結社『箱庭』
今日は待ちに待ったオニキス社への訪問日だ。
あの後、ロメロードは教団の尋問などで忙しいからと数日会えなくなり、エクシィは禁書を戻してくると実家に帰っていった。フィーもしばらく落ち込んでいたが、どうしてお母さんが死ななくちゃいけなかったのかしらないといけないから、ともう少し一緒に行動することにしたらしい。そして、生徒会長は念のためなどと言って俺の刀を奪っていってしまった。あとでちゃんと返すからと言っていたが、俺はそれがないと鍛錬しにくいんだが...とそんな感じで適当に過ごして今日というわけだ。
家で瞑想しているとインターホン鳴った。時間通りだ。俺は急いで階段を駆け下りて扉を開けるともう全員揃っているのが見えた。
俺はロメロードが手配した車に乗り込む。行先は勿論手紙に書かれた住所、オニキス社の研究所だ。どうやらツァイス中央都市から工業地帯ではなく、西側の区画にあるらしい。
そして車に揺られること30分。着いたのは厳重な塀で仕切られた場所にやって来た。敷地内を見ずに塀だけ見ると監獄に見えなくもない。入口も厳重で鋼鉄製の白い長い扉の端には警備員が常駐し、更に監視カメラまである。
俺は車から降りた後手紙の中にあったカードを警備員に手渡すと、重厚な扉は重苦しい音を立てながらゆっくりと開いた。そしてそのまま警備員に案内された俺たちは、奥にある大きな倉庫のような場所にやって来た。
「よく来たな、諸君」
「お前は...!!」
短い黒髪をした男はスーツに身を包み特徴的な赤いネクタイを付けている。40歳にも見えそうなその風貌は一見どこにでもいそうな男性だが、独特な雰囲気を醸し出している。まるでその場にいるだけで辺りを支配し自由自在に操りそうなその怪しい雰囲気は一度見れば忘れることはないだろう。
そしてその男性の背後には3人。白衣を着たラミア、金髪のレオンであろう人物、そして教会を襲撃したあの不審者。
「ようこそ。私はジェイル・オニキス。よろしく頼もうか、勇者。」
「面倒だけど一応。亡国の姫、ラミア・レム・レミフェリアね。」
「旧王家が末裔、レオン・ローズウェルだ。」
「久しいね。私はキール・ノートンだよ。」
そうしてオニキスは後ろを向き懐から何か棒のような物を取りだし壁に向けた。その瞬間、壁が下がっていき隠していた装置が姿を現した。複雑な配線と機械が置かれ、大きなガラス容器が目立っている。そしてその中には液体が入っているようだ。
「ふふ、君たちを招待したのは他でもない。勇者という役割は今日で終わる。その新しき世界を作る瞬間を見届けて欲しくてね。」
「は、はぁ?」
「魔王の恐怖と破壊という神によって作られた舞台装置から解放して人々が、私たちが人を正しく導く、それが結社『箱庭』の楽園計画だ。」
その瞬間装置に満たされた液体から眩い光が溢れ出してきた。そしてその光が収まると装置のガラス容器には人のようなものが現れていた。




