。今更別に気圧されるとかはないけど、少し身構える。
これは結構きついかもしれない。
なんというか、今更だけど、これまでの形態とはなにかが明確に違う気がする。
もしかしてこれが最終形態なんだろうか、まだまだロックドットは尽きる気配がないけど。
「きらりん、鎖さん、いける?」
「もちろんっすよ!」
「―――!」
なにはともあれ要になるきらりんと鎖戦士は、どうやらまだまだやる気に充ちているらしい。アンズに視線を向けると、まだちょっときついのかあまり乗り気じゃない。MP回復の時間が必要なんだろう、さすがに杖含めて完全回復を待つ必要はないにせよ、もうしばらくは休憩かな。ソフィのオーバードスペルも、まだしばらくはあるだろうし。
とはいえ、それが全部揃ってどうにかなるかと言われれば微妙……というかなにをすれば正解なのか分からないっていうのがなあ。
と、思っていると。
「おねえさまがむりをすればいいのですわ」
不意に、ソフィが言う。
にこりと、とても愛らしく笑いながら。
途端に、アンズやナツキさんが殺気立つのを感じる。
その反応を見る限り、どうやらソフィの言葉はアンズとナツキさんの中でも一つの選択肢として想定していたものなんだろう。
それに私が気がついてしまうことに気がついて咄嗟に平常に戻るアンズとナツキさんだけど、もう手遅れだ。
それはつまり、その有効性を証明してしまったようなもので。
「ユア姫」
「ゾフィ、詳しく」
「ユア姫っ」
アンズの哀願を無視して、ただひたすらにソフィを見る。
するとソフィの笑みは、たちまち蕩けた。
「ふ、うふふ、ふ、」
「ゾフィ」
「わかっていますの♡」
「「―――――――――ッッッッ!!!!」」
それでもまだ表情がしまることはなくて、そしてそんな折りに、タイミング悪く音のない咆哮が轟く。
見れば竜は今まさに駆け出さんとしていて、釘を刺されたとばかりに若干機嫌を損ねながら、ソフィが続ける。
「つまり、あのどらごんのじゃくてんをさがせばいいんですの」
「弱点?」
「まあおねえさま、げーむをやらないゾフィでもきづいたんですのよ?」
そんなことを言われても、弱点とか……。
考えてるあいだに、突進してくる竜を避ける。
かと思えば即座にコマみたいに回転して方向を転換、射出した尻尾ミサイルを追うように再度突進してくる。
―――あ。
いや、別にそれがきっかけじゃないけど、ピンときた。
「ルナライト?」
「おねえさまなら、がんばればみえるはずですの♪」
つまりソフィが言うのは、明らかにこのロックドッツの核的な役割を受け持ってそうなルナライトを狙いすまして攻撃をしかければいいっていうことかな。
言われてみればそりゃあそうだろうっていう話だ。
なんか、岩を削っていくのとかそれに合わせて形が変わるとか、そういう要素のおかげでそうやって倒すものだっていう認識だったんだけど、考えてみればそれもひとつの手かもしれない。
というかなんで思いつかなかったんだろうっていうくらいに普通すぎて……いや、そうでもないかもしれない。
あんな岩の中からたった一つの核を見つけ出すとか、正気の沙汰じゃないし。
普通やらないよなあと。
でも、確かにソフィの言う通り、もしかしたら私なら見えるかもしれない。
かもしれないっていうだけで、そんな都合よく上手くいくかは微妙なところだけど、少なくとも試す価値はあるだろう。
それを理解すると同時に、アンズやナツキさんが気乗りしていない理由も分かった。
まあ見抜くっていう意味ではあのときと同じだし、また倒れるかもしれないっていう心配があるんだろう。そこで口を出せるあたりソフィだなあ。
なんて思ってるのはもう伝わっているんだろう、アンズもナツキさんも覚悟を決めたらしい、その身に戦意を滾らせる。
スズも心底不服そうだけどちゃんと従ってくれるだろうし、きらりんに関してはそこまで極端に心配もしていないらしい。見た感じ分かってはいながら口にしないっていう選択をしていたんだろうけど、それはそれといった感じかな。
……いや、まあ、やるって決めたところでそもそもやろうとしてできるかどうかも分からないんだけど。
なんて、悩んでいても仕方ない。
一つ息を吐いて、竜を睨む。
なんか平然と会話してるけど実は普通に襲いかかってきてる竜、たまに鱗みたいな表面を飛ばしてきたりとか攻撃が苛烈になってたりするけど、まあそこの心配は特にしていない。
「見えるかな」
見えてほしいところだけど、そもそも『観察の目』にそんな能力がある訳じゃないし、はてさてどこまで融通を効かせてくれるのやら。
突進、からの旋回。
一瞬宙に浮かんでブレーキングとか横滑りとか摩擦での減速とかそういうのを一切なしにして方向転換するという荒業でこっちを向く竜の、その目を見る。
観察の目を発動する。
変わらず映るのは、竜、ロックドッツのステータス。
もちろんそこに弱点表示機能とかはない。
じゃあどんな言葉を重ねれば見えるのかと考えて、やめた。
「『見せて』」
至ってシンプルな言葉、ぐわんと一瞬視界が歪んで、戻る。
なんだ全然なんともないじゃないかと、安堵はさておき目を凝らす。
変わらない景色の中、たった一つの変化。
視界の先には、淡い光。
見覚えがある、幻想的なそれ。
というかなんなら視えている。
『ロックドッツ・コア(ルナライト)』
LV:23
耐性:物理・魔法
弱点:なし
ロックドッツ自体を観察済みだからか、それとも目を強化しているからかあっさり表示されたウィンドウからして、どうやらそれは紛れもなくコアで、そして多分かなり厄介な代物らしかった。
なにせ、『耐性:物理・魔法』だ。
ロックドッツ自体はロックドットと同じで『耐性:斬・刺』に『弱点:打』というもので、にも関わらずあそこまでの強度を誇っている。
つまりコアはロックドッツより硬い可能性が高いということで、もしかしたら別枠と捉えられて鎖の効果も届いてないかもしれないとか考え出すと……。
あれこれ、無理なんじゃ……?
■
《登場人物》
『柊綾』
・結構頻繁に無理なんじゃ……?とか思ってる気がする二十三歳。お前はみんなを信じてるのか信じてないのかどっちなんだよと。まあ信じてようがいまいができる限界は決まってますけど。とはいえあやにとってこういう場合の無理なんじゃ……?にそこまで深い意味はなくて、ほんとに絶対どうしようもないとか微塵も思ってないんですけど。いるやん?『無理じゃね?』とかすぐ言うやつ。筆者とか。でも違うの、あれはとりあえず弱音吐いて自分の中でのハードルを下げることによってむしろ前向きになるっていう儀式なのよ。どこに言い訳してんだ。
『柳瀬鈴』
・ローラーコースターとか嬉々として乗り込むタイプの二十三歳。バカと煙はなんとやら。まあむしろ落ちてく過程が好きらしいですけど、根源的にドMなんでしょうね。イカロスに謝れ。ちなみにスズ的にはローラーコースターって呼ぶよりジェットコースターの方がイカすらしいけれど、筆者はローラーコースターの方が馴染みがないからローラーコースターを用います。ジェットコースターとか想像するだけでブルっちまうんでよぅ。高所恐怖症まではいかないけど高いところ怖いとか、ほんとマジで絶叫系無理とか言うと高所恐怖症じゃないならいけるとかだいじょぶだいじょぶめっちゃ安全に設計されてるからとかほざくやつが嫌いです。安全であることと安心であることはまったく違うことを微塵も理解してやがらねぇ、目の前にいる人の気持ちが分からない人にはなりたくないなあと。全然関係ないですね。それもこれもローラーコースターのせいだ。
『島田輝里』
・まともな武器が拳(鞭)しかないおかげでなんか、なんかなぁ……な二十一歳。ちゃうねん、根本的にグラップラータイプじゃないからあんまり光らんのよ。というかやっぱり決め手に欠けるよね。やはり次の武器がほしいところ。いつまでもスズ運搬に甘んじてるようじゃ女が廃るぜ。といっても、やっぱりそこまで極端な感じにはなれないんだけれど。そんなきらりんが好きよ。
『小野寺杏』
・あやに無視されて胸の奥にひっそり不満を溜め込む十九歳。無視というか、ソフィを優先したことがちょっと気に食わない。そしてあやならそうくると、思ってしまっている上でも自分の言葉が間違ってると思えないのが気に食わない。あやの求める姿は必然あやを危険に晒すということで、それを許容するには少しばかり力が足りない。とはいえそれでも、結局のところ初めからあやの意思を優先する以外の選択肢など存在してやいないけれど。
『沢口ソフィア』
・ゲームの中だったらあやを危険に晒すことになんら躊躇いのない十一歳。それは別にあやを心配しないとかそういう意味じゃなくて、実際一回意識失ってたときは心配……心配?まあ、うん、多分心配していたんだけれど、根本的な話死んでも死なないじゃん?っていう。リアルでできないことも試せるゲームって素敵だよね。なにがとは言わないけれど。
『如月那月』
・あやをセクハラしてるだけの二十四歳。そんな有様であやを心配するような素振り見せても決まらねぇぞ。嫌がってないどころか喜んでるくらいだからハラスメントじゃないかもだけど、そういう話じゃねぇからな。ちなみに喜んでるであって悦んでるじゃないのでそこの辺り気をつけてください。いや、まあその区別が正確なのかよく分かりませんし、調べるつもりもありませんけれど。




