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悪夢の始まりの石の祭壇。
案内人は何も言わずに僕らを送り出した。
世界が歪んだ後、バウニャンのいる泉の部屋に到着、所持品を調べたあと、部屋をでる。
「じゃあね、バウニャン」
部屋を出て通路を進むとヤドカリ地帯が見えてくる。これまでの戦闘で、その数は大きく減っていた。無駄に戦う必要はない。そっと通り過ぎ、突き当りにある3つの洞穴のうち、真ん中のものに入る。
暗い洞穴内を進むと、赤くて巨大な扉が見えてくる。両腕に力を込めて、押し開けると滝の水音が響き渡る広い空洞にたどり着く。
「行きましょう」
空洞内の中央には広場があり、扉から先の通路とつながっている。
通路をゆっくりと進む。
途中、水の中をそっと覗き見るけど、何も見えない。
広場にたどり着く。
地響きが始まる。
「広場の真ん中に集まろう」
僕ら三人は、広場の中央に身を寄せる。
地響きが止み、一瞬の静寂のあと――巨大な水しぶきとともに、黒竜が水中から飛び出してきた。
「いきなりかよっ!」
勢いよく飛び出した黒竜はそのまま僕らの頭上から襲来する。
慌てて散り散りになり、これを避ける。僕らはバラバラに分断された形だ。プランにはない事態。
「こっちにこい!」
盾に剣を打ちつけ、ガンガンと鳴らす。
黒竜はその音が不快だったのか、すぐに僕の方を向き、大きく口を開けて威嚇してきた。背後で、成宮さんとアルコが合流するのが見える。これでいい。
黒竜が地面を蹴り、凄まじい勢いで突進してくる。あの勢いを盾で殺すことはできない。全力で横に飛び、回避する。
勢いのついた黒竜は、そのまま水中に飛び込む。
「中央はダメ! 水際に寄りましょう」
「危険じゃないのか?」
「水中から飛び出してくる習性があるのなら、水際は安全なはずよ!」
黒竜が飛び出してくる前に水際へと避難する。
水中から攻撃されたら格好の餌食だ。全方向へと注意を向ける。
静寂、そして僕らの立つ水際とは反対側から黒竜が飛び出してくる。広場の中央に降り立ち、こちらを睨みつける。首を何度も、まるで鍵を回すようにねじりながら、様子を伺ってくる。
「ファイアストームは撃てる位置だぜ」
アルコが既に風の力を杖に充填している。
「突進の勢いを殺せるかしら? もし殺せなかったら、アルコがそのまま吹き飛ばされるかも……」
「でも、やるしかねーだろ!?」
「待って。僕がおびき寄せる」
黒竜に接近する。
相手はまだ動かない。
盾と剣で威嚇すると、大きく口を開けて威嚇、そして――飛びかかってきた。
「突進じゃないのかよ!」
巨体に押しつぶされないよう、走り回り、転がりながら避ける。黒竜はジャンプを繰り返してくる。ジャンプの高さとタイミングが不規則で、気を抜くとやられそうだ。
必死に逃げながら、次第に黒竜を誘導する。
「よく頑張った! ここなら届くぜ!」
そう、アルコの前に。
「くらえ、ファイアストーム!」
巨大な業火が黒竜を包み込む。




