(最悪の)日曜日
ありったけの力を込める。相手がナイフを持っていようと、自分のカノジョの親父さんであろうと今はそんなこと関係ない。カノジョが殺されかけている。それだけで殴るのに十分な条件だった。僕の拳が親父さんの顔面を捉える。クリーンヒットだ。右手が尋常じゃないぐらい痛い。電流を流されたかと錯覚するほど、ビリビリジンジンしている。親父さんも顔を抑えて蹲っている。今の内だ。
「立てる?」
「ちょっとムリかな。」
仕方ないのでおんぶすることにした。今度は玄関から出る。
そのまま走る。遠くならどこでもいい。とにかく遠くへ逃げなきゃ。
少し走って体力は限界を迎える。ちょうど公園がある。とりあえず休もう。こんな事なら部活しときゃよかった。ベンチに彼女を座らせる。
「その足の傷、大丈夫?」どう見ても大丈夫ではない。
「あぁこれ?まだちょっと痛いかな」
血は止まっているようだが一応何か巻いといたほうがいいかな。包帯がないので僕が来ている長袖のシャツの袖を破いて巻きつける。かなり痛々しい。すぐにでも病院に連れて行ったほうがいいのだろうが、こんな時まで患者を診てくれるお医者様はいないだろう。
その日は公園の遊具の陰に隠れて寝た。
何事もなく朝は来る。お腹がすいた。何か詰め込みたい。たしかここに来る途中コンビニがあったはず。カノジョに待っててくれるよう頼み、コンビニに向かう。
コンビニの中は予想通り誰もいない。とりあえずレジ袋を拝借。そこにおにぎりだのサンドイッチだのを詰める。大きいレジ袋3つぐらいの食料と飲料を獲得した。小走りで公園へ帰る。
公園に帰ると、カノジョは言いつけを守り待っていてくれていた。
「おかえり」
「ただいま」
笑顔で僕を迎えてくれる。なんだか同棲しているみたいだ。
そんな日が何日か続いた。そして日曜日。街に転がっていた死体のほとんどは『かかりいん』によって片付けられた。
タイムリミットは今日の24時まで。それまでに一人殺さないと僕は殺される。
でも人を殺める覚悟もなければ勇気もない。
できることならカノジョと最後まで生き残りたい。
日曜日、普段なら学校が休みで楽しみな日。だが今回は一番来てほしくない日。夏休み明け一発目の登校日みたいなもんだ。
「今日って日曜日だよね」
そう。今日は最悪の日曜日。人を殺せない善良な市民が、この街から絶滅する日。
目指せ十話!!!
一話から読んでくれてる人もそうでない人も、こんなものを読んでくれてありがとうございます。
まさか一日二回も更新するとは思いませんでした。それほど暇になるとも思っていませんでしたw
録画した番組は全部見たし、明日はどうしようか悩んでおります。多分続き書くと思います。ので、引き続き応援よろしくお願いします。
コメント、評価して頂ければ幸いです。
kaliumu