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倒れたアルコに駆け寄ると、頭部から大量の血が流れ出て、地面を黒黒と濡らしていた。
「アルコは…?」
成宮さんとの問いかけに、無言で首をふる。
すぐにアルコの体が燃え上がり、燃え尽き、消滅した。
「燃えた…」
「きっと、風の魔法で剣士を倒したからね」
戦士として認められた、つまり今頃石の祭壇で案内人に出会っているかもしれない。
死亡した後も出会えることに安堵しつつも、やはり知り合いが目の前で殺されたことは許しがたい。
それに、アルコは今、猛烈な痛みに苦しんでいるはずだ。死んたほうがマシと思えるような、これまでの人生で味わったことのないような死の痛み。
頭上のゴブリンたちを睨みつける。
二階は観覧席のようにせり出した部分があり、そこかしこからゴブリンが顔をだしていた。
そのうち、数体が弓を持っている。
アイツらの誰かが、アルコを殺したのだ。
「…ファイアアローなら届くけど?」
扉を離れ、側に来た成宮さんが提案する。
「とにかく、距離を置こう」
別の提案を返した時、頭上のゴブリンたちが吠えた。
「ギイギイ!」
「ガイヤイ!」
そして、二階から次々と飛び降りてきた。
ゴブリンは図体が小さい。そのせいか、落下の衝撃にも耐えられるようだ。
そのまま、5体のゴブリンがこちらに襲いかかってきた。
「くそっ!」
剣を振るう。
しかし、まるで骨が無いような奇怪な動きで避けられてしまう。
再度剣を振るっても、今度は跳んで避けられてしまった。
身体能力が凄まじい。
剣士より小柄な分、より当てづらい。
「あたらないっ…!」
成宮さんも苦戦していた。
弓矢で的確に相手の胴体を狙うが、既のところで避けられていた。
いや…あの表情を見るに、からかっているのかもしれない。
「ギャギィ!」
ゴブリンが小ぶりな刃物で攻撃してくる。
リーチが短いため、避けるのは簡単だけど、手数が多い。それに、他のゴブリンも連携して、こちらの隙を狙って攻撃してくる。
避けたと思ったら別のゴブリンが、それを盾で弾くと、今度は足下から別のゴブリンが攻めてくる。
1体もゴブリンを倒せないまま傷つき疲れていると、風を切って矢が飛んできた。
「うわっ」
なんとか盾で防ぐ。
油断していた、ゴブリンは上にもいたんだ。
成宮さんを見るが、地上のゴブリンに襲われて、弓を打つ隙はなさそうだ。
ゴブリンの矢が僕の足を撃ち抜いた時、勝敗は決した。
崩れ落ち、迫るゴブリンの足音に恐怖する。
そして、僕の体に次々と剣が振り下ろされた。




