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黒肌~波乱の予感~

 

 オレは悠々と椅子に座っているセフィーに武器がどこにあるのか尋ねた。


「セフィー、オレの武器と荷物ってどこにある?」

「それならあなたが最初に寝ていた部屋に全て置いていますよ」

「サンキュー。それにしてもよく全部回収できたな。大変だっただろう?」

「レックスに手伝ってもらいましたからね。私だけだと持てなかったですよ」


 またレックスに助けられたのか。

 ありがたいが、何故ここまでしてくれるのか分からない。

 眠る前に予言の器がどうとか言ってたがそれが関係しているのだろうか?


「ふーん、まあいいや。オレはこれから村の人の狩りを手伝いに行くけどセフィーはどうする?」

「私はパスです。弓は多少扱えますが朝からバタバタして疲れました。ここで休憩していますからお気になさらず」


 オレはそれに納得して2階の自分が寝かされていた部屋に向かった。




 ◆




 オレは弓と矢筒、剣を装備して家を出る。

 外に出ると弓を持った男2人とアイシャがいた。

 先ほど話しかけてきた集団のリーダーらしき年長の男がオレに話しかけてくる


「来たか。では出発するぞ。俺達から離れるなよ」


 オレは出発する前に疑問を口に出す。


「なんでアイシャがいるんですか? それも弓なんか装備して」

「私も行くからに決まってるでしょ」

「アイシャが? 弓、扱えるのか?」


 このオレの疑問にアイシャが激昂した。


「馬鹿にしないでちょうだい! これでもこの村一の狩人と自負しているわ!」

「そうだぞ、ナチュの兄ちゃん。アイシャはレックス様から弓の扱いの手解きを受けているんだ。まだ小さいけどな」

「小さいは余計! 私だって、もう大人なんだからいい加減子供扱いはやめてっていつも言ってるでしょ?」

「大人? ......アイシャって何歳?」

「15よ。それがなに?」


 15?

 成人は16じゃなかったか?

 オレが不思議に思ってるとアイシャは納得して説明してくる。


「ああ、余所者のあんたは知らないか。私達エリリクの村では12歳でもう大人と同じ扱いになるの。この村は労働力も少ないから子供もはやく働かないといけないわけ」

「あー、そういうことか。一般的な常識と違うんだな。弓を練習しているのも戦士だからじゃないよな? それもこの村独自のルール?」


 この疑問にアイシャ達は苦い顔をする。

 アイシャが口を開く。


「エリリクの民は国ができる前からいたのよ。後からやってきた、今は戦士階級と呼ばれているやつらの先祖が勝手に国を造って階級制度なんてルールを押しつけたの。エリリクの民は昔から狩人を生業としてきたから反発したけど、結局負けて森の奥に隠れ住むようになった。それが私達の先祖よ」


 なかなかにヘヴィな話だ。

 だが、彼らには悪いが勝った側が正義なのはよくあることだ。

 口には出さないがオレはそう考えた。

 こんな考えをするってことはもしかしたら、オレもこの世界の常識に染まっているのかもしれない。


「無駄話は終わり。さっさと狩りに行くわよ。あんたは変なことしないでいいからリーダーのラバックの指示にだけ従いなさい」

「うん、分かった」


 リーダーのラバックさんを先頭にオレ達は村を出て、森に入っていった。




 ◆




 オレ達は森林を歩いていく。

 周りの木は太くて高く、枝も1本1本が木のような太さだ。

 まるで巨人の森に入ったような感覚に陥った。


「......見つけた」


 ラバックさんが標的を発見したようだ。

 オレには見えない。

 やはりエルフだから相当視力が良いんだろうか。


「ここからじゃ届かない。もう少し近づくぞ」


 オレ達はゆっくり近づく。

 オレの目にも標的が1匹目に映る。

 その動物は鹿にそっくりだった。


「シェカだな。シェカ肉は焼いて食うとうめーんだ。ユートは食ったことあるか?」

「いや、ないな」


 今話しかけてきたのはジョーイ。

 ジョーイは気さくに話しかけてくる人だ。

 歩いている間に仲良くなった。


「アイシャ、ここから狙えるか?」

「このくらいの距離なら余裕よ」


 ラバックがアイシャに射るように頼む。

 アイシャは綺麗な姿勢で弓を構える。

 アイシャはよく標的を見つめ、矢を放つ。

 矢は見事、鹿のような動物の頭を射抜いた。


「へー、確かに自信を持つだけあるな」


 オレはアイシャの腕前に感心する。


「他にもいるか探そう。こいつは群れで行動するから1匹だけじゃないはずだ」


 ラバックさんが指示を出す。

 二人一組で探すことになった。

 ラバックさんとアイシャ、ジョーイとオレに別れてそれぞれ別方向に進む。




 ◆




「見つけたぞユート! 3、いや4匹いる」

「全て狩るのか?」

「うんにゃ、あれは家族だな。子は殺してはならない決まりがあるんだ。オレ達2人じゃ1匹しか持ち帰れないし、1匹だけでいい」

「了解した。なら雄らしきシェカを狩るか。ちょっと離れてくれ」

「え? この距離から狙うなんて無理だろ?」


 オレは茂みに隠れて片膝を立て、弓の弦を引き絞る。

 つがえた矢を放ち、頭に直撃させた。

 これに驚いた他のシェカはたちまち逃げ出す。


「こんなもんか」

「すげーな! この距離で一撃なんて!」

「ずっと練習してたしこれくらいはな。それより仕留めたシェカを運ぼうぜ」

「おう!」


 オレ達はシェカを運ぼうと近づこうとする。


 すると唐突に嫌な気配を感じた。

 オレは咄嗟に横に転がる。

 何かが飛んできた音がした。

 オレは先ほど自分がいた場所を見ると、矢が刺さっていた。


「ぎゃああああッ!」


 ジョーイの叫ぶ声が聞こえる。

 オレはジョーイの方を見ると、ジョーイの腕に矢が刺さっていた。


「ジョーイ! うわっ!?」


 またオレに矢が飛んでくる。

 ジョーイを助けたいがまずはこれを何とかしないと。

 剣を抜き、矢を叩き切る。

 オレはジョーイを掴み、一緒に木の裏に隠れる。


 相手は明らかに命を狙っている。

 考えたいことは山ほどあるがまずは矢を飛ばしているやつをなんとかしないと!


 オレは木から出て弓を構える。

 また矢が飛んでくる。


 その飛んできた矢を、オレの矢で叩き落とした。


 そこだ!


 飛んできた方向に矢を放った。

 遠くから悲鳴が聞こえ、1泊置いて落ちた音がした。

 オレは木を走り抜ける。


 そこには肌が浅黒い男のエルフがいた。

 肩にはオレが放った矢が刺さっており、足は変な方向に曲がっていて完全に折れていた。


「う、うぅ......」


 呻き声を上げる男。


 オレはこの時、何か悪いことが起きる。

 そう予感した。

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