0-0-1「ある雨の日」
ありきたりなハイファンタジーです。
第1話にはなってますが、ほぼプロローグです。
よろしお願いします。
ある異世界。
魔法に溢れる不思議な世界『ホログラム』
そこでのちょっとしたお話。
真っ暗な夜の闇の中、レイボール町のカルカマ通りだけがぼんやりと明るんでいた。町は家々の窓から吹き出す光に照らされて、濃いセピア色くらいになっていた。
この日は夕方から雨が降っていた。
冷たく降り続くその雨は、誰もいない静かなカルカマ通りをよりいっそう寂しくさせていた。
そんな中、1人の小さな少年がこの街にやってきていた。ボロボロの布に身を包んだ白髪の男の子。
彼は今にも倒れそうなヨロヨロとした足取りで、緩やかな坂になっているカルカマ通りを必死に登っていた。吹き抜ける秋の風が既にびしょ濡れになっているその身体を凍えさせる。誰もが可哀想だと感じるようなそんな光景だった。
カルカマ通りの端から端までの丁度真ん中のあたりは、道が少し広くなっている。
彼の体力はそこにたどり着いたときに限界に達した。小さな体が、水たまりに向かって激しく倒れ込んだ。誰もいない空間にばしゃんと音を立てて。
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臙脂色の長いコートを着た背の高い中年の男が、カルカマ通りの坂を下っていた。彼はやけに大きな帽子を被り、傘をさしていた。
彼は例の場所にたどり着くと、そこで死体のように横たわっている白髪の少年を見つけた。しゃがみこんで、少年の様子を間近で観察した。呼吸はしていた。
彼特有のたれ目はしばらく白髪の少年を見つめていた。
さて、どうしたものか・・・・・。
臙脂のコートのその男と白髪の少年だけしかいない夜の雨降るカルカマ通りは、やはりいつもより段違いに静かだった。
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次の日の午後。
白髪の少年は目を開くとどこかの家の中にいた。暖かくて心地よい空間。
ベッドの上で少しばかり混乱している少年に向かって、あの臙脂色のコートの男が話しかける。
「ん、お目覚めかな?」
突然目の前に現れた金髪の中年の男を前に、少年は酷く驚いた。
驚愕を超える、超驚愕であった。
不定期更新でやってきます。
我慢強く読み続けてくださると幸いです。
頑張っていきます。