スタート
とにかく急げ。走れ。動け僕の足。この街は、世界は完全に狂った。もうこの街に笑顔なんて華美なものはない。遭ってはならないものが同時に、多数起こった。殺人。この街のほぼ全域で。今、この街にあるのは、悲鳴、嗚咽、泣き声・・・どれもマイナスなものばかりだ。人は追い込まれるとこんなにも変わるんだな。ホント、バカばっかりだ。
三時間前に遡る。
今週限定
『しんてんがないので、たいむりみっとではないがひとりずつ』
『こ・ろ・す』
『5ふんごとに。だ』
突如、テレビの画面が変わり、このような放送がされた。その後、この街の何人もの人が『かかりいん』によって殺された。
生きたいと願った人々は人を殺し始める。僕は家の中にいた。カノジョからも連絡があり、今は家でいるらしい。家にいれば大丈夫。そんな安心さえする暇などなかった。大丈夫な場所などどこにもない。それを知るのにそんなに時間はかからなかった。
『なっ何をす――――――』
キッチンから声が聞こえた。思わず駆け足になる。そこには――――――
腹部が鮮やかな赤に染まった父と、こちらも返り血で腕とエプロンが真っ赤に染まった母の姿があった。父は冷蔵庫に背中を預けて座り込んでいる。母は足が棒にでもなったかのように真っ直ぐに突っ立ていた。ナイフを握った手を見つめている。僕の脳みそが消化不良を起こす。どういうことだ?死んでる?殺したのか?ぼーっとしていた頭が急に回り始める。固まっていた足が何かに取りつかれたように動き始める。二階に駆け上がり、机の引き出しを開けたナイフだけを握りしめ玄関に向かう。母はまだ突っ立て、父を見下げていた。
そして今に至る。
ほとんど何も考えず走った先はカノジョの家だった。インターホンを連打する。早く出てくれ。
扉の向こうから声がする。
「やめて!来ないで!」
微かに聞こえたのはカノジョの悲鳴だった。右側にあるウッドデッキ回る。花が植わっている鉢植えを窓に投げつける。さすがに一つでは窓は割れなかった。一つ、また一つ投げつける。三つ投げつけてやっと割れた。そこから部屋の中に侵入する。
涙ぐんだ眼のカノジョがそこにいた。太腿に切り傷があり尻を引きずり後ずさりしている。対峙しているのは、父親だった。母親の姿は見当たらない。
「ソラ!助けて!」
一話から読んでくれている人も、そうでない人も、こんなものを読んで頂きありがとうございます。作品と呼べるにはまだまだです。
改めましてどうも。今回で早くも4話目。彼女いないやつが彼女いるやつの話を書くのはつらいものがありますw俺もいつか甘酸っぱい青春を・・・なんて夢は青春が終わるまでに来るのでしょうか。少し心配です。
引き続き応援よろしくお願いします。コメント、評価していただければ幸いです。
kaliumu