テロリスト
観客席に帰る道中、刹那に言われたことが気になっていた。フィーから目を離すな、王家の谷を調べてみろ。一体彼は何を知っているのか、そんなことを考えているとどこからから爆発音が聞こえてきた。次の試合はまだな上に魔法試合ではなかったはず。そして観客席からだろうか、悲鳴のような声も聞こえてきた。嫌な予感はする。色々考えるのは後にして急いで戻ることにした。
観客席に戻ると数人の黒衣が3人を囲っている。
「ここに居られましたか姫。さあ、我らと共に新たな世界を作りましょう。」
フィーに跪きながら意味の分からないことを言っている集団を前に助けないとという気持ちより不気味さが勝ってしまう。
「なんなのよあんたら、この騒ぎもあんたらが...?」
「穢れ無き世界には心と魂は必要ありません。彼らはエリス神の元で平穏に暮らせるのです。ああ、なんて喜ばしいことでしょう...!」
そう言いフィーに手を伸ばそうとしているのを見て咄嗟に動く。
「やめろ!!」
フィーが連れていかれないように前に塞がる。
「村雨君!戻って来たのね。丁度いいわ、こいつらを無力化して捕まえるわよ。」
「ああ、任せろ...!」
人数は5人。対してこちらは3人。とりあえず正面にいるフィーを誘拐しようとした奴に思いっきり殴って気絶させる。2人も対処しているが残りが間に合わない。もうあの時の小瓶を持っていた。
「何をしている。」
空から現れた白装束の男?は残りのエリス教徒を一瞬にして無力化してしまった。
「またお前らか『聖天十二星核!』。教会の飼い犬如きが我らの崇高な使命を邪魔しおって!こうなったら...来い、aF!」
その掛け声と共にどこからともなく現れたのは銀髪の少女だった。そして彼女は特に何をするでもなくただ虚空を見つめている。
「何だ?」
「おい、アーフェ!こいつらを皆殺しにしろ!」
すると少女はそいつ方に向きジッと見つめて手の平を向ける。何をするのだろうか?そう思った瞬間、命令をした男が彼女の放った炎に包まれ声を挙げる時間もなく一瞬で灰になってしまった。
そして、人を殺したというのに顔色一つ変えずこちらに振り返った。その様子がとても人間とは思えないもので不気味に感じてしまう。
「第一命令を遂行。第二命令を実行する。」
そうしてあの男と同じようにこちらにも手の平を向けて炎を放ってきた。
「まずっ...!」「アンチマテリアル」
死を覚悟して思わず目を瞑ってしまったが、エクシィが結界を張ってくれたのか熱を感じることはなかった。
「あの子の使ってる炎、魔力を感じないわ。」
「魔法でないのにあの威力。もしかして...!!」
「ええ、十中八九能力によるものでしょうね。」
すると少女はこちらに炎が効かないことが分かったのか次の手を用意してきた。
「聖霊による具現化攻撃失敗。分析...次の段階へ移行。」
拳銃を二丁と取り出してこちらに発砲するが結界に阻まれ一つも当たることなく弾が尽きてしまう。
「物理的な阻害要因を確認。実行プロセスを更新。制圧不可能、第二命令を破棄...エラー。」
さっきから意味不明な事を自分で問答してなにがしたいのか全く分からない。そもそも少女は人間なのか?
「一体お前は何者だ...?」
思わず口に出てしまった言葉を少女は答える。
「私はAf型ホムンクルス、製造No.3。」




