剥がれる雲
少しぞくっとする話
雲は青空に白。
雲は雨に灰。
そんな色が雲の色?
いいえ。
夕焼けもある。
なんてバカな事は…………
「貴方の勝手なイメージではないの?」
語る彼女は赤い服に黒い髪。
青白い肌色の彼女。
「千差万別、十人十色とは云わないけど…多少の差あると思うの」
曇天から落ちる欠片。
「溶けないのが不思議?」
ぱらぱら ぱらぱら ぱらぱら
「雪ではないからね」
そりゃ溶けないよと笑う。
上を視ると…雲は…雲? 少し黄身がかかったような?
空を流れようとしない?
雲?
風が無い?
「そもそもあれは『雲』ではないよ」
−外でも無いのに雲がある訳がない−
え?
「ごらんよ?」
欠片が降り積もるばかりで、山になったそこから彼女は一掴み。
「雪?白いから?雲から降るのは雨か雪?」
パリ パリバリ
おとが ちがう なにかが ヤカレ いや …
「はがれたおと?」
「剥がされた音だよ」
□□□□
「君の皮膚のね」
道に転がるのは、車に轢かれた人であったナニか。
どれだけ引き摺られたのだろうか。
かろうじて肉と骨と判るのみ…。
「見事に剥がれたね」
ナニか視ながら、向かいで所々塗装の色が落ちた青い車体と、複数の警官と呆然とした男がいた。
「薄雲も中々いいもんだよねー光も程よく通すが眩しすぎないのが好きなんだ」
君の雲は何色?