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悪夢の塔  作者: 相沢メタル
第二章
94/154

54

 悪夢の始まりの石の祭壇。

 案内人は何も言わずに僕らを送り出した。

 世界が歪んだ後、バウニャンのいる泉の部屋に到着、所持品を調べたあと、部屋をでる。


「じゃあね、バウニャン」


 部屋を出て通路を進むとヤドカリ地帯が見えてくる。これまでの戦闘で、その数は大きく減っていた。無駄に戦う必要はない。そっと通り過ぎ、突き当りにある3つの洞穴のうち、真ん中のものに入る。

 暗い洞穴内を進むと、赤くて巨大な扉が見えてくる。両腕に力を込めて、押し開けると滝の水音が響き渡る広い空洞にたどり着く。


「行きましょう」


 空洞内の中央には広場があり、扉から先の通路とつながっている。

 通路をゆっくりと進む。

 途中、水の中をそっと覗き見るけど、何も見えない。

 広場にたどり着く。

 地響きが始まる。


「広場の真ん中に集まろう」


 僕ら三人は、広場の中央に身を寄せる。

 地響きが止み、一瞬の静寂のあと――巨大な水しぶきとともに、黒竜が水中から飛び出してきた。


「いきなりかよっ!」


 勢いよく飛び出した黒竜はそのまま僕らの頭上から襲来する。

 慌てて散り散りになり、これを避ける。僕らはバラバラに分断された形だ。プランにはない事態。


「こっちにこい!」


 盾に剣を打ちつけ、ガンガンと鳴らす。

 黒竜はその音が不快だったのか、すぐに僕の方を向き、大きく口を開けて威嚇してきた。背後で、成宮さんとアルコが合流するのが見える。これでいい。

 黒竜が地面を蹴り、凄まじい勢いで突進してくる。あの勢いを盾で殺すことはできない。全力で横に飛び、回避する。

 勢いのついた黒竜は、そのまま水中に飛び込む。


「中央はダメ! 水際に寄りましょう」

「危険じゃないのか?」

「水中から飛び出してくる習性があるのなら、水際は安全なはずよ!」


 黒竜が飛び出してくる前に水際へと避難する。

 水中から攻撃されたら格好の餌食だ。全方向へと注意を向ける。

 静寂、そして僕らの立つ水際とは反対側から黒竜が飛び出してくる。広場の中央に降り立ち、こちらを睨みつける。首を何度も、まるで鍵を回すようにねじりながら、様子を伺ってくる。


「ファイアストームは撃てる位置だぜ」


 アルコが既に風の力を杖に充填している。


「突進の勢いを殺せるかしら? もし殺せなかったら、アルコがそのまま吹き飛ばされるかも……」

「でも、やるしかねーだろ!?」

「待って。僕がおびき寄せる」


 黒竜に接近する。

 相手はまだ動かない。

 盾と剣で威嚇すると、大きく口を開けて威嚇、そして――飛びかかってきた。


「突進じゃないのかよ!」


 巨体に押しつぶされないよう、走り回り、転がりながら避ける。黒竜はジャンプを繰り返してくる。ジャンプの高さとタイミングが不規則で、気を抜くとやられそうだ。

 必死に逃げながら、次第に黒竜を誘導する。


「よく頑張った! ここなら届くぜ!」


 そう、アルコの前に。


「くらえ、ファイアストーム!」


 巨大な業火が黒竜を包み込む。

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