経営者
「待って!!」
俺たちをエリス教徒と勘違いした彼女は照準のそのままにトリガーを引こうとするのでロメロードが呼び止める。
「私よ、アルメラ・ロメロードよ。」
私服とは思えないメイド服という奇抜な恰好に空と同化できそうな綺麗な長髪。一度見ればその異質さに忘れることができない存在、生徒会長のメーリス・マイモント。彼女はこちらの存在が危険でないと判断できると即座に銃を降ろした。
「まさか貴女がここに来るなんて思わなかったわ。生徒会室にようこそ。」
「別に貴女に用事があるわけではないのだけれど。」
「それとそちらの二人は、村雨雫君とエクシィ・サークラリアちゃんだったかしら。いらっしゃい、今お茶を用意するわね。」
俺とは一度会ってるとはいえエクシィの事まで知っているとは思っていなかった。前の大会の事についても耳には入っているのだろう。伊達に生徒会長をやっているわけではないな、なんて思っていると本当にお茶の用意を始めてしまった。なんとなくしっかりしたイメージだったのでマイページな彼女に思わず困惑してしまう。
「えっと...?」
「心配しなくても大丈夫よ。ここに来る前に本部に連絡してあるから。それじゃ。」
そう言うとロメロードは生徒会室の外に行ってしまった。恐らく本部の人の案内やらがあるのだろう。
おれは特にすることもないので座って待ってみることにしたのだが、入口に倒れている教徒が気になりどうにも落ち着かない。エクシィの方はというと、どこからか取り出した本を片手に椅子を引き座っていた。敵が近くにいるのにも関わらず顔色一つ変えず読書をする姿は、例え襲ってきたとしても返り討ちにできるという自信の表れでまさに強者と言っていいものだった。
少し経つとそれぞれに紅茶の入ったカップと包装されたクッキーが配られた。普段紅茶は飲まない俺だったが漂う紅茶の香り高さに鼻孔がくすぐられ、衝動のままに一口頂く。すると熱を帯びたままの液体は、その香りと苦みが口の中いっぱいに広がり張り詰めた緊張をすぐに解してしまった。
「ふふ、セレネスです。気に入っていただけましたか?良ければそのクッキーもご一緒にお召し上がりください。」
「ありがとうございます。」
セレネスというとどこかの国の名前の土地だろうが、この美味しさと言ったら間違いなく高級茶なのだけは素人でも分かってしまう。きっとこのクッキーも格別の美味しさを誇っているのだろうと包装に目をやると小さくメーリスの名前が変わった書体で刻まれていた。
「このクッキーってもしかして?」
「見つかってしまいましたか。村雨君は良い眼を持っていますね。実はこう見えて会社を経営してるんですよ?」
「え!?」
誇らしげに語る彼女とは反対に俺は困惑してしまった。メイド服で学院生活を送る変人が経営者!?とこれが思わずにはいられない。エクシィもそうだが天才は変人というのが世の常ということなのだろうか。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
「面白い」
「続きが気になる」
と思ったら
良ければ下にある☆☆☆☆☆から評価を付けて頂ければ幸いです。
ブックマークも付けて頂けると大変嬉しいです。
何卒よろしくお願いします。




