魔王復活?
エリス教徒を制圧して教会の人が来てもう一安心というところに再び空気が張り詰める事態が起きた。突如として鳴り響く建物が破壊された音。辺りを見渡して分かったのは、その音が数ある倉庫の内の一つの屋根が吹き飛んだ音だった。そして空中に瓦礫をまき散らしながら現れたそれは太陽の光を背にして影しか視認できない。
「あれは...三対の翼の天使型魔族!!何故ここに!?」
「お母さん...?お母さん!!」
「おい待てフィー!」
ロメロードが狼狽するような明らかに危険そうな奴に母だと言い張るフィーを止めようとしたが、空を自由に翔けることが出来る彼女を俺が引き留めることなんてできる訳がない。
すぐにでも追いかけたいところだが考えなしに突撃すれば敗れることは必至だろう。ここは詳細を聞くべきだ。
「ロメロード、あれは何なんだ...!?」
「あの魔族...いいえ、あんな特徴的な姿をした存在なんて一つしか思い浮かばないわ。魔王――」
「嘘、だろ...?」
しかし俺の悲鳴にも近い願望は現実には届かずロメロードは首を横に振るだけだった。頼むから嘘か冗談であってくれと肩を掴み叫ぶが事実は変わらなかった。
「まさかフィーの母が魔王だなんて思わなかったわよね。でもどうして魔王が...亡骸は旧王家が保管していたはず。」
「言ってる場合か!?早くフィーを助けるぞ!」
「ええ」
そうして俺たち4人は魔王が浮遊する倉庫前までやって来た。見上げるとフィーと魔王が対峙している。
どうやらはなしかけているようだが、魔王の虚ろな瞳には彼女を認識している様子には見えない。
「エクシィ、お前空飛べただろ?何とかならないか?」
「無理ね。天族の翼みたいに自由は効かないもの。もし狙われたら上にいる彼女諸共消滅するわよ。」
「消滅!?」
「魔王の異能よ。眷属とは一線を画す力を持っているわ。私の故郷を消したみたいにね?」
「じゃあ魔法か銃弾で撃ち落とすのは?」
「それも無理ね。銃弾もたとえ魔法であったとしても存在があれば消す事が出来る。それが魔王の力。」
「そんな...」
そうこう話していても時間は過ぎ去っていく。非情に無常に。それは彼女にとっても同じことであった。
「ずっと心配でいつもお母さんのこと考えてた。辛いこともあったよ?でも――」
実の娘であるはずの彼女に魔王は手を向けた。世界はなんて残酷なんだろう、そう思わずにはいられなかった。




