自分の実力
そして何回かの試合の観戦の後漸く俺の出番が回って来た。
「ツァイス中央学院。」
その放送を聞き対戦表を確認する。――騎士学院というとこの国で対魔用に用意されている専門部隊を育てる学校だったか。俺の実力を把握するは丁度いい相手だ。
「頑張ってね、村雨君。」
「もし怪我しても私が治してあげるから安心していってきなさい。」
「ああ、ありがとう二人とも。フィーも俺の試合応援してくれよな。」
「うん。」
そうして俺はリングに向かう。
盛大な歓声に飲まれそうになりながらリングの上に立つ。もっと緊張するかと思ったが意外と冷静な自分がいる。まだ戦いは始まってはいないが、万全の戦いを行うためには準備も大事だという。相手をよく観察して備える。相手の鞘の形に目を付け両刃のショートソードではないかと予想する。
その瞬間、嫌な記憶がよみがえる。俺が大会予選で勝てなかった相手、オルノス・マグナに負けたという記憶。2位でも大会には進むことが出来たとはいえ俺にとっては苦い記憶。
「落ち着け、大丈夫だ。」
自分にそう言い聞かせて落ち着ける。そうして試合の合図が出される。
最初に動いたのは相手の方だ。走りながら着実に俺との距離が縮まっていた。慌てる必要はない。今こそ鍛錬の成果を見せるとき。目を瞑り深く深呼吸する。そして周りの喧噪が聞こえなくなるほど深く集中する。そして一気に解放する。
「集極-合-」
まるで時間が遅くなったように感じる。相手の呼吸、目線の先、剣筋がはっきりと見え身体が自然と動く。相手の斬撃を師匠のように少ない動きで受け流し、そこに生まれた隙を逃さず着実の刈り取っていく。そしてそのがら空きの背中に強烈な一撃をお見舞いする。
「ぐっ」
その一撃を喰らった相手は距離を取る。そして全体重を乗せた上からの攻撃がやって来た。しかし極限まで集中した俺の前では彼の腹が隙だらけなのが分かってしまう。
「七ノ型『華水月』」
相手の急所と言える部分を突き確実に勝利への道を掴みとっていく。彼は流石に倒れるかと思ったが気合で立っている。一応距離を取り備える。すると彼は剣を鞘に納め構える。なるほど、それで終わらせる気か。俺も刀を鞘に納め型を構える。
そしてその様子に会場が静まり返った。風の音と自分の鼓動だけが耳に届く。
「六ノ型『月光』」
交錯した剣は確実にどちらかに届いていた。
背後で彼が倒れる音が聞こえる。
「勝者、ツァイス中央学院、村雨雫!」
その瞬間会場は歓声に包まれた。
そしてリングから退場して心の中で歓喜する。けれど喜んでばかりもいられない。この大会はまだ始まったばかりなのだから。
観客席に戻ると三人が出迎えてくれる。
「たった二週間であそこまで強くなるとは思わなかったわ。」
「ええ、随分と余裕そうだったしこのまま優勝でもしてみる?」
「そんなに簡単にかてるわけないだろ。勘弁してくれ。」
フィーの方を見ると瞳に確かな闘志を宿し、うんうんと首を縦に振り勝利を喜んでくれているようだった。
さて、ここからどう勝ち進もうか。




