謎の病
「今日ここによったのは用事があったからなの。」
それを言われてすっかり忘れていたことを思い出す。
「そうそうだよ!ロメロードはなんでうちに来たんだ?」
「それを今から話すのよ。落ち着いてくれるかしら?」
「すまん。」
「本題なのだけれど、実は南西にある村周辺で突如謎の病が発生してるのよ。」
「え?なんでそんなことに?」
「その村、近くの川から水を引いて暮らしているのだけれど、その川が原因であることが判明したわ。で源流まで辿って原因を突き止めてこいとのことよ。」
そういうロメロードの顔は呆れ切った顔をしていた。いつものことなのだろう。
「つまりそれを今から?」
「ええ、貴方が風呂に入ってる間にエクシィさんにも連絡したから準備をしておいて。」
毎度のことながら忙しないな、なんて思いながら準備を進める。自室まで刀を取りに行ったところでニコラスの顔が頭に浮かぶ。あいつのことだから俺が居ないと分かると悲しい顔をしそうだなと。いつでもいるとは言っていないので諦めてもらうしかないか。
そうして準備が整ったところで丁度よく家の呼び鈴が鳴る。きっとエクシィが来たのだろうと迎えに行こうと部屋を出たところで楓と鉢合せになった。
「あれ?兄さんまた出かけるの?」
「ああ、また遅くなるかもしれないから。」
すると楓は暗い表情を浮かべている。
「待ってるから、絶対に帰って来てよ。」
「当たり前だろ?」
妹の寂しそうな表情は見たくないが助けれる人は助けたいというのも俺の流儀だ。だから一時の寂しさを和らげるため頭を撫でてやる。
「兄さん...」
そういう楓の表情は穏やかなものから別の何かに変わっている。正直妹の初めてみる表情だったのでどんな感情が篭っているかわからない。なんだか鋭く尖っているような気もするが気のせいあろうか?
「兄さん、あんまり女の子にそういうことしちゃだめだよ?」
「え?ああ。」
「ちょっと~、まだ~?」
玄関の方から聞こえてきたのはエクシィの声だった。急いでいかないと、と行こうとしたら俺の服の袖を引っ張る感覚が伝わって来た。振り返ると最近になってようやく見慣れた少女が一人、我が家で世話をしているアルセフィーナことフィーが俺の服の裾を掴んで離さない。
「フィーも一緒に行く...!!」
だがな、と言いかけたところで今度は手首を掴み訴えかけてくる。よく見れば腰に剣を携えている。刀身の形を見るにレイピアだろうか。
「魔法も使えるから、だから...!」
とりあえず俺だけでは連れて行くかどうしようもないので玄関の方まで連れて行く。そしてフィーを連れた俺を見た二人は予想通り驚いた顔をしているのだった。
「フィー?もしかして貴女も付いてくるの?」
「うん。もう皆にフィーのことで迷惑かけたくない。それに恩返しもしたいから。」
そう訴えるフィーの表情は真剣そのもので確固たる意志を宿していた。
「わかったわ。これからよろしくね、フィー!」
ロメロードは一瞬諦めたような表情を見せながらもフィーのその真剣さに心が揺れたのか笑顔でフィーを歓迎していた。




