近畿三国同盟
兵庫国、大阪国、そして我ら滋賀国という近畿地方の有勢力三国は共に手を結び、列島統一のための初めの一歩を踏み出した。
杉井は同盟には盟主が必要だと主張し始めた。
「軍事同盟において、特に三国における同盟はこれを少しばかりまとめるための盟主を設定し、ある程度の指示を仰いで共に戦うべきである。やはりここは年長の火戸に盟主をお願いしたいと思うが、二人ともどうだ。」
俺もこの意見には賛成だ。
盟主には火戸が最も良いと思っていた。しかし、火戸は不服そうな顔をしていた。
「いやいや、勝手に話を進めないでくれ、私は、この提案には賛成できない。」
俺は、初めから火戸の盟主で決まりだろうと考えていたため、目を見開いた。
杉井も同じようであったが、火戸は続けた。
「私と杉井は昔からの友人である。もし私が盟主となれば、杉井と手を組み滋賀を除け者にしてしまうという懸念を政本君に与えてしまう可能性がある。私は、新たな経験をするという意味でも政本君に盟主をお願いしたい。」
俺はそのあまりに存外な意見に目を白黒させた。「え…いや、僕にこの近畿三国同盟主という地位は重すぎます。」
近畿三国同盟が締結されるかも知れないという事は既に全国に伝わり、各国は恐れをなしていた。俺にそのように重要な同盟の采配を振る事が出来るほどの経験は一切無かった。
「僕には経験が無さすぎます。」
だが、彼等は一度決めると考えを変えない。
杉井も反対の気色は無かった。
「だから、これで経験を積めばいいじゃないか。俺たちだって戦争なんて初めてなんだ。お前を信じる。」
もう、この重役を引き受ける以外の選択肢は排除された。
「俺が…三国同盟の…盟主……。」
火戸も続けた。
「そのとうりだ。この三国同盟の盟主は滋賀にする。いいな。」
次にこの三国同盟の目標とその達成意義等について議論が開始された。
「この近畿三国同盟ですが、やはり同盟を結ぶにはその目標を定めた方が、僕たちはより円滑に進むべき道に進むことができると考えています。」
火戸、杉井共に賛成してくれたのだが、その議論には時間がかかった。
あくまで領土拡大を優先すべきだという杉井の意見に、俺は内政の安定が最重要だと曲げなかった。
俺が同盟に賛成したのは、内政に関しては苦しくなった場合兵庫の支援を受けられるという前提のもとであったが、俺にとって火戸の信頼は絶対のものとは言い難かった。
火戸「内政ばかり気にしているならば、この近畿規模で締結された近畿三国同盟は意味をなさなくなるだろう。私は、同盟の具体的な目標として取り敢えず『本州統一』達成ではどうかと思うが。」
俺の心は揺れた。
しかし、火戸の言うことは正しいと言わざるを得ない。本州を統一しよう。
こう考え、進むべき道をしっかりと歩むべきである。
達成意義は、本州統一を誠実に希求することで、最終的に平和な世の中へ向かう事である。
『本州統一』……こうして列島統一へと大きく前進するための目標が定められ、近畿三国同盟は船出した。




