圧倒的な力
「権能...」
「教えてください。魔王は生きているのですか?魔王とは何なのですか?一体なんのための―――」
するとそのシエルという、おそらく神であろう者はoXの方へと歩み寄っていった。マズいと思い即座に助けようと動き出したが、俺よりも早い速度で機械の腕がシエルの方へと迫っていた。
刀を振って白い刃を飛ばして攻撃するが破壊しきれず表面に多少の傷が付くのみで、もう助けようもなかった。
ガキンッ
「穢れた力で滅した貴女が穢れた力を振るうか...久しいわね、2000年ぶりかしら?あの子はもういないけど替わりに私が意志を継いでいるわよ。」
シエルの両手には刀身が白く輝く刀が握られて迫って来た巨大な機械の掌を貫いていた。そして次の瞬間、それは白い光に飲み込まれ砂と化していった。
「光翼の力...#@&!%を返せ...あの子を返せ...!!返せ返せ返せ返せ返せ返せぇぇぇぇ!!!」
巨大な機械の掌は全てシエルに狙いを定めて白い光の線を次々と放っている。いくら神とはいえども、その圧倒的な物量にどうするのかと身構えていたが、当たる前には全ての攻撃がなかったかのように消えてしまっていた。そして溜息を付きながら呆れた顔をしている。
「はぁ、私は識る権能だけど、あの子の力を継承しているのよ?それに、あれはあの子が求めてしたこと。聖霊に戻ってしまっても妹を忘れられない貴女には、私があの子を見捨てたように思うかもしれないけれど、だからと言ってあの子がしたことを否定はさせないわよ。」
「がぁぁああ!!」
「さて村雨雫、あの聖霊を解放してあげなさい。今の貴方であれば些事よ。」
振り返って渡してきた白い刀を受け取った。すると流砂のように廻りが遅かったあの力の流れが劇的に早くなり、白い刀を通して駆け巡っていた。これなら勝てる、間違いなく。
「七ノ型『華水月』!」
穿たれた心臓から白い光が溢れ出し、全身を包み込みながら少しずつ砂へと変わっていき、最期は僅かに残った光の粒が水の中を揺蕩むように揺らぎ消えていった。
「これで彼女は自然な形で甦ります。さて、そろそろ茶番は終わりに致しましょうか?」
その瞬間、全身に悪寒が走った。その場にいないにも関わらず、絶対的な死を連想させるような空気が全身を包み込み、久しく忘れていた本当の恐怖が身体を支配した。そう、これは他でもない...
「魔王が復活したわ。」




