祖先の記したもの
気が付けば8月。私は魔王に関する書物を探すため久々に実家の方に出向いていた。風の魔法で空を飛び、迷魂の森を越え、氷血の領域と呼ばれるオリアトス山脈の麓まで来ていた。
ここはどこの国にも属さない危険地帯で、自然の脅威と魔物の襲撃に耐えながらここまでやってきた人はあの男以外いない。一度侵入されいているとはいえ禁書を隠すには持ってこいの場所だ。
家から2時間飛行し漸く実家にたどり着いたものはいいものの、やはり帰って来たのが数年ぶりなので庭は荒れ放題で思わずため息をついてしまう。掃除しなくてはと思いはするものの面倒でする気にもならない。とりあえず目的の方から先に片付けようと玄関と開けると予想通り埃がお出迎えしてくれる。流石にこんな状態で落ち着いて本など読めるわけもないので簡易的に掃除しようと決意する。
部屋の構造は家主なので当然知っている。まずは全ての扉と窓を開けて状態を確認した上で家具全てに魔法をかけていく。
「アンチマジック」
そうして全ての部屋の全ての家具の魔法耐性を付与したのでこれで準備は整った。要は溜まった埃を外に追い出せばいいのだから魔法の風でどうにかしようということ。初めてやるので上手くいくかどうかわからないが、まあこれも魔法の一つの使い方?
「トルネード...に、並列展開して全部屋割り当ててっと。」
しばらくして部屋を覗いてみるとある程度は綺麗になった事は確認できた。が固定してない一部の軽いのもが地面に散乱している。魔法とはこうも便利にならないものなのかと嘆いてしまう。
「はぁ、片付けは後でにしよ。」
そうして禁書庫の鍵を開け中に入る。そうしてあいつに盗まれた内の一冊を本棚にしまう。村雨君が見つけてくれた禁書がまさか学院にあるなんて思いもしなかったけど。中身も見てみたけど掠れて読めないのが大半で魔王に関する記述はなかった。内容的に恐らく初代の日記のようなものだろうが。
そこまで考えてあることに気が付いた。初代が付けた以外の日記もここにあったりしないかということだ。レミフェリアのように消えた大陸がある以上消された歴史もあるはず。それの情報を先祖が残してくれていたら。そう思い戻した本の近くの本から順に読んでいく。
「ん~これも違う。これでもないか。」
そうして1時間が経った頃気になる内容を見つけた。
『勇者と共に魔王を討伐しに行った義姉さんが勇者と一緒に帰ってこなかった。勇者に事情を聞いてみたはいいものの意味不明なことを言う。義姉さんが弱り切って瀕死の魔王と一緒に消えただって?いくら魔王とはいえ今まで使っていた異能を無視するなんて不可能。それでは今まで研究していたことを真っ向から否定してしまう。魔族の種類と魔王の眷属の異能の種類、それに伴う関係性。これが分かれば未来に起こる魔王復活の際にも必ず役に立てるというのに。』
私の先祖が研究していた資料。これがもしあるのなら各地に散らばって未だ生存している魔王の眷属の対策が取れるはず。これはもう少し片付けは後になりそうかな。




