対京都国戦争講和会議
空軍への事情聴取によって、勝利の謎は解けた。
だが、戦後処理はこれだけで終わってはいない。
事情聴取が終わり、翌日 総理執務室ーー。
机上の官邸内連絡通信機が震えながら、音を鳴らした。
「閣下!東島で御座います。」「ああ、どうした?会議の日程が決まったのか?」「はい、1ヶ月後大阪国の準備が整い次第、大阪国へ出向いていただきます。」「分かった。」
1ヶ月後 総理官邸入口ーー。
少し肌寒い風が吹いていた。
目の前に黒い国有車が停止した。秘書の一人が、後部座席の扉を開けると東島が俺を促す。
俺と秘書、東島で大阪国へ向かった。
滋賀から大阪へはそれ程遠くは無いが、あくまで敵国である京都国は通らなければならない。
だが、その点は安心出来た。 戦馬が命令を下し、陸軍一等兵及び指揮官精鋭部隊約300が、装甲車2輌と戦車2輌を引き連れ我々を追従しつつ、警備を徹底しているからだ。
無事、何も起こらずに大阪国の総理官邸へと辿り着いた。
対京都国戦争講和会議ーー。
奈良国はとうとう姿を現わす事は無かった。
「この戦争において我が国の空軍部隊の活躍は目覚しいものがございました」
会議は大阪国大将杉井を中心に順調に進む予定であった。戦馬は立ち上がり杉井に目を向けた後、すぐに俺を見た。
「閣下!領土分割に際しまして、我々の取り分を加増するというのはいかがでしょう。」
俺は頭の中でこの男に対する一瞬の怒りを覚えたが、冷静に対処ぜざるを得ない。
大阪国との争いだけはなんとしてでも避けたい。いや、なんとしてでも避けなければならない。この日本列島を滋賀国の下に1つとするために。
「俺にはお前がなにを考えているのか意味が分からん。お前は戦争前の同盟の趣旨を理解していないのか!」
戦馬はそれほど動揺していなかったが、杉井は目を剥いていた「お前は日革会から派遣された者であろうが!同盟破棄は違法に繋がり兼んぞ!」
戦馬は無言で俺に深々と頭を下げた。
京都国大将は川田 啓一と言う者であったが細身の高身長で杉井と比べると対局とも言える程に威厳の雰囲気がゼロであった。
川田は会議中いっさい言葉を発する事なく、講和のためにサインをしただけであった。
講和会議自体は結局、同盟締結時の通りに終わった。
京都国の東半分を滋賀国とし、政治の実権を握る。大阪国と滋賀国の軍事的同盟は単なる停戦協定へと下り、今後の良しなを誓った。
今後はこの1.5倍となった国土から列島の統一を図る。
あくまで大津を首都として、空軍の本拠を比叡山京都向きの麓南側に移動した。そして、かつて京都国にあった海軍は大阪国がその全勢力を、我々は陸軍を吸収したため、陸軍は戦前の2倍となった。
かくして俺は初陣に勝利を収め、戦争のやり方を少しばかり分かった気になってしまったわーー。




