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悪夢の塔  作者: 相沢メタル
第一章
27/154

27

 死んでいると分かっていても、怖いものは怖い。

 僕らはナメクジの死体を踏まないように気をつけながら、曲がり角の奥へ向かった。


「またナメクジがいたりして…」

「そうしたら、今回の命ではアウトね。もう矢が無いもの」


 祈りつつ、奥に向かうと、行き止まりにたどり着く。

 壁には金属製の、錆びついたレバーがあった。


「まあ…ここまで来たら…」

「下げてみるしかないわね」


 レバーに何か罠が仕掛けてないか不安になったけど、調べて分かるものでもない。意を決して、レバーを下げた。


――がちゃん。


 鈍い音があたりに響く。

 耳を澄ますが、特に物音は聞こえてこない。


「はずれ…」

「そんな…」


 落胆しつつ通路を戻ると、大きな変化が起きていた。

 暗闇通路の松明が全て点灯し、煌々と周囲を照らしていた。


「これなら…!」


 うん、これならなんとか進めるかも知れない。ただ、この通路は暗闇だけが障害じゃない。


「槍の罠をどうするかだね…」

「よく調べてみましょう」


 暗闇が広がっていたであろう手前まで進み、ゆっくり周囲を確認する。


「天井は…暗くて見えないな」

「壁に亀裂が入ってる…おそらく、槍が射出されるのはここね」

「床は…くそ、暗いな。よく見えない」

「落ち着いて…」


 成宮さんが木の矢でを優しく床に滑らせる。かつん…何かに矢が引っかかる音がする。


「ただのひび割れかもしれないけど…床の石の一部が飛び出てる」

「どれどれ…」


 床の石は壁に比べると一枚一枚が大きい。その角の部分が少しだけひび割れ、盛り上がっていた。


「石のことは詳しくないけど、材質が違うように見えるね。少しだけ色が濃い…かな。よし、検証しよう、離れてて」


 僕が何をするのか分かったのか、成宮さんが後退する。

 僕は出来るだけ腕を伸ばした状態で剣を構え、気になるでっぱりを叩いた。


――しゅごっ!


 凄まじい勢いで、壁から槍が飛び出す。

 どうやら、あたり…このでっぱりがスイッチだ。


「進むのはだいぶ時間がかかりそうだけど…」

「でも、なんとかなりそう」


 僕らは慎重に暗闇通路を進むことにする。

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