0-0-2「名前」
第2話です。
第1話と同じくプロローグの続きです。
「・・・・・・・・・・・・。」
少年は男の顔をまじまじと見つめながら黙っていた。
「んー、あぁ、そうだよな。困るよな」
男はたははと笑いながら頭の後ろをかいた。
少年は男にスープを勧められた。お腹も減っていたし、折角なのでいただいた。久しぶりにまともなものを食べたということもあって、恐ろしく美味しく感じた。
少年がスープを飲んでいる中男は昨夜の出来事を話した。少年は感謝せざるをえなかった。
「ありがとうございます。助かりました」
「いやいや、さすがにあんな状態の子供を放っておくほど私も鬼じゃあないさ」
と男は笑いながら言った。そして続けて
「ところで、名前を聞いてもいいかな?」
と、少年に尋ねた。
「名前は・・・、俺の名前は〝シャスタ〟です。」
「へぇ、シャスタ君・・・」
男は少し間を開けてから「そうかわかった」と言った。
「あっ、あなたは?」
少年も尋ねる。
「私はグリーク、〝グリーク・テンゴロイ〟まぁ適当に呼んでおくれ。あとそうアレ、君、ファミリーネームは?」
「あぁ、えぇっと・・・」
シャスタは必死にそれを思い出そうとしたが、どうしても思い出せない。『シャスタ』であることは覚えているのに。
「んーっと・・・」
「アレかい?そーゆーのが無い地方の人なのかい?」
「いえ、違うんです。なぜだか思い出せなくて・・・」
「……思い出せない?」
「そうなんですよ。あの、その実は俺」
シャスタは少しためてから言った。
「ここに来るまでのほとんどの記憶無いんですよ。」
今度はグリークが超驚愕であった。
3話までしばらく間開けます。