願いの形
「やはりそうでしたか。もう手に入らないと思っていたイリス製品があっさり貴女から手に入ったのを考えるにもしかしたらとは思いましたが。」
「ふふ、流石に企業秘密の一言だけでは無理がありましたか。」
「それで、あのホムンクルスも貴女が?」
その言葉を聞いた瞬間、メーリスは勢いよく立ち上がりロメロードに迫っていた。その表情は焦りと困惑、不安と怒りと言った様々なものが渦巻いているようで、あまりの変わり具合に驚くほかなかった。
「ホムンクルス...!!どこでそれを!?」
「メーリスさん、落ち着いて。」
「私はこれでも技術者で研究者なの。父からはホムンクルスは第二の禁忌とよく聞かせられたけど、好奇心に勝てなかった私は一回だけ試しにと過ちを犯してしまったことがあるわ。今でも夢に出る...あれは人の形をした闇そのものよ。」
普段の落ち着いた印象とかけ離れた、冷や水を頭から被ったように真っ青な顔をして目に涙を浮かべるメーリスは震える手で机に手を置き支えにしようとするが足元がふらつき今にも倒れそうになっていた。
そしてそのまま数秒が経ち落ち着いたころ、メーリスは閉ざしていた口を開いて決意を表した。
「ロメロードさん、私は錬金術を扱うものとしてホムンクルス製作者に鉄槌を下さねばなりません。それが亡国の姫としての矜持です。教えてくださいますね?」
「メーリスさん、貴女の決意は分かりました。ですが、私たちも情報を集めていますが製作者についての手掛かりはないのです。ただ、今回エリス教団が貴女を狙った理由が分かれば何か掴めるかもしれません。」
「そうですか。でしたら調査に私も加えてください。錬金術としてでなく戦力としても期待できますよ?」
そういうと彼女はポケットから親指サイズの金属片と取り出して手に乗せて皆に見えるようにした。そして金属片から微かな光をが出たと思えば粘土でもこねたように形が変形していき、ほんの数秒で銃が出来てしまった。
「魔法でも魔力を対価に物質を作れるけど精密さはない。でも現象は起こせる。私はね、本質的なものを考えれば錬金術も魔法も似たようなものって思うの。人の願いの形が具現化できる技術、それを悪用はさせないわ。」
「私の魔法はそんな綺麗なものじゃないわよ。」
メーリスの熱意が篭った真剣な表情とは対称に、エクシィは彼女の言葉からなのか横顔でも暗いと思えるような悩ましく追い詰めた顔をしながら誰にも悟られないくらい小さな声で呟いた。
「分かったわ。とりあえずメーリスさんにも今後の活動に同行することにしてもらうわ。」
「ふふ、ありがとう。ロメロードさん。」
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