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波乱~ダークエルフの情報~

現在全体的な話の見直しを行っています。

話の見直しが終わったらタイトルやあらすじも変えるつもりなのでよろしければこれからも見てくれるとありがたいです。

 

 オレは自分の服を破き包帯代わりにしてジョーイの腕を応急処置した後、ジョーイにラバックさんとアイシャを呼びにいくよう指示した。

 オレは黒い肌のエルフを見張っている。

 どうやら落ちた時の衝撃で気を失ってるようだ。

 オレはため息をついてジョーイが帰ってくるのを待つ。


 手持ち無沙汰で待っていると3人が駆け寄ってくるのが見えた。


「早かったなジョーイ」

「2人とも俺の悲鳴を聞いてすぐ近くまで来ていたらしい。ところでその男......」

「おい、こいつは()()()()()()じゃないか?」

「知っているのですかラバックさん?」


 ラバックさんは怒った顔で黒いエルフを睨む。


「ああ、こいつらは最近ここらに住み始めたエルフどもだ。国を追い出されてここまで逃げてきたらしい。今までは危害を加えられることもなかったから見逃してきたが、ついに攻撃してきたか! これだからダークエルフは嫌いなんだ!」

「ダークエルフってなんです? 普通のエルフとは違うのですか?」


 このオレの疑問にアイシャが答えてくれた。


「ダークエルフは私達肌の白いライトエルフとは別の系統なの。たまたま外見が似てるからエルフと一括りにされてるだけ」

「つまり同じエルフでもダークエルフは他の種族ってことか?」

「そういうことね。私達もこんな野蛮人と一緒にされたくないわ」


 肌の違いなんて些細なことじゃなく全く別の種族らしい。

 見た目だけだと肌以外変わりはない。

 オレはラバックさんに襲ってきた理由を聞いてみる。


「なんで攻撃してきたんですかね? 別にここが彼らの縄張りってわけでもないんでしょ?」

「当たり前だ。攻撃してきたのは予想がつく。シェカを横取りするつもりだったのだろう」

「横取り? 他にもいるし、わざわざオレ達が狩った獲物を取らなくても他の場所にいるんじゃ?」

「ここら周辺以外はレックス様が彷徨いているから動物もあまり寄らないんだ。動物もレックス様を怖がってるのさ。だからシェカを見つけるのも難しい」


 そういえば森を歩いていた時、なかなか動物に遭遇しなかったのを思い出す。

 こんな事情があったのか。

 てことは餓死しかけたのはレックスのせいなんじゃ......。


「つまり食料がなくなってこちらの縄張りに侵入してきたわけですか」

「そういうことだろう。乞えば食料くらいは分けたものを。これだから単純思考しかできないダークエルフは嫌いなんだ」


 本当に嫌いなんだな。

 あまりの嫌悪ぶりに苦笑するしかない。


「てことは他にも来そうですね。このダークエルフを放っておくわけにもいきませんし、村で治療してあげましょう」


 オレはダークエルフを担ぐ。

 気絶している間に運ぼう。

 起きて暴れられても面倒だ。


 オレ達は急ぎ足で村に帰還した。




 ◆




 腕を怪我したジョーイとダークエルフの男をセフィーの回復魔法で治療してもらった。

 その間に村長のアリーサさんに事情を説明した。

 アリーサさんはそれを聞くと難しい顔をしてこう言った。


「困りました......。食料を渡すだけで穏便に済むならそれでいいのですけど、村人を傷つけられたとなってはみんな黙ってられない」

「まだみんな気づいてないし黙っておくのは?」

「ジョーイやラバックは完全に頭に血が上っていて、黙っていろなんてとても説得できないです」

「......」

「もしあの男の人だけじゃなく多くのダークエルフがこちらの縄張りに入ってきたら最悪戦争になります。それだけはなんとしても避けないと」

「戦争ですか!?」


 オレはぎょっとする。

 そんなに殺伐としているのか。

 オレも殺しあいの経験はあるがそれは1対1の決闘だけだ。

 本当の戦争なんてものは見たこともない。


「最悪の場合ですよ。避けれるなら避けたいです」

「......そうですよね。戦争なんて起こらないように避けないと。──オレに何かできることはありませんか?」


 アリーサさんはこちらを見つめて言いづらそうにしてる。

 なにかに葛藤しているみたいだ。

 オレは畳み掛ける


「なんでも仰ってください。1食の恩は必ずお返します」


 アリーサさんはその言葉で決心したようだ。

 覚悟を決めた顔で口を開く。


「ユートさんにはダークエルフの長に話をつけにいってほしいのです。今回のことは水に流しますから助けがいるなら援助すると。旅の方にこんなことを頼むのは心苦しいのですが、私達エリリクの民だと話し合いができそうにないのでこの件には関わりがない方に行ってもらうのが一番なのです」

「長ですか? そんなことでしたらお安い御用ですよ」

「頼みます。長に私の名前を出せば信じてもらえると思います」

「了解しました」


 オレは準備をしようと動き出したら2階からセフィーの声が響いてきた。


「黒いエルフが起きましたよー!」


 オレとアリーサさんは急いで2階に上がる。

 オレがいたベッドで男は寝かされており、椅子にはセフィーが座って、弓を握ったアイシャが壁に背を預けていた。


 まずアイシャがオレに話しかけてくる。


「さっきこの男の体を調べてみたんだけど、異常に打撲や裂傷が多かったわ。まるで毎日暴行を受けているみたい」

「なんだそれ? つまり虐待されてるってことか?」

「大の男が虐待されるなんてどんな生活環境よって話だけどね」

「一応私が回復魔法で治せるところまでは治したんですけどね。でも昨日今日で受けた数じゃないですから痕になってるところも多くて全部は無理でした」


 なんだかかなりやばい雰囲気を感じる。

 ダークエルフの集団か。

 これは自分で実状を見てきた方が良さそうだ。


 オレはダークエルフが寝ている枕元に立つ。

 ダークエルフはうすぼんやりと目を開けており、まだ半覚醒といった感じだ。


「起きてるか?」

「────......ああ、なんとなくだが。俺は一体どうなった? ここはどこだ?」

「お前は木から落ちて気絶したんだよ。ここはエリリク村だ」

「エリリク村......? ああ、ライトエルフの村か」

「そうだ。あんた、自分の名前は言えるか?」

「ああ。ケイだ。......そういえば気絶する前に木から落ちた気がするな。確か──」


 オレは少し待つ。

 どうやらちょっとずつ何があったのか思い出しているようだ。

 ケイはこっちに初めて視線を向けた。


「あんたは......俺が気絶する前に俺の肩に矢を突き刺したやつか」

「ああ、そうだ。それに関しては自己防衛だと言わせてもらう」

「......」

「聞きたいことがある。何故オレ達を攻撃した? 食料を分けてほしいなら言えばよかったじゃないか」


 オレはまず何故襲ってきたのか聞いてみる。

 食料問題だとしたら食料を渡せば穏便に事が済むかもしれない。

 だがケイが語ったことはオレの予想とは全く違う答えだった。


「襲えと()()()()()からだ」

「命令された? ......誰に?」

「俺達の長だ」


 どうやら仕方なく襲ったのではなく最初から襲うつもりだったらしい。

 オレはアリーサさんの顔色を見る。

 アリーサさんは顔色を悪くしてケイに尋ねる。


「あなた達の長とは以前お話ししましたがとても理知的な方でした。こちらを襲えなんて命令をするような方にはとても──」

「──された」

「え──?」

「以前の長は殺された」


 ケイは絞り出すように言葉を漏らす。


「殺された!? それならあなたに命令したのは──」


 ケイの視線はオレに向く。

 オレはそれを不思議に思う。

 そしてゆっくり口を開く。


「以前の長を殺して俺達の新たな長になったのはそこにいる人間と同じナチュラルだ」

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