その後
「やめろ!!」
夢の中で叫んだつもりがどうやら現実で叫んでいたようだ。そして自分の声で目が覚めてしまった。辺りを見渡すと知っている光景、自分の部屋だった。
「なんでここに...?」
そこまで言ってようやく今までのことを思いだした。大会で負けたあと現れたエリス教徒。そして謎の銀髪少女。確実に倒したはずだがあんな悪夢の後だとどうにも皆が無事か気になる。
時計を確認すると時間は昼前。俺は布団から出て楓の部屋に向かおうとしたが廊下から足音が聞こえてきた。音の感覚と響き方ですぐに妹だと分かった。そしてその足音は俺の部屋の前で止まる。
「兄さん、開けるよ。」
その言葉と共に襖は開かれ俺の無事を確認した妹は急いで駆け寄り抱きついてきた。
「兄さん!!」
「ああ楓、おはよう。」
「心配したんですからね...!」
「すまん。」
妹が落ち着きを取り戻した後俺はあの後どうなったか聞いてみた。
大会だがあんな状態では続行できないと中止になったそうだ。俺が倒したあの銀髪少女はエクシィが気になることがあると言って連れて帰って、エリス教徒は後から来た教会の人が回収していったそうだ。そして俺をここまで運んでくれたのはロメロードだったそうだ。まあ正確にはロメロードが手配した車だが、一応礼を言っておこう。
「ああ、あとアルメラちゃんが今日家に来るって。多分もうそろそろなんじゃないかな?」
そう言うとタイミングがいいことに呼び鈴がなる。妹はすぐに玄関の方へ行きロメロードを俺の元へ連れてきた。
「良かった、目が覚めたのね。」
「ああ、ついさっきな。ここまで運ぶ車を手配してくれたの、ロメロードだったって聞いたぞ。一応、あ
りがとな。」
「え、ええ、どうも。」
ロメロードらしくもない生返事が気になり様子を伺ってみると、目を逸らしてしまった。多分だが、こういう時はきっと後ろめたいことがあるに違いない。
「ロメロード?」
「あっ、えっと、そう!ここに来た用事。良い知らせと悪い知らせがあるけどとちらから聞きたいかしら?」
やっぱり何か隠してるんじゃないか?とそう怪訝になってしまう。
「じゃあ良いしらせから。」
「エリス教徒から押収したあの小瓶のことだけれど、動物実験で危険な物と分かって違法薬物認定されたわ。そしてそれを大量所持しているであろうエリス教団はめでたく犯罪組織になったわ。」
「じゃあ悪い知らせっていうのは?」
と聞いてみたところロメロードは溜息混じりに話し出す。
「...あの場所にエリス教徒が来るであろうことは事前に察知していたわ。それで普段からお互い敵視しているエスタリア聖教と聖霊教会が共同警備に当たったまでは良かったのよ。事件の被害も少なかったしね。ただ貴方のその力を見た人がいてね。うちの上層部は魔王復活か?とか新たな種族の始まりだとか言って...簡単に言うと貴方の監視が厳しくなりそうなのよ、しかも私一人でそれをやれって。」
そこまで言ったところで大きなため息を着いてへたり込んでしまった。




