村雨流剣術
「ほう、あれから少しは成長したのだな。」
「あんな惨敗をしたのは初めてなんでな、最初から本気で行かせてもらう。一ノ型『三日月』!!」
2週間前より確実に成長した一撃が刹那を襲う。音速ほどに成長した抜刀では流石の鬼人でも捕らえることは難しいはずだ。しかしそんな思いも簡単に打ち砕かれた。
「遅い!」
軽々と受け止められた一撃を前に憂う暇などなく容赦のない反撃が飛んでくる。
抜刀の構えか。今の俺なら力の流れを読んで弱い部分に付け込み防ぐことが出来る。そうして防御の姿勢を取ったのだが、その体勢が意外な形で崩れてしまう。
「一ノ型『三日月』」
「な!?」
余りの動揺に体勢を崩した俺は場外まで飛ばされそうになるが何とか耐える。何故?そんなことを考えている余裕もなく刹那は追い打ちをかけて来る。
「三ノ型『残月』」
後ろが場外なのが分かっているから右に躱して体勢を整える。そして更に横凪の一撃。これは避けられないと感じ防御を取る。
「何故と言ったような顔だな?」
「残月は見せたことないはず!?一体どうやって...?」
その瞬間刹那の込める力が強くなりじりじりと後ろに後ろに押し込まれる。
「簡単な話だ。君の祖父には世話になった、それだけだ。」
そして更に強くなった力に押し負け後ろに吹き飛ばされてしまう。マズいと思った時にはもう遅かった。リングの角まで来てしまった俺に更なる追い打ちが放たれる。
「四ノ型『彗星』」
体勢が整っていない状態での防御がいけなかったのか俺の刀は音を立てて真っ二つに折れてしまった。そしてそれと同じく俺の闘志も消えてしまった。
「勝者、――学園、刹那!」
また負けた。手も足も出なかった。その事実が俺の心を打ち付ける。悔しい、どうすれば勝てたのか。俺の頭はそんな後悔ばかりだった。そんな俺に刹那は話しかけて来る。
「前より強くなった。俺が村雨流剣術を習得していなかったらこの試合は負けていただろう。」
「なんだよ、それ。」
「君にはこの試合で負けてもらう必要があった。フィーから目を離すな。」
「え?」
刹那はその疑問の答えることなく刀を仕舞い退場しようとしていた。
「ああそれとフィーの母のことだが、『王家の谷』を調べてみろ。」
色々聞きたいことがあったが呼び止める前に行ってしまった。




