18話:完全に説明回だこれ
タイトル通りです
「めっっっっちゃ疲れたっす……」
「ぷへぁあ……」
ぐでぁとなる二人の頭を、よしよしと撫でる。残るアンズは胸に顔をすりすりしているから、とりあえずこの両手は独占でいいだろう。ひとまずの休息、頑張ったみんなには少しでも休まってもらいたい。
あの後。
更に一時間くらいかけてなんとか亀を倒し切った私達は、とりあえず亀さえいなければ安全地帯らしい花園でのんびり一休みしていた。亀とかみんなが暴れ回った割にどうしてか綺麗なままの草花は、疲れ切った心にいっぱいの安らぎを与えてくれる……まあわたしは何もしてないから本当に精神的疲労しかないんだけど、それを言うならゲームの中の疲労なんてすぐ回復するし、なんでもいいや。
「しばらく休憩したら、とりあえず一旦村に戻ろっか。ゲームの方も休憩とった方がいいだろうし」
「うぇー……またもりぃ?」
「そんな嫌な声出されても」
村に戻るには森を抜けなきゃいけないんだから、仕方ない。
そう思っていたら、きらりんがぐでりながら私を見上げてくる。
「どうせ一旦するなら、いっそログアウトしちゃっていいんじゃないっす?楽に戻れるっすよ」
「ああ、確かに」
亀を倒したから戦闘中判定されないだろうし、いくらでもログアウトできるはずだ。流石に遠いしちょっとペナルティみたいなものはあるだろうけど、まあ別にそこまで神経質になる程でもない。
そんな訳で、私たちはしばらく休憩してから、ちょっと後戻りして森に近づいてログアウトした。
休憩を挟んで、再度ログイン。
視界の隅にペナルティを示すアイコンが点滅していて、タップしてみると詳細が表示された。まあ予想通り、十分程度能力値と獲得EXPが減少する程度の軽いもので一安心だ。
「ユアー!」
「ユアさーん!」
「ユアさん」
……なんとなく既視感のある光景に出迎えられつつ、あれこれと亀の戦果を確認して十分と少し時間を潰した。
亀からの獲得EXPはもちろん人それぞれだったけど、私の場合は800ポイント程度獲得していた。一番多いアンズでも1000は超えていないみたいだし、なんというか、時間対効率を考えると凄い虚しくなる。多分同じ戦法でもう一回やったらさらに酷いことになるだろうとは考えるまでもないから、亀狩りだぁ!という話にはならなかった。残念。
けど、EXP以外の戦果はなかなかのものだった。
例えばアイテム。
真っ白な甲羅の破片とか鱗とかお肉とかあとは眼球とか、なんか色々とゲット出来た。あと各種花がいっぱい。特に甲羅の破片なんか人ひとりが隠れられそうなのが二枚もあって、加工すればいい装備が作れそうだとアンズとかきらりんがほくほくしていた。ただ加工の術が私たちにはないから、そこは考えなきゃいけないけど。まあどっちにしても東西南北巡りでは別に必要性がないから、一旦保留。
あと、アビリティ。
亀との長く激しい戦いはポイントにならない経験値が沢山あったみたいで、きらりんとアンズが有用なアビリティを取得可能になっていた。きらりんで言うなら、なんか全般的に身体能力が向上する『F:強身』とあらゆる武器のダメージが上がる『S:武器使い』とかがきらりん得すぎて即行取ったらしい。アンズの方は私も持ってる『F:魔力呼吸』とか、あとこっちはEXPが足りなくてまだ取ってないらしいけど、声に出して発動するタイプのアビリティを発動するとき早口言葉がやりやすくなる『S:高速詠唱』、魔法陣魔法を使うときに魔法陣を二つまで展開しておける『S:二重展開』なんかがよさげらしい。アンズ普段は魔法陣を置いておくなんてしないですぐ撃ってるし、早口詠唱もできるようになったから二重展開はあんまり意味ないんじゃないかと思ったけど、どうやら色々と運用法はあるらしい、すっごい活き活きしてた。
ちなみに私も、亀とみんなの戦いを眺めてるときに通知が鳴って、新しい領域魔法を覚えていたりする。敵のSTRとVITを減少させる『堕落の誘い』と、敵に継続ダメージを与える『排斥力場』、あとはマジックボールが三つ出せるようになった。
つまり三回詠唱しなきゃいけないということで。
高速詠唱、私も欲しいなあ、なんて思ったり。
ちなみにスズは、うん、どんまい!
いや、あの度重なる衝突事故のおかげかいくつかアビリティが強化されてるみたいだけど、他の私たちに比べて微妙だと本人は納得いかない感じらしい。
どんまい!
とまあ概ねそんなこんなが、あの亀、フローラルトータスの戦果だった。
割に合わないような、合うような。
まああそこに人がいない理由を存分に思い知らされたのは確かだ。あんな場所に人が集まってそれぞれが亀と戦うとか、地獄絵図以外のなにものでもない。集団で一体を叩く旨みも、多分ほぼ皆無だろうし。
さておき。
「なんか森もーよくない?」
さてそろそろもう一度森に行こうかというときに、スズがげんなりとした様子で言った。
今でこそその身に纏う鎧は新品同然だけど、修理費が割りと洒落にならなかったし、そういうこともあって多少トラウマじみているんだろう。唯一いいことがなかったと思っているというのも、多分ある。
それにしたって、まあ普通に半分くらい亀のせいで時間使ってるし、実質森の探索なんてほとんどできてないから、もうもなにもないと思う。じゃあどれくらいやればいいのかと言われると具体的なイメージは、まあないんだけど。
「私は別にどっちでもいいかな」
そう考えると別に森にこだわる意味も私にはなくて、とりあえず意見を求めるためにアンズときらりんに視線を向ける。
「わたしもいーっす」
「構わない」
すると二人も特に否定的な意見はないらしい、肯定が返ってくる。
とすると一旦森を出て街に戻ってそれから次のところにいくのか、それとも直接次のところを目指すのか。どちらかといえば、いや、是非とも街に戻ってあのカフェに行きたいところなんだけど、さて私のわがままは通るんだろうか。
……通りそうだから困るなんて、無駄にレアな悩みかもしれない。
「どうしよう、それなら一旦戻るってことでいいかな?」
自分の意見はさておいて、それとなくみんなの意見を訊いてみる。
まあ、みんながどっちを選ぶのか分からないけど、基本的に従う方針で……うん、従う、従う……。
「直接でいいんじゃないっす?」
「ごーごーれっつごーだよ!」
スズときらりんは急進派らしい。
うぐぅ。
アンズは……。
「戻った方がいい」
「えー?」
「どうしてっす?」
なんと、アンズは都会派らしい、二人の視線が疑問と共に集まる。
ここまでのアンズの勝率を鑑みるとなかなか期待値も高まるというもので、私もじっくり見つめてみた。
みんなの視線を受けてアンズは、そして言う。
「疲れたときには、甘いもの」
―――文字通り甘美な言葉に満場一致、私たちは意気揚々と最初の街に戻るのだった。
……絶対アンズ私を見てたよなあ、なんて。
ほんと、頭が下がる。
■
「ごゆっくりどうぞ」
「……あ、はい。あの、お茶、今日も美味しいです」
「本当ですか?よかったです」
なんでだろう、にっこりと微笑むウェイトレスさんに少し見蕩れて、照れ隠しみたいにお茶の感想を伝えてみたりなんかしてしまった。
本当に、なんでだろう。
はにかんで笑って、それからお仕事に戻るウェイトレスさんの背中を眺めながら少し考えてみて、まあ多分、きっと二回目だからなんだろうとそんな風に納得しつつ、しばしケーキに舌づつみ。VRの中で味覚を再現するために、実はそれだけいくつもの法律が関与していてとても面倒な手続きがあるらしいとかきらりんがわくわく語ってたけど、この味を表現するならそれくらいするのも当然かもしれない。
なによりゼロカロリーというのもいい。
生活習慣病とかなんやらかんやらとか、現実は世知辛いし。
それにこっちなら汚れても服が破れたりしないし、なんて。
そんなことを思いつつ当のスズに視線を向けてみれば、大きく切り分けた木苺のショートケーキを一口でぱくりと含んでいるところだった。途端に目が輝いてもきゅもきゅ咀嚼するその様は果てしなく幸福そうで、食べるときに零れて服に落下したベリーのジャムには気がついていないらしい。
普通に食べても汚すとか、もうほんとスズは……あ、でもジャム消えた。さすがゲーム。
「おいしー!」
「スズ、今ジャム落ちてたからね」
「うそぉ!?どこ!?」
「その胸のところ……まあ、もう消えたけど」
「びっくりしたー!驚かせないでよもー!」
「いやでもほんとあれはリアルだったらやばかったすよ」
なははと笑うスズに、きらりんがなぜか無駄に真剣そうな様子で言う。リニアが空を走ってもシミ一つ落としきれない洗濯機業界の闇に、きっと触れてしまったんだろう。最近は色々便利になっているけど、それでもまた人間の力は矮小なんだ。
一方スズは前科持ちでそもそも当事者なのに、全く気にした様子もなく「分かってるよー!」なんて笑う。
「気をつけてよほんと。また破りたいの?」
「リアルではちゃんとするよ!」
「ジャム……トースト……コーヒー……うぐっ……!」
これ以上ないくらいに信憑性のない言葉に、きらりんも死んだ目を……いやこれは違うか。まあなんにせよ、多分今度またやらかすから、それまでになにかいいお仕置きを考えておこう。
そんなことを思いつつ、ケーキを一口。
途端、口の中でほろほろほどける不思議な食感。
柔らかな甘みの中に、多分柑橘系のなにかだと思うんだけど独特の苦味と酸味があって、次、また次と一口が進んでいく。やっぱり美味しい。このお店のケーキはおまかせしか選択肢がないから名前も分からないけど、どうなんだろう、訊いたら教えてくれるんだろうか、これ、すごい好きだ。
「ユアさん」
不意に目前に、紫色のシンプルなケーキが乗ったフォークが差し出される。
視線を上げればアンズがじっと私を見ていて、ぐいと少し身を乗り出してくる。
「あーん」
「わ、はむ」
そう言いながらくいっとフォークを押し付けてくるから、私は慌ててケーキごと咥え込む。
けどアンズはしばらくじっとしていて、口に含んだフォークを抜き去ってくれない。それじゃあ咀嚼もままならなくて、私はもごもごしながら首を傾げてみせる。
それでもまだ少し見つめあって、それからアンズはフォークを抜き去った。
つぃ、と唾液が糸を引いて、舌の上に残ったケーキがふやけて崩れる。
もぐもぐ、ごくん。
紫色のそれは、なんだろう、ほろ苦い大人の味がした。
「美味しいよ、ありがと」
「ん」
「はいお返し、あーん」
言いながらお返しの一口を差し出せば、アンズはぱくりと食べて直ぐに顔を離してしまう。残念ながらお返しにならなかったけど、それはそれで楽しかったりして。
もくもく、こくん。
「ん。美味しい」
「凄いよね、こんな美味しいケーキが作れるなんて」
言いつつ店主さんの方を向けば、私の視線に気がついて微笑んでくれたので、こっちも微笑んで会釈する。
凄いなあ、色んな意味で。
そして視線を戻せば当然のように差し出されていた三本のフォークにまた笑って、みんなでケーキを満喫した。
それからお茶を飲みつつ、これからのことを話し合う。
「それで、この後はどうしよっか。やり方は森のときと同じでいいにしても、どこに行くかは決めなきゃね」
「はいはいはーい!」
口火を切った途端、隣に座るスズが勢い込んで手を挙げる。
架空のとはいえ糖分を補給したからか心なし元気さが増している気がするけど、まあ平常通りだから気にしない。
「はい、リーンさん」
「はいっ!まずどこがなんだか知りません!」
「そんな元気に言うことじゃない」
と言いつつ私も知らないので、私は対面のアンズたちに視線を……考えてみたら四人がけのテーブル席でこの組み合わせって、まるで有能組と無能組で分けてるみたいだ。なんだろう、こう、途端に凄い申し訳ない気分。
「えっと、お二方はなにかご存知で?」
「調べた」
「わたしもっすけど、あの、なんで急にそんな感じなんっす?」
「いやなんとなく」
戸惑うきらりんに気にしないでと手を振って、それから二人の調べたことというのを聞いてみた。調べたといってもどうやらどっちも公式のプレイガイドみたいなもので紹介されている程度のことらしいけど、それでも東西南北のちょっとした情報くらいは手にしていた。
まずこのAWの世界について。
私たちがいる大陸を含めて、なにやら色々と大陸があるみたいな情報はあるけど、それについては酷くぼんやりとしたものだったようで、詳しくはこの大陸くらいしか分からなかったらしい。それについては、前に少し聞いたこともあるんだけど、今回はより詳しく教えてくれた。
この大陸は、円形の陸地の南側が丸くくり抜かれたみたいな形をしている。太った三日月みたいな形とはきらりんの談。
そして円の中心をこの街として、その北にあるのがさっきまでいた森だ。プレイガイドの情報は、その中には村があること、生き物系のモンスターが主に出ることと、薬草とか木の実がいっぱい取れることくらい。薬草と木の実については色々『見てた』から探索のときに知れたし、とはいえモンスター素材を優先して拾わなかったけど、ともかくまあ特に新しい情報もない。あの花園に関しても、まあ二人とも知ってたら言ってただろうから当然のこととして、プレイガイドでは一字も触れてはいなかったらしい。
まあ、そういうのを探し出してこそ楽しいというものなんだろう。だからこそ、きらりんもスズも攻略サイトとかは見ていないみたいだし。
私も、いつぞや暇なときに攻略サイトを見ようとしてたことがあったけど、今度からはやめておこう。いやまあ、結局これまで攻略サイトとか一度も詳しく見てないんだけど。
さておき、今度は南側。
抉り抜かれた海を取り囲むように険しい山岳地帯が広がっているらしい。山岳地帯といえば雄大な大自然みたいなイメージがあったんだけど、どうやらこの世界の山岳地帯にそういうものはないらしく、完全に屈強な岩山が立ち並んでいるようだ。それでも、それをくり抜く坑道のようなものが広がっていて、ちゃんと街みたいなものもあるとか。当然のように鉱石とかのアイテムが手に入るだけじゃなく、現れるモンスターは主に非生物的な動く石とかそういう類のやつという徹底ぶりだ。正直、大変そうだし硬そうだし、あんまり行きたくない。
次に、東側。
街から唯一伸びる道の先、見えてくるのは大きな壁。円を描いて海に面するそれは、道に通じるたった一つの門によって越えられるらしい。その向こうにはひたすらに広大で高い魔法的な文明力を持っていて、だけどもう滅んでしまった国があって、壁の中は城下町と城で完全に構成されている。モンスターは、なんというか、人間らしい。ただ、生きてるのか死んでるのかも分からない人間で、飲まず食わずで寝る間も惜しんでプレイヤーに襲いかかってくるとか。そのおかげか、人工的なものが色々と手に入るらしいけど……うん、なんだろう、普通に怖いけど、超古代文明的なのはちょっと興味がある。リスポーン地点を更新できるような場所があるのは確かだから、もしかすると誰か意思疎通できる人もいるかもしれないし、なんならその高い文明力、SFチックなすっちんやクラブさんみたいな管理者っていうのも関係してるかもしれない。そう考えると、こう、少しわくわくしてくるのは間違いない。
そして最後に西側。
西側は、一番よく分からない。なんでも、地下迷宮か高い塔、あるいは遺跡都市があったりなかったりするらしい。訳が分からないけど、それが全てだという。不定期かつ唐突に、塔が地下迷宮に、地下迷宮が遺跡都市に、かと思えば遺跡都市がまた地下迷宮になったりするらしい。訳が分からない。現れるモンスターも、流体的な意味じゃない不定形なやつとか見る人によって変わるやつとか漠然としたイメージで、手に入るものもなんか色々なものが無秩序に。それでもちゃんとリスポーン地点にできるような場所があるとか、東の街より訳が分からない。訳が分からないけど、謎のアトラクション感が面白そう。
……とまあ、だいたいそんな感じになっているらしい。
それぞれ違った雰囲気があって、なんというか、北の森以外ももうちょっとこうなんかシンプルになれなかったのかと思わないでもない。
その上で。
「じゃあ改めて、次はどこに行こっか。私はまあ、どこでもいいよ」
どうせ歩かないし、戦わないし。
自分で言ってて悲しくなるけど。
「よく分かんないけど山登りたい!」
「私はどこでも」
「まーどうせ全部巡るっすからね」
うん、どうやらスズが元気なくらいでそこまで積極的な意見はないらしい。まあ、流れで森に行ったくらいだしそんなものなんだろう。
あれ、ということは。
「じゃー山けっ!てぃっ!やったぜおい!」
うっほほーい!と心底嬉しそうなスズ。
うーむ。
私としては微妙だけど、まあきらりんの言う通り全部巡るつもりだから、遅かれ早かれ行く訳だから仕方ないかな……いや、なんというか、山っていうことは……ね。
私、居残った方がいいんじゃないかなあ……。
■
《登場人物》
『柊綾』
・もはやほぼなにもせずに800ポイント稼いだという事実にはさして罪悪感を感じていない二十三歳。着々と姫的になってきている。しかしながら流石に自分を背負わせて山登りというのはまずいんじゃないかなと思いつつ、やっぱり別に進んでそれを口にしようとしない辺りちょっと慣れてきている。
『柳瀬鈴』
・さんざ頑張ったのにそれなりの経験値を貰っただけという哀れ哀れな二十三歳。装備の損傷も鑑みれば圧倒的に赤字。でも強敵をやっつけたからまあいいかな、みたいな。リアルで絶対にできない山登りにテンションが跳ね上がっているが、あやを抱っこしたまま登るということを忘れている訳ではなく、単にいいところ見せる機会がやってきたという認識らしい。山岳甘く見るなよ。
『島田輝里』
・武器使いはさておき強身とか随分いいアビリティゲットしやがったなお前この野郎な二十一歳。本当はここでゲットするはずじゃなかったのに思ったより亀が強かった。こう、亀との戦いを妄想してるうちにフレグランスブレス的なやつを槍と大剣で撒き散らしたり片手の握力だけで甲羅にしがみついたりしてたせい。ちなみにちょっとした設定として、強身における身体能力とSTRを初めとした能力値は別物です。生物的か法則的か、みたいな。きらりんはなんかそういうものだと特に考えずに受け入れているので、多分今後も語られることはないと思いますが。
『小野寺杏』
・どれを取るかと言われればそりゃああやと同じのを選ぶに決まってる十九歳。いやまあ、一応低いMPを補うためではあるのだが。ちなみに甘いものは好きでも嫌いでもない。わざわざお誂え向きなアビリティが習得可能になったのはもちろん偶然などではなく、なんらかのアビリティに近い行動をすると発言しやすくなることもあるという話。普通に考えて補助なし早口言葉で擬似同時発動とか人間業じゃないため、高速詠唱とっても実はちょっとしか早くならないが、今ほど気を使う必要がなくなるので少し楽になる。
次回、山登り
以下、読む必要皆無です
・密かに差し込まれたリアル要素について
《リニアが空を走っても云々》
リアルにおいて多分ロシア辺りの学者がメインで開発した、抗引力物質みたいな感じの、ある程度の万有引力を遮蔽する上に強固とかいう訳の分からん素材が低コストで運用できるようになっていて、それを利用したり色々することで高架の途中途中で柱を挟まなくても強度的安全性を高めることができるようになった結果、ほっそいリニア線路を走るリニモが上空に見られるようになったことを指して、どこぞの誰かが空を走るとか言い出した。そして、現代になってなおその存在が淘汰されていない某青い鳥の囀り的な感じのSNSで誰もがその途方もない科学的進歩を騒ぎ立てる中、空気を読まず洗濯機でシミが落ちなかったとかいう旨の投稿をした者がいて、それがまた多分アメリカ辺りの相当な有名人だったものだから一気に全世界に拡散して、なんやかんやあって新慣用句として成立しつつある。
ちなみに洗濯業界の名誉の為に言っておくが、部分的に塗ってから洗濯するタイプの洗剤とか、あるいは普通にクリーニングを利用すれば、落とせないのは思い出のみ、などと寒い言葉と共にドヤ顔する洗濯業者がいるくらいには凄い落ちる。なんか理論上世界が終わるまで落ちない染色剤とかも落とせる。黒い皮のジャケットとか白にできる。洗濯馬鹿にすると全身の色素ヘモグロビン含めて根こそぎクリーンにされるとかいう都市伝説まであったりなかったり。




