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悪夢の塔  作者: 相沢メタル
第二章
90/154

50

 石の祭壇に訪れる。

 ろうそくの数は残り18本。

 三人で割って、6日の命だ。


「残念だったな」


 案内人がにやにやと頭上から見下ろす。


「バウニャンのこと、知ってたのね?」

「まあな」

「どうして教えて……言っても無駄ね」

「聞かれれば答えたさ。ま、考えが甘かったな。あちらの世界がそう簡単にいくものか」

「知らないことを聞けるわけがねーだろ」

「そうか? で、どうするんだ。同じことを繰り返しても、あの部屋で殺されるだけだぞ?」

「続けるわ」

「ほう……? 確定した死が怖くないのか?」

「怖いわ。でも、やるしかない」

「いい心がけだ。では、そろそろ向かうがいい」


 世界が歪む――



 泉の部屋。目の前には、いつも通りのバウニャンがいる。けど、もう同じ目では見れない。

 この動物はストッパー、ペナルティを与える存在なのだ。あの凶暴な姿を思い出すと、こちらを見つめる無垢な目にも恐怖を覚える。


「行きましょう」


 扉を開け、部屋を後にする。

 ヤドカリたちは岩の殻に収まり、眠っているようだった。

 現実に戻ったせいだろう。

 その数は減っている。最初見た時に比べると半数ほどになっていた。


「こいつらを倒し尽くす前に、合体魔法が撃てるようにならねーとな」

「今回撃てるようにならなかったら……あるいはその予兆すら感じられなかったら、プランの変更を検討したほうがいいわね。残り日数が無くなってから黒竜に挑むのは避けたいから」

「とりあえず、いつものやり方でいこう」


 僕がヤドカリに接近、アルコのところに戻りファイアブラスト。心力が減ってきたら瓶の水で回復。もう一度ファイアブラスト。

 二回撃つとへとへとになることが分かったので、瓶の水が無い状態で二発目を撃つのは避け、泉の部屋に戻る。


「……」


 部屋を出るとき、バウニャンが静かにこちらを見ていた。次に訪れたなら、罰を与えるのだろう。

 部屋を出て、蠢くヤドカリのもとへ。

 もう呼び起こす必要はないので、ファイアブラストを撃つ。

 黙々とヤドカリたちの中身を倒していく。

 もう一度ファイアブラスト。中身を倒す。

 アルコが瓶の水を飲む。


「お?」


 アルコが妙な声をだす。


「どうした?」

「なんか、変わったぞ」

「変わったって?」

「分かんねー……けど、前より余裕が出来たっていうか、視野が広がったっていうか……」

「合体魔法が撃てそうなのね?」

「多分な」

「それじゃ、泉の部屋に戻りましょう」


 どうして?

 僕とアルコの顔を見て成宮さんが苦笑する。


「分かりやすい顔してるわよ、二人共。ここで合体魔法を撃ったら、アルコはへとへとになるでしょ。そんな状態で黒竜に勝てるわけがない。だから、泉の部屋には戻る必要があるのよ。だったら、合体魔法が撃てるうちに戻って……」


 一呼吸置いて、成宮さんが告げる。


「バウニャンと戦うわ」 

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