無力化
「ホムンクルス!!まさかあなたは禁書で造られた...!」
そこまで言ったところで白装束が口を挟んできた。
「...私はここで帰らせてもらう。」
「待って!!それじゃあ話が違うじゃない!?」
「余ったエリス教徒をそちらに引き渡す。それで手を引かせてくれ。」
ロメロードはしばらく考えたあと静かに頷いた。そしてその意味を受け取った白装束は空間の歪みと共に帰って行ってしまった。
「命令破棄、エラー。命令破棄、エラー。命令破棄、エラー。」
能力を使う少女はただただ虚空を見つめて意味不明な独り言を喋っている。俺たちを殺そうとしているが結界に阻まれ出来ないといったところだろうか。しかしこちらもどうしたらいいものか、そんなことを考えているとエクシィが口を開く。
「あの子をどうにか無力化して色々と調べたいのだけれど、2人とも協力してくれるかしら?」
「ええ」「分かった、でもどうやって?」
「私の魔力残量も少ない。だから結界を解いた一瞬のうちに気絶さして。最悪は殺しても構わないわ。」
人を殺す...?人を守るために磨いてきた剣術が人を殺すことになる。それを想像したらどれほど心が悲しく虚しいことか。ならば、その磨いてきた剣術を以てして相手を無力化すればいいじゃないか。それが少女の命と二人を守ることに繋がる。
「分かった、俺がやる。」
「陽動は私に任せて。手足を狙えば生死にすぐ関わる状態になることはないわ。だから村雨君はその隙にお願い。」
「ああ。」
「それじゃあ、3つ数えたら結界を解くよ。3...2...1...今!!」
結界を解いた瞬間、早打ちでロメロードは少女の利き手であろう右腕を打ち抜く。そしてそれと同時に俺も少女に接近し腹部に重たい一撃を入れる。人間なら間違いなく気絶する一撃だった。しかし、少女は変わらず虚空を見つめ静止している。
「排除」
そしてロメロードが確実に打ち抜いた右腕がこちらに向けられてしまう。
「やばっ」
あの男のように死んでしまう。どうすればいいのだろうかとそんな考えもない真っ白になった頭で、俺の身体は自然と動いた。自分でもよく分からないが壊れたはずの意味のない刀を鞘から取り出し少女に振り下ろす。折れた刀身はそれを補うように白い光が刀を覆い、その光が少女を切り裂いた。
バタっと人が倒れる音が耳を伝い脳を刺激する。視界を通して自分がどういう状況で何をしてどうなったか漸く思考が追いつく。
「え?」
困惑、恐怖、安堵、様々な心が一気に俺を身体を支配しその場に倒れてしまった。




