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石の祭壇に訪れる。
ろうそくの数は残り18本。
三人で割って、6日の命だ。
「残念だったな」
案内人がにやにやと頭上から見下ろす。
「バウニャンのこと、知ってたのね?」
「まあな」
「どうして教えて……言っても無駄ね」
「聞かれれば答えたさ。ま、考えが甘かったな。あちらの世界がそう簡単にいくものか」
「知らないことを聞けるわけがねーだろ」
「そうか? で、どうするんだ。同じことを繰り返しても、あの部屋で殺されるだけだぞ?」
「続けるわ」
「ほう……? 確定した死が怖くないのか?」
「怖いわ。でも、やるしかない」
「いい心がけだ。では、そろそろ向かうがいい」
世界が歪む――
※
泉の部屋。目の前には、いつも通りのバウニャンがいる。けど、もう同じ目では見れない。
この動物はストッパー、ペナルティを与える存在なのだ。あの凶暴な姿を思い出すと、こちらを見つめる無垢な目にも恐怖を覚える。
「行きましょう」
扉を開け、部屋を後にする。
ヤドカリたちは岩の殻に収まり、眠っているようだった。
現実に戻ったせいだろう。
その数は減っている。最初見た時に比べると半数ほどになっていた。
「こいつらを倒し尽くす前に、合体魔法が撃てるようにならねーとな」
「今回撃てるようにならなかったら……あるいはその予兆すら感じられなかったら、プランの変更を検討したほうがいいわね。残り日数が無くなってから黒竜に挑むのは避けたいから」
「とりあえず、いつものやり方でいこう」
僕がヤドカリに接近、アルコのところに戻りファイアブラスト。心力が減ってきたら瓶の水で回復。もう一度ファイアブラスト。
二回撃つとへとへとになることが分かったので、瓶の水が無い状態で二発目を撃つのは避け、泉の部屋に戻る。
「……」
部屋を出るとき、バウニャンが静かにこちらを見ていた。次に訪れたなら、罰を与えるのだろう。
部屋を出て、蠢くヤドカリのもとへ。
もう呼び起こす必要はないので、ファイアブラストを撃つ。
黙々とヤドカリたちの中身を倒していく。
もう一度ファイアブラスト。中身を倒す。
アルコが瓶の水を飲む。
「お?」
アルコが妙な声をだす。
「どうした?」
「なんか、変わったぞ」
「変わったって?」
「分かんねー……けど、前より余裕が出来たっていうか、視野が広がったっていうか……」
「合体魔法が撃てそうなのね?」
「多分な」
「それじゃ、泉の部屋に戻りましょう」
どうして?
僕とアルコの顔を見て成宮さんが苦笑する。
「分かりやすい顔してるわよ、二人共。ここで合体魔法を撃ったら、アルコはへとへとになるでしょ。そんな状態で黒竜に勝てるわけがない。だから、泉の部屋には戻る必要があるのよ。だったら、合体魔法が撃てるうちに戻って……」
一呼吸置いて、成宮さんが告げる。
「バウニャンと戦うわ」




