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22話:まさかの新キャラッシュ

ほらやっぱり生産担当って大事じゃないですか

 ひとまず都市の景観に感動するのはさておいて中央の広場でリスポーン地点の更新を終えた私達は、時間も時間だったから夜ご飯のために一旦ログアウト、それから改めてログインしてきた。


 広場。


 中央には剥き出しの歯車が複雑に組み合った細工時計が立っていて地面には金属で繊細な模様が描かれた、これまた美しい広場だった。広場ひとつとっても感動を想起する分、そこで歩き回る中に石が含まれているというその絵面は、なんというか、すごい面白い。


 さておき、


「さて、じゃあどうしよっか。せっかくだしこの街を散策してみてもいいと思うけど」

「おー!いーねー!」

「いーんじゃないっすか?」

「それなら、亀素材の加工を考えるのもいい」

「え?あー、そういえばそんなものも……」


 今のところなんの役にも立ってないから普通に忘れてた。

 かなりの激戦だったんだけどなあ……。


「でも、なんでわざわざ?」

「鉱山都市は、職人の街と相場が決まっている」

「なるほど」


 言われてみれば、こんな景観を作りだした人が、恐らくは一人……一体?どころではなくいるはずで。

 とすればなにかを加工するという点において、ここはかなり優れた場所に違いない。

 それに今日やっておけば、ゲームだし明日には回収できるかもしれないと考えると、明日は夜しかできないしちょうどいいかもしれない。


 そんな訳で私たちは、主に腕のいい職人さんを求めて、街の散策を始めた。


 とすればもちろん、無作為に歩き回るよりは聞き込みでもしてみようということになるんだけど、プレイヤーしか人間が存在しないのと、あとは壁面の例の文字から若干言語的に心配だったのは言うまでもない。

 それでもさすがにゲームでそうとんでもないことはないだろうと、どうやら人間向けの薬の店を構えているらしい石に恐る恐る話しかけてみたら、これが中々どうして思いのほか気さくだった石さん……ポゴという名前の石さんに、色々な情報を教えてもらえた。


 例えばこの街がディラートという名前であることとか、この街で最高の腕を持つと評価される偏屈な五人の職人のこととか、職人組合みたいな組織のこととか。おまけにそのポゴさんの昔話とか色々聴かせてもらって、終いには付き合ってくれたお礼とかいって綺麗な空色の石を貰ったりした。


 なんだろう、すごい温もりに包まれた気分。


 ちなみにポゴさん、念力的な力で物を持ち上げたりするという訳の分からない力を使っていた。なるほど人型でもない石はそうやってものを扱うんだと感心していると、その力について研究しているというおかしな人間の学者の話も聴けただけじゃなく、この街に滞在しているらしくて興味があるならと泊まっている宿の場所まで教えてもらえた。


 至れり尽くせりすぎて恐縮する私たちに、そして最後にポゴさんは言う。


「コノマチヲスキニナッテクレレバ、ソレイジョウノコトハナイ」


 かっこいい。


 もちろん深く深くお礼を言って、ついでにいくつか回復薬を買い揃えて、その場を後にしたのは言うまでもない。


 そしていい石だったねなんて言い合いながら、一旦広場に戻って話し合う。


 ちなみにその途中、そういえばとポゴさんに貰った石を観察の目で見てみるとそれはこんなものだった。


蒼天石(そうてんせき)

・その遥かなる空を思わせる透き通った蒼色から名のついた石。『星天石(せいてんせき)』『茜天石(せきてんせき)』『葵天石(きてんせき)』と並ぶ四天石の一つで、その語源になぞらえ晴れ渡る空のごとく健やかなることを願う石として、赤子や老人、旅人などの守り石とされている。


 ポゴさんかっこよすぎじゃないだろうかと思ったのは言うまでもなく。


 さておき。


「さて、じゃあどうしよっか。五人の職人か、職人組合」

「はいはいはい!絶対すごいほーがいいに決まってるよ!」

「それはそうっすけど、偏屈とゆうのが気になるっすよね。組合ならその情報とかももらえるんじゃないっすか?」


 勢いだけのスズとは違って、きらりんはきちんと考えて応えてくれる。

 それはどうやらアンズにも納得いく答えだったみたいで、アンズもこくこく頷いていた。


「きらりんに賛成。この手の話で、ルーキーがそう簡単にどうこうできる訳はない」

「なるほど。どう?スズ」

「でもできればすごいほーがいい!」

「まあそこは、流れでどうにか色々考えよっか」

「なんかよく分かんないけど頑張ろー!」


 ……うんまあ、スズも納得したようだから、早速私たちはポゴさんに教えられた職人組合とかいう場所に向かうことにした。


 てくてく歩いて、そして到着。


 それはなんというか、この職人都市的な雰囲気あふれるこの場所にあって、どこまでも地味な建物だった。下手すれば見落としそうなくらいに……いや、唐突な空白が逆に嫌でも目につくかもしれない。


 ともかく、サイズ的には他と比べても大きいとはいえ、本当にこれがそうなのかと疑問を覚えるほどで。


 それでもまあ、あのポゴさんが言うのならというみんなに共通した謎の信頼に従って、石造りの扉を開いて中を覗いてみた。


「オラテメエチンタラシテンジャネエゾボケガ!」

「ウッス!」


「オデノデシニナリテエナラモットマトモナサクヒンモッテコイ」

「ご、ごめ、ごめんなさ、」


「コンナクソミテエナイシデオレニツクレッテノカダボ!」

「テメエゴトキニャコレデジュウブンダロウガガキ!」


「ザケンナテメエコノワタシヲアマクミンナヨオラァ!コノジュウバイハモッテコイヤ!」

「サイショニイッタトオリダロウガ!コレイジョウハビタイチモンモツケラレネエナ!」


「アア!?オレノサクヒンニナンカモンクデモアンノカワレェ!」

「テメエナンデヤリニシャゲキキコウナンザツケテンダブッコロスゾ!」


「テメエミテエナカスニウッテヤルブキハネエッツッテンダヨ!」

「んだてめぇやんのかオイ!叩き割っぞこの石ころ野郎!」

「ジョウトウジャネエカコノ―――


 扉を閉じる。


 なんだろう、すごい光景が広がってた気がする。


「ここ?」

「さー?」

「でも、炉とか色々あったっすよね」

「話してるのも、それっぽかった」

「だよね……」


 うーむ。

 どうもそれっぽさはあるんだけど、でもあの空間の中に入っていくのはちょっときついというかなんというか。


 なんて思っていると。


「ア、ヤッパリ」


 そんな声に視線を向ければ、開いた扉の向こうから、なにやらどことなく丸みを帯びた石が覗いていた。

「モシカシテ、ショクニンクミアイニナニカゴヨウデスカ?」

「え?あ、あー、はい、そうなんです、けど……」

「アア、ハジメテノカタニハオソロシイデスヨネ。デモダイジョウブデスヨ、タシカニアツクナルトスコシバカリランボウニナルカタモイマスガ、キホンテキニハミナサンキサクナカタバカリデスカラ」

「そう、なんですか」

「ハイ。タチバナシモナンデスノデ、ドウゾアンシンシテオハイリクダサイ」


 そう言われてはまあ、あえて拒むというのもなんなので、みんなで顔を見合わせて、それからそのなんとなく女性っぽい石について、喧騒に満ちた職人組合へと足を踏み入れる。


 その途端むっとした熱気に包まれて、ついつい出もしない汗を拭う。


 見れば壁際には赤々と照る炉やいろんな作業台が立ち並んでいて、天井から吊られた照明がなくてもきっと薄暗くすらないんだろうと思えるほど。そりゃあこれだけ炉が並んでいたら熱いだろうと納得しつつ、忙しなく石が行き交って、所々にプレイヤーらしき人が交じる部屋を進んでいく。


「……窓も煙突もない」


 不意にアンズが、ぽつりと零す。

 言われて視線を巡らせば、確かにこの部屋には窓もなくて、炉からどこかに通じるようなものも見当たらない。そもそも外から煙的なものもなにも見えなかったんだから当然なんだけど、でもそれはこの場所においては絶対に当然なんかじゃないだろう。


 そんな疑問の答えは、先導する石からもたらされる。


「ヒツヨウナイノデスヨ、イロイロトセツビガソロッテイルノデ」

「設備、ですか」

「ソウデス。タトエバアノ()ハ、ヒデハナクコウネツヲハッスルマホウヲコメタモノデ、コノマチノヨウニネンリョウシゲンノエニクイバショデモカツヨウデキルノデス」

「便利なんですね」

「エエ。ソレニカンキモ、クウキチュウノヨゴレヲトリノゾクセイシツヲモツショクブツガニナッテイマス。クウキチュウノヨゴレヲリヨウシテ、サンソヲツクルセイシツガアルノデス」


 植物というのは、天井にツルを張りめぐらせるあの灰色のナニカのことなんだろうか。てっきり装飾かなにかだと思ったんだけど、まさかあれが植物だなんて。


 感心する私に、どこか誇らしげな声が届く。


「ホンライワタシタチニハ、ヒツヨウノナイモノナノデスガネ」

「え?では、なぜ?」

「ココヲオトズレルニンゲンノタメデスヨ。ワタシタチハミナ、ニンゲントノコウユウカンケイヲタイセツニオモッテイルノデス」

「はあ、なるほど」


 そんなこんなを聞きつつ、ちょうど門の真反対にあった階段を上って、二階。

 そこは下とはうってかわって涼やかな、カウンターが並ぶ受付のような場所だった。賑わいゆえの喧騒こそあるけど下みたいな怒号はなくて、むしろ穏やかですらある。


「ここは?」

「ニカイハカクシュマドグチニナッテイルノデス。ハジメテノカタムケニソウダンマドグチモアリマスカラ、マズハソチラヲリヨウスルノガヨロシイトオモイマスヨ」

「そうなんですか。いや、ご丁寧にどうもありがとうございます」

「イエイエ、コレモシゴトデスカラ」

「というと」

「エエ」


 そしてその石は私たちを連れて『相談窓口』と記してあるらしい無人のカウンターまでやってきて、当然のように向こう側に回った。


「アラタメマシテ、ワタクシショウニンクミアイソウダンマドグチタントウノポッポトモウシマス」

「あ、これはこれは。ユアです。こちらリーン」

「よろしくお願いしまーす!」

「こちらはきらりん」

「よろしくお願いするっす」

「そしてリコットです」

「よろしく」

「ユアサン、リーンサン、キラリンサン、リコットサンデスネ。ミナサンモドウゾ、ナンナリトオキキクダサイ」


 多分顔があったら微笑んだんだろう、柔らかな声色に安心感を覚えつつ。

 とりあえず、各々気になったことを聞いてみるという方針で。


「じゃあとりあえずこの職人組合について教えてほしいんですけど」

「カシコマリマシタ。デハショクニンクミアイノキホンジコウヲオオシエイタシマス」


 そうして受けた説明は、大体こんなものだった。


 職人組合でできることは、大まかに分けて依頼斡旋と登録職人の検索、素材関係のあれこれとがあるらしい。

 特に職人に直接関係するのは前二つ。

 依頼斡旋というのは、その言葉通りに依頼を斡旋すること。

 仕組みとしては、まず依頼者側が職人に対してなんらかの製作依頼とかをしたいときに、必要な物品やクオリティ、期限とかの条件を組合の方で登録する。そうした依頼は条件ごとに大まかにまとめられて、職人はそれを利用して自分の専門に合った仕事を見つけて受注する、という流れになっている。

 依頼者側は一定水準以上の製品を、職人は練習の機会と金銭をそれぞれ入手できるというシステムだ。まあ便利。

 ただこれの難点として、あんまり理不尽だったり期間が狭すぎると誰も依頼を受けてくれない可能性があったり、見習いから一流まで玉石混交なおかげで製品にばらつきがああったりと、確実性に欠けるところがある。それが嫌なら自分の望む職人の元に自分でお願いしに行ったり、店売りのものを購入したりすることになるということだ。


 そしてその、職人に自分でお願いする場合に役に立つのがもう一つ、登録職人の検索になる。

 これもまた言葉通り、組合に登録している職人をその専門とか腕前ごとに条件をつけて検索することができて、気になった職人のちょっとした経歴とか代表作品、所属している工房の場所とかの情報を開示してくれる制度だ。個人情報保護の観点からすると酷い制度だけど、まあ職人によっては情報に色々制限をかけてたりするから、誰も彼もがなんでもかんでも知れるという訳でもない。


 そして、まあどんな依頼をするにせよ基本的にはお金と素材が必要で、そんな素材を鑑定してもらってそれがどんな分類のものなのかどんな性質を持つのかどんな用途が相応しいのか、あるいは逆にほしい材質や特性から適する素材なのかをピックアウトしてくれるのが、残り一つの役割。これはもう普通に便利。


 以上、概ねそんな感じで職人組合はやっているらしい。


 ちなみに階下に炉が建ち並んでいるのは職人組合の前身である集合工房的なものの名残りらしい、今でもこっちの方が仕事が捗るという古参の職人や、いろんな技術を見て盗もうという新参の職人、それを狙って依頼を持ってくる依頼人なんかが利用していて、今みたいな大盛況になっているとか。


 そんな話を聞いてふーんと感心していると、今度はアンズが質問を投げかけた。


「……何人か人間がいた。あれは?」

「アレハオソラクデシイリシガンシャデスネ。タマニイルノデスヨ。デシイリスルニモソトカラヤッテキタニンゲンニツテトイウモノモアリマセンカラ、ナンニンモショクニンノアツマルアノバショデジブンヲウリコムノデス。クベツハツキニクイトオモイマスガ、ニンゲンダケデナクセキレイゾクノワカモノモイルハズデスヨ」

「なるほど」


 納得したらしいアンズだけど、私としてはセキレイゾクというのが気になった。

 それが『石霊族』であるということは、多分システム的ななにかのおかげなんだろう、なんとなくぽんやりと分かったけど、それがなんなのかまでは分からない。


 ……いやまあ、文脈からしてこのポッポさんたちのことを石霊族って呼ぶんだろうけども。


 んー、じゃあ、まあいいや。


「はいはいはい!セキレイゾクってなに―!」


 かと思えばスズが元気よく訊ねた。

 それにポッポさんは驚いた……ような気がする動きを見せて、それでも答えてくれる。


「セキレイゾクトイウノハワタシタチノコトデスヨ。ホンライワタシタチトイウノハ、イシニヤドッタセイレイナノデス。テッキリゴゾンジカトオモッテイマシタガ、コレハシツレイイタシマシタ」

「なるほど!ありがとー!」

「イエイエ」


 スッキリした様子のスズにちょっと呆れるけど、まあこんな風にぐいぐい訊けるのはひとつの才能なんだろう、少なくとも私には真似できない。


「あ、じゃあわたしからもいいっす?」

「モチロンデス。ドウゾ」

「ほんとは登録職人の検索をするべきだと思うっすけど、この街の中でも優れた腕を持つ五人の職人についてなにか教えてもらえないっす?」


 そんな質問をした途端に。


「……ゾウブツシュノゴシデスカ」


 なんとなく、ポッポさんの雰囲気が変わった気がした。


 ゾウブツシュノゴシ……造物主の五指?

 それはまたなんとも、大仰な名前だ。


「多分そうっすね。……聞いちゃまずい感じっすか?」

「イエ、ソウイウワケデハアリマセンガ……モウシワケアリマセン、ソノケンニツイテハ、ショクニンクミアイカラハデキルコトガナイノデス」

「どうしてっす?」


 訊ねてみると、なんとなく躊躇うような気配があってから、意を決するように言葉が紡がれる。


「……ゾウブツシュノゴシトヨバレルコノトシサイコウノショクニンタチハ、ゼンインガコトゴトクコノショクニンクミアイニショゾクシテイナイノデスヨ」

「え?」

「ショクニンドウシノセッサタクマノバヲモウケ、ソウゴニシンポシテユクトイウノガショクニンクミアイノキホンリネンデス。シカシナガラカノゴショクニンハ、ソンナリネンヲアザワラウカノヨウニドクガクデ、タッタヒトリデカンセイシキッタゴニンナノデス」

「……なるほどっす」


 だから、あまり話したい話題ではないと。


「ソレニ、カノショクニンタチハコウボウコソコノトシニソンザイシテイマスガ、キホンテキニルスダッタリギャクニコウボウニイルトキハコモリキリデガイカイトノヤリトリヲカンゼンニシャダンシタリシテイルノデマトモニイライヲモチコムコトスラマズフカノウ、ソノウエオノオノガキノムクママニオモイツイタモノダケヲツクリアゲルコトニダケヲカンガエテイルトモッパラノウワサデス」

「ということは、その造物主の五指に依頼を持ち込むのは無理だということですか?」

「ソウカンガエテイイトオモイマス」

「……らしいよ?」

「むぐぐ……」


 視線を向けると、スズはやっぱりそれでも納得いかないように唸る。


「リーンサンハ、ゾウブツシュノゴシニナニカコダワリデモアルノデスカ?」

「いえ、別に、ただ一番凄い人がいいって言ってるだけです」

「ナルホド……タシカニゾウブツシュノゴシハソノウデマエニオイテハミトメザルヲエマセンガ、ショクニンクミアイニモマケズオトラズノスバラシイショクニンハナンニンモイマスヨ?……ショウショウネハハリマスガ」

「あ、はい。なんとなく、下の熱気で伝わってきます。気迫みたいなのが」

「ソウデショウソウデショウ」


 ……ちょっと嬉しそう?

 ポッポさんは、どうやらかなり職人組合が好きらしい。


「ソウイウコトデシタラミナサマニ、ワタシノホウカラオススメノショクニンヲ―――


 そう言ってカウンターからなにかを取り出すポッポさんの言葉は。


「その依頼、ちょぉっと待ったーっ!」


 突如響いた声に、掻き消される。


 なんだろう、凄い勇ましいのに、声が凄い可愛いから迫力がない。

 クラブさんがあまろりモードで素の振る舞いをしてる感じ。


 スズが振り返れば、そこには少女……いや、女性?

 どっちだろう、ちょっと真剣に分からない……けどまあ、うん、女性。


 頭の上に『ヘπトス』という名前を浮かべて、黒字に金の糸と赤の糸で炎の刺繍が入ったマントを靡かせて、バッサリ不揃いに切られた真紅の髪を揺らしながら、その紅い眼光でこれでもかと私を突き刺しつつ、ずんずん歩み寄ってくる。


 そしてアンズやきらりんには目もくれず私の前にやってくると、ぐぐいと顔を近づけて言う。


「この街最高の鍛冶師は私よ!私を雇いなさい!今すぐ!はりあっぷよ!」


 ……なんだろう、すごい好き。


 ■


《登場人物》

(ひいらぎ)(あや)

・なんかもうよく分かんないけどもうなんかなんかすごい好き、な二十三歳。多分間違えたっぽい名前とかカタカナ変換すらできないくらいの日本語英語とか自信満々なところとかもそうだけど多分一番その目が視線がドストライク。この女、一目合っただけで人生くらいなら捧げるぜ。なにげにパーティーリーダー的な感じで自然と応対を任されているけど、まあ消去法的にそうなるよなあと特に疑問なく請け負っている。


柳瀬(やなせ)(すず)

・なんかあやがちょっと好き好きオーラ出し始めてちょっと面白くない二十三歳。凄い職人がダメっぽいという上に重なってきたので、機嫌の悪さは倍プッシュ。でも多分次話までの間でなでなでぎゅっぎゅされて機嫌が治っている。露骨に機嫌悪い顔するからあやとしても分かりやすくていい。密かに造物主の五指を変換できてないけど凄いのであるという認識だけで言っているので特に問題はない。


島田(しまだ)輝里(きらり)

・どう見ても職人的な気配を感じさせない突発性少女に戸惑い気味な二十一歳。でもπちゃんのマントの留め具とかベルトのバックルとか腰に下げた細剣と金槌とか細かいところを見てなんとなく有能そうな気配は感じとっている辺り流石のゲーマー。でも性格がちょっとあまり好ましくない感じ。フレンドリーなぐいぐいはいいけどああいう高圧的な言い方をされると……こう、専門学校時代のやんちゃが騒ぐ。助けてミミちゃん!


小野寺(おのでら)(あんず)

・なんでこうも今日は嫌な出会いが多いんだろうかと内心かなりキてる十九歳。あやさんが誰を好きになろうと仕方ないというスタンスだが、それとこれとは話が別。ミちゃんと違ってこっちは下手すれば専属鍛冶師とかいう展開を始めとして今後も頻繁な付き合いがありえる以上慎重かつ苛烈にやってやろうと画策中。とりあえずキャラクターネームを抉り抜こうとは思っている。なんだよヘπトスって、お前それ間違ってる上に合っててもかっこよくないの分かってるぅ?


天宮司(てんぐうじ)天照(てらす)

・本名もなかなかのものを持ってるつるぺた幼児体型な二十二歳。二十二歳。πちゃん(予定)。身長がアンズよりちょっと高い程度であることと、その立ち居振る舞いがあまりにもガげふんげふん幼気なので、あやもちょっとよく分からない。そりゃあ鍛冶と言えばなヘファイストスを格好つけてヘΦストス的な感じにしようとしてπになるわスが抜けるわそもそもその発想は普通に字面がダサいという致命的な欠陥にも気づかないくらいなんだからろくな大人じゃねえよ。その実態は半引きこもりなNEE。トレーニングはしてるんだ、うん、してるんだ……ほら、だって掃除とか洗濯とか料理って花嫁修業じゃん?花嫁って立派な就職口じゃん?ということはこれ就職訓練じゃん?という完璧な理論武装(笑)をお前結婚する気ないだろの一言で消し飛ばされる系残念ちゃん。敢えて言おう、ヒロイン候補であると……!


造物主の五指とかメモっとかないと存在忘れそう


重箱の隅をつつくような批判待ってます

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