1-1-1「始まりの日」
投稿遅れてすいませんでした。
この話から本題へと入っていきます。第1章の始まりになります。
シャスタとグリークが出会ったあの雨の日。
これはあの日から三年経ったある日の話。
空がオレンジ色に染まり始めていたころ、シャスタは夕食の準備をしていた。この3年で全く料理のできなかったシャスタもなんとなくそれらしいものが作れるようにはなっていた。決してうまくはないが日々進歩はしていた。決してうまくはないが。
この日グリークは昼から隣町に出かけていたので、家にはシャスタ1人だった。
そろそろ帰ってこねぇかなぁ・・・
そんなふうに1人で考えていると、キィィと門が開く音がした。
あっ、帰ってきた。
「お疲れ様です、師匠」
「おう、ただいま」
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シャスタはグリークのことを師匠と読んでいる。
2人が共同生活を始めてから数日たったある日、シャスタはこんな質問をした。
「グリークさんはなにをされているんですか?」
「あー、本書いてる」
「本!?」
「いや、昔旅してたことがあって。そんときにいろんなモンスターとか見てきたから、その経験を活かして主に魔法生物に関する本を書いてんだわ」
「えぇぇ、旅してたんすかw」
「お前バカにすんなよ?これでも立派な魔法剣士だったんだぞ」
「魔法剣士!?」
「おう、人並みにいろいろできるぞ」
シャスタは一つのお願いをした。
「・・・あの。それ、教えてください」
「魔法剣術を?」
「はい」
「・・・・・・・・・わかった、教えよう」
シャスタは少し笑顔になった。シャスタは強くなっておいた方が良いと考えていたため、とてもありがたい話だった。
「じゃあ、師匠って呼べよ」
そんなこんなで、シャスタはそれ以来グリークを師匠と呼んでいる。実際、3年間魔法剣術を教わっていて、気がつけばシャスタもいくつかの技が使える程になった。シャスタの魔法に関する知識は、ほとんどがグリークから教えられたものであった。
まぁつまりは、彼は3年間で1人の魔法剣士になったのだった。
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帰宅したグリークはサッカーボール程度の大きさの箱を抱えていた。グリークはいつもより元気がなさそうであった。よっぽど疲れていたのであろう。
「夕食できてます」
「おぉ、そいつはありがたい。すぐ食べる」
グリークはそう言って一度自分の部屋に行き、荷物を置き、コートを脱いで、そして食卓へやってきた。
2人で夕食を食べる。こんな食事も、もう何回目になるのだろう。お互いこなれている。
「今日もちゃんとメニューこなしたか?」
グリークは尋ねた。
「一通りは」
シャスタは答えた。
「そうか……。お前も強くなったよなぁ。出会った時は死にかけの小僧だったのにな」
「まぁもう、3年は経ちましたからね」
「身長伸びた?今いくつよ」
「伸びましたよ!えーっと、154cmとかです。出会ったあの日からもう10cm近くは伸びましたよ!」
「へぇ〜、あんまり感じないな。結局チビだしw」
「うっ、うるさいっすよ!!w」
こんな感じでしょうもない話を繰り返しては毎日のように笑い合っている。ほんわかとしたこの空気がシャスタもグリークも好きだった。
「3年か。」
ふいにグリークは呟いた。
「もうお前も独り立ちできそうな感じだよな。教えることだいたい教えたし」
「いやぁ、まだいいですよ。まだね。」
その後2人は食事を終え、シャスタは食器などを片付け始めた。片付けている途中グリークが「俺もう眠いから寝るね」と言ってきたのでシャスタは「おやすみなさい」とだけ言ってそれに答えた。シャスタも片付けが終ったあと、やることも特になかったのですぐに寝た。
この日はいつも通りの1日になった。
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次の日の朝。
シャスタが目覚めると、家にはグリークの姿はなかった。
今までよりかなり文が長くなってしまって読みずらかったかもしれません。今後はもしかしたら毎回これくらいの長さになるかもしれません。
これからどんどん話を進めていきます。
引き続き読んでくださると嬉しいです。