メーリス・リム・レミフェリア
唐突に始まった小さな茶会のようなものに身を任せてしばらくして、本部の人を案内しに行ったロメロードがようやく戻ってきた頃には半刻が経っていた。
忙しそうに倒れた教徒を連れて行く様子を横目に雑談に花を咲かせる剣士とメイド、それと熱心に読書をする魔法使いという異様な光景を見た教会の人はきっとこう思うだろう。なにこれ?と。
「はぁ、疲れる。メーリスさん、悪いけど放課後に話を聞かせてもらうわよ。」
それだけを言い残して帰ろうとするロメロードを彼女は止める。
「良ければご一緒しませんか?」
「まだ仕事が残ってるの。」
「そうですか。それではいってらっしゃいませ。」
その言葉を聞き終えた彼女はまた忙しそうにどこかへと向かっていった。そしてそれと同時に午後の授業の予鈴がなり、俺たちを再び平穏へと呼び戻した。
放課後になり家に帰宅すると早速見慣れない靴が玄関に整えられていた。妹の好みと成長を間違えるはずもないので他人の靴であろうことが簡単に予測できてしまう。
「ただいま~。」
客間の扉を開けると全員の視線が一気にこちらに集まる。4人の見慣れた顔と意外な人物が1人という賑やかさで狭い客間を圧迫していた。
「お邪魔していますよ、村雨君。」
高級住宅でもないこの家には似つかないメイド服を着た生徒会長がそこには座していた。最早突っ込む気にもならない服装よりも、ここがこの何とも言えない団体の集会に使われていることに溜息すら出て来る。思わず頭を抱えそうになっているとエクシィが自分の隣にある椅子を軽く叩きながら催促してくる。
「待ってたよ~。ほら、あんたも座って。」
どうにもならないなと悟った俺は何も言わずに席に着き、その言葉を待つ。
「まず最初に気になったこと。どうしてエリス教団が生徒会長にしか興味を示さなかったのか。一応貴女の事を調べさせて貰ったのだけどわ。」
淡々とした口調にその場の全員が息の飲み彼女の声だけが室内に響き渡る。
「生まれは不明、孤児院育ちで引き取り手はとある雑貨店の店主と書類には記載されているわね。ところで話は変わるけど、およそ11年前に留学に来た外国の少女が魔王討伐戦後には行方不明になっているそうなの。名前は...何て言ったかしら?」
彼女の煽るような発言に会長は机に置いた両手を組み、視線を下に落として不安を露わにしていた。その様子を見ていた楓は遮るように声を挙げる。
「アルメラさん、誰にだって言いたくない秘密はあると思うの。そんな風に攻めるのは...」
「楓さん、申し訳ないのだけれど今は重要な話をしている最中なの。教団が生徒会長を標的にしている理由...もし私の予想通りであれば命が危ういわ。」
その瞬間、再び訪れた静寂に張り詰めた緊張感が漂う。そしてその静寂を破ったのは他でもないメーリスであった。
「ふぅ、そうね。私がその行方不明になった外国の少女よ。改めまして、レミフェリア錬金国の末姫メーリス・リム・レミフェリアです。」
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