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死んでいると分かっていても、怖いものは怖い。
僕らはナメクジの死体を踏まないように気をつけながら、曲がり角の奥へ向かった。
「またナメクジがいたりして…」
「そうしたら、今回の命ではアウトね。もう矢が無いもの」
祈りつつ、奥に向かうと、行き止まりにたどり着く。
壁には金属製の、錆びついたレバーがあった。
「まあ…ここまで来たら…」
「下げてみるしかないわね」
レバーに何か罠が仕掛けてないか不安になったけど、調べて分かるものでもない。意を決して、レバーを下げた。
――がちゃん。
鈍い音があたりに響く。
耳を澄ますが、特に物音は聞こえてこない。
「はずれ…」
「そんな…」
落胆しつつ通路を戻ると、大きな変化が起きていた。
暗闇通路の松明が全て点灯し、煌々と周囲を照らしていた。
「これなら…!」
うん、これならなんとか進めるかも知れない。ただ、この通路は暗闇だけが障害じゃない。
「槍の罠をどうするかだね…」
「よく調べてみましょう」
暗闇が広がっていたであろう手前まで進み、ゆっくり周囲を確認する。
「天井は…暗くて見えないな」
「壁に亀裂が入ってる…おそらく、槍が射出されるのはここね」
「床は…くそ、暗いな。よく見えない」
「落ち着いて…」
成宮さんが木の矢でを優しく床に滑らせる。かつん…何かに矢が引っかかる音がする。
「ただのひび割れかもしれないけど…床の石の一部が飛び出てる」
「どれどれ…」
床の石は壁に比べると一枚一枚が大きい。その角の部分が少しだけひび割れ、盛り上がっていた。
「石のことは詳しくないけど、材質が違うように見えるね。少しだけ色が濃い…かな。よし、検証しよう、離れてて」
僕が何をするのか分かったのか、成宮さんが後退する。
僕は出来るだけ腕を伸ばした状態で剣を構え、気になるでっぱりを叩いた。
――しゅごっ!
凄まじい勢いで、壁から槍が飛び出す。
どうやら、あたり…このでっぱりがスイッチだ。
「進むのはだいぶ時間がかかりそうだけど…」
「でも、なんとかなりそう」
僕らは慎重に暗闇通路を進むことにする。




