剣魔大会
今日は待ちに待った剣魔大会だ。この大会はツァイス中央都市以外の市からも大会に参加している学校がいて、武術の部と魔法の部で分かれてトーナメント方式で優勝を競い合うものだ。魔族も参加はしているが、力も魔法も基本的に人より優れているのが常なので二人で戦うことになっているそうだ。まあ人間の学校に就学する魔族もかなり珍しいのだが。
「魔法の部―――学校」
観客席で長い時間待っているとようやく始まったらしい。早速内の学院と隣の市の学園が戦うことになったようだ。しかも相手はエルフの魔族。魔法に長けた魔族で風の魔法を使ってくると言われているが果たしてどう出るか。
「行ってくるよ。」
「それじゃあね。」
「ああ、頑張れよ楓、エクシィ。」
そう言って二人はリングの上に上がっていく。流石王国時代に建設された闘技場なだけあって観客席から二人の様子が鮮明に伺える。そうして審判が試合の合図をする。
エルフは早速と言わんばかりに詠唱を始める。そして二人の方を見てみると妹の楓の方は負けじと詠唱をしているが、エクシィの方は杖を構えるだけで何もしていない。これでは確かに遊ばれていると言われても仕方ない。
「あいつ遊んでるな。」
「ええ、そうね。」
ロメロードも戦いも方を見ているのかと思えば観客席の方に目が行っている。どうやら何かを探しているように見えるが一体何を...?
そんなことを考えているとリングの方から爆発音が聞こえ、そちらに目を向けるとエルフはボロボロになり倒れているのが見えた。そして審判はその様子を見届け二人の方に旗を挙げる。
楓はとても嬉しそうにはしゃいでいるが、エクシィの方はというと楓にハイタッチを求められ渋々と言った感じでハイタッチをしリングを去っていった。あの森での戦闘を間近に見た俺からみたらエクシィ本人はかなり退屈な戦いだっただろう。
そんなことを考えていると右腕が引っ張られている感覚に気が付く。そしてそちらの方に向くとフィーが服の袖を引っ張り何か言いたげな表情をしてこっちを見つめている。短い間柄だが言わなくても勿論分かる。ここに来たもう一つの理由。フィーの母を探すということ。
「ああ、わかってるよ。」
正直ここにフィーの母がいるとは思えないが同じ魔族からの目撃情報や同族の天使から足取りでも掴むことが出来れば今回は御の字といったところだろうか。
対戦表は貰っているので自分の出番がまだということは分かっている。次の試合まで少し時間が余っているから観客席を探してみよう。




