運命のいたずら
誰かを助けられる絶対的な力が欲しい。そんな心の叫びに誰かが答えたのだろうか。突如静まり返った世界に彼女は現れた。
美しい銀の髪に碧と紫のオッドアイ、幽霊を思わせるような透明な体。その神秘的な姿に思わず見惚れてしまいそうになるが、不思議と既視感がある。
「やあ、また会ったね村雨雫。」
「君は?」
「ああそうか、記録の回廊のせいか。まあ、観測者みたいなものだよ。それより知りたい...いや、欲しいんじゃないのかな?力を。」
「え?」
「正直私がここに現れて何をしようとしないとここでは君は変わらないよ。でもね、もう君のごっこ遊びは見飽きたところなんだ。これでも少しは期待しているから。だからね―――」
そうして突き出した人差し指は俺の額に置かれた。いや、感触はないし温度も感じられないので触れられたのかすら分からない。
「私はあくまあで観測者のようなもの。何を選びつかみ取るかは君自身にかかっている。真実が知りたいなら足掻いてみるといい。それがきっと...だから待っているよ。それじゃあね。」
そうして彼女は虚空に消えてしまった。
「村雨君?」
ロメロードの声で我に返る。何と言うか前後の記憶が曖昧いになっている。だがあの時と同じく身体から湧き上がってくるものがある。今ならいけると確信めいたのもがあった。考える間もなく攻撃寸前の魔王を止めるべくその力を振るう。
防御も反撃も何もしない魔王は諦めていたのかそうでないのかは分からないが、あるがままを受け入れたように突き出した刃から放たれた白い光線が貫くのを良しとした。
「―――え?なんで...どうして!?魔王には物理も魔法も、勇者の力以外どんな攻撃だって届かなかったはず!」
「お母...さん?」
フィーは翔け寄りその母の手を取ろうとするも淡く光り出した身体は透明度を増していき、触れることすら出来ずに最後は塵となって散ってしまった。その光景にフィーは翼を失ったかのように落ちてきた。
「フィー!!」
「どうしてお母さんが死ななくちゃならなかったの...?」
「それは――」
「君の母親が魔王、簡単に言えば世界の敵だったからさ。ねぇ、アルセフィーナ。」
そう言いどこからともなく突如として現れた女性は、金縁の丸眼鏡を付けて研究員のような白衣に身を包み、生徒会長を思わすような空色の髪をしている姿だった。




