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sky the ripper  作者: kaliumu
2/6

ナイフ

 訳の分からんニュースだった。あまり深く考えず布団に入る。朝から歩き回っていたせいで疲れていたのか睡魔に襲われるまでにそう時間はかからなかった。大丈夫。また、いつもどうりふつーの明日が来る。はずだ。


「あら、おはよう。今日は早いのね」


朝起きるともうすでに母が起きていた。母はまじめな人だ。専業主婦で家事も炊事もそつなくこなす。母曰く「子供の成長を見るのは幸せ」らしく中学の時の参観日も毎回来ていた。完璧な人だが通販などにひかれやすい。何事も信じやすい人なのだ。


「お、おう。」


どこか気恥ずかしくて素っ気ない挨拶しかできない。すまん。母よ。


 母は「早い」と言っていたがもう7時半だ。今日は月曜日なので学校がある。学校は嫌いではない。成績こそそこそこだが、友達は多いほうだと思う。友達といるのは楽しい。


 いつもどうり支度をし、朝食をとって家をでようとしたちょうどそのころ、


 ピーンポーン


 家に備え付けられたインターホンが、自らに与えられた使命を全うしようと精一杯叫んだ。


「はいはーい」


母が玄関へ小走りで向かう。


朝からインターホンを強制労働させたのは宅配業者らしく、段ボールを持って台所に帰還する母。「何かしら」と、ふしぎそうにつぶやく。僕に目くばせする。「あんたのにもつ?」という意味だろう。首を横に振って音声のない会話を成立させる。「お父さんのかしら?」と言いつつ、何の躊躇もなく段ボールを開ける。


 中にはナイフと手紙のようなものがあった。ナイフは胸に突き立てれば心臓まで届きそうなサイズだった。


 『一週間以内に人を一人ころせ。そうしなければ殺す。ナイフは随時携帯しろ』


これが手紙の内容だった。


こんな短文で済むならA4の紙なんて使うなよ。


間の抜けた感想が頭に浮かんだ。


当然、手紙の内容は無視。通いなれた通学路へ向かおうと玄関を出ようとする。

「んじゃ、僕は学校あるから。とりあえずそれは触らないでおいといて。」

母は首を縦に振る。時計を一瞥。やばっ時間ない!急いで指定の通学路を使用すべく靴を履く。


そこで携帯が鳴った。なんだよこんな時に!キレ気味にスマホを操作する。メールが一件入っていた。


 『命令に従え』


単純明解でよろしいメールだ。作文的には相変わらず「頑張りましょう」のハンコを押したい。無視して出ようとする。玄関のかぎを開け、ドアを開けた。そこには、ガスマスクをして黒い軍服(?)を着た男が立っていた。


「荷物は届かなかったか」と、一言

「ナイフは常に持ち歩け。と書いてなかったか」


ナイフは随時携帯しろ、とは書いてました。と、訂正を入れることができるほど僕の肝は据わっていない。しかも、くろ男(勝手に命名)は拳銃らしきものを持っていた。白昼堂々法律違反とは、なかなかのワルだ。


しかたなくナイフを持って登校することにした。拳銃持ってたんだから仕方ない。


平常心、平常心そう言い聞かせて登校する。ナイフの一本鞄に入っているだけで恐れることはない。後にも先にもナイフを所持して登校するのはこれが最後だろう。なら、これをポジティブに捉えるんだ。このスリルを楽しめ。通学路に交番がないのが不幸中の幸いだな。


学校につくと三分の一ぐらいの生徒が欠席していた。来ていない生徒は市外から通っている生徒だけらしい。封鎖って本当の事だったんだ。でも、こんな事ってあるのか?あっていいのか?


 午前の授業が終わり昼休み。昼飯は屋上で食べる。もちろん、カノジョと一緒に。この学校は中庭が広く、素晴らしくきれいに整備されている。昼休みは昼食をとる生徒でいっぱいになる。屋上は誰もいない。必然的に貸切になる。


 廊下でカノジョと落ち合い屋上に出る。母が朝早く起きて作ってくれた弁当を広げる。カノジョは自分で作るらしい。家庭的なところがgood。


「ねぇねぇ」


ウインナーを頬張ろうとしたときカノジョが話しかけてきた。


「ウインナーはやらんぞ」

「そんなんじゃないよ」


ふつーに流された。


「なに?」

「今朝さぁ、ヘンなもの来なかった?」

「ヘンなものって?」


一瞬ナイフの事が頭をよぎる。


「いや、別に何も来てないならいいんだけど」

「もしかして、ナイフの事?」

「やっぱり来てたんだ。」


言ってから気が付いた。もし、ナイフじゃなかったらどうしてたんだ?


「あの手紙の内容、あれ本当なのかな」

「大丈夫だよ。あんま真に受けないほうがいいんじゃない?イタズラだよ。」

「でも、クラスの来てる人全員がナイフ持ってたんだよ?街の封鎖と何か関係あるんじゃないかな?」


その線は僕も考えた。でも、何のために街を封鎖したのか、僕たちに何をさせたいのか、一般人の僕には分かりかねる。


「心配することないよ。きっとただのイタズラだよ。」


きっと、きっとそうだ。そうであってほしい。というかそうであるべきだ。


「そう・・・だよね。うん!多分何とかなるよね!」


まだカノジョには不安が残っているのか、少し無理をしているように見えた

 一話から読んでくださっている方も、これが最初という方も、読んでくださりありがとうございます。

 一話に比べてだいぶ長くなりました。スミマセン。今度からは1000字程度を目指して頑張りたいと思います。まだまだ続く予定なので応援よろしくお願いします。

 ps コメント、評価共つけていただければ幸いですw

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