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悪夢の塔  作者: 相沢メタル
第三章
102/154

森3

「あ、アルコはどこに……?」


 雲が去り、月明かりが再び注ぐようになった広場で、アルコは消えてしまった。

 杖もローブも残っていない。まるで最初からそこにいなかったかのように。


「何か物音、アルコの声は聞こえた?」


 成宮さんの問いに、直前の状況を思い返すけど、おかしな音なんてまるで聞こえなかった。もちろん、アルコの声も。


「いや、聞こえなかった」

「私も……前兆もなかった気がする。ただ……」


 成宮さんが空を見上げる。

 大きな塊となった雲がいくつも見える。

 風にのって、ひときわ大きな塊が去っていく。さっき月を隠した雲だろう。


「雲……暗闇か」

「ええ、周囲が暗闇に包まれるまで、アルコは側にいたもの。月が陰ったあの瞬間、何かが起きたのよ」


 アルコの身に起きた何か。

 悪夢の世界で起きることであれば、おそらくアルコはもう……。


「暗い想像をしても仕方がないわ。とにかくアルコを探しましょう」

「探そうと言っても……もう……死、」

「分からないわ」


 鼻先に指をつきつけられる。


「もし、アルコがあの時に命を失ったのなら、炎に包まれるはず。私たちは死ぬと悪夢から追放されるんだから」


 アルコがいなくなったことで死んだものと思っていたけど、ただ姿を隠した可能性もあるのか。

 だとしたら、どうやって、どこに?


「……探さないと」

「ええ」


 狭い獣道を抜け、入り口まで戻る。

 アルコは見つからない。

 広場に点在する獣道のうち、一番右側の獣道を再び進み、暗闇の階段を抜け、木箱まで到着する。

 けど、アルコは見つからない。

 広場に戻ってきた僕らは無言で佇んでいた。

 しばらくして、


「アルコの居場所を探すにしても、私たちには情報が少なすぎるわ」

「まだ、この悪夢に来たばかりだもんね」

「ええ。アルコには申し訳ないけれど、新しい道を進むのと平行するしかなさそう」


 これまで通った道にアルコがいないのなら、新しい道を開拓するしかないだろう。

 そこにアルコがいるかもしれないし、いないかもしれない。

 それでも新しい情報は手に入る。


「それじゃ、次の獣道を進もうか」

「うん。一番右の獣道ははずれ。次は隣の獣道に行きましょう」


 右から二番目の獣道を選び、二人で歩き始める。

 前が僕、後ろが成宮さんという順だ。

 注意深く進むと、一番右の獣道と同様に、地下に続く階段が姿を現した。


「……降りてみよう」


 地下の中もそっくり同じように暗闇だった。

 とはいえ中身まで同じとは限らない。僕と成宮さんはさっきと同様に、剣で足元を確かめ、両手で壁の幅を確認しながら注意深く進む。

 昇り階段にたどり着いた時にはへとへとだった。


「ようやく外に出たわね」

「モンスターとの戦わなくても、この緊張感、すぐに疲れちゃうね」

「そうね……見て」


 指差す方向に目をやると、獣道の行き止まりに木箱が置かれていた。

 側に寄り調べる。これまで見た木箱と同様だ。鍵穴もついている。開いているといいけど……。


「開けるよ」


 そっと蓋に手をかける。

 ……鍵がかかっていない。

 そのままゆっくりと蓋を開ける。


「……どう?」

「見て」


 僕の後ろから成宮さんが木箱の中身を覗き見る。

 そこには石で作られた目玉が1つ転がっていた。

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