不思議な生徒会長
あの後フィーを家に預かることになった。あの森での魔物の大量発生については、殆どが獣だったのに加えて後からやっていた獣人の僕という発言をしていたことを考慮してみれば、自然とあの獣人が魔王の眷属なのではないかという結論に至り、ロメロードもそれを報告。
エクシィの方はというと魔王の眷属について何か残されていないかとここ最近大量の禁書を読み漁っている。
そして俺はというと大会までまだ結構な時間があるので放課後、学院の道場の赴き鍛錬をしていた。
「六ノ型『月光』」
自分と相対する影の人を想像し抜刀と同時に切り抜ける。そして少しの静寂の後、背後から拍手が轟く。驚いた俺は振り返りその人物が誰なのか確認する。
メイド姿という遠目から分かるほど奇抜な恰好を前に怪訝に思ってしまう。
「素晴らしい型ですね。」
褒め言葉なのだろうが祖父の型を良く知っている俺は、こんな足運びと縮地も成っていない崩れた型では大会で勝ち進められないと自分を卑下してしまう。
「俺はまだまだです。」
「いいえ、貴方の立ち姿と型を見ればわかりますよ。貴方が何のために刀を振るっているのか。」
そう言いながらこちらに歩み寄って来た姿を見てこの人が誰なのか思い出す。
「生徒会長...俺に何の用ですか?」
「あ、その顔!さっき思い出したばっかりでしょう?私を忘れるなんて心外だわ。」
「すみません。」
「ふふ、いいわ。ここに来たのは見回り。時計を見てご覧なさいな。」
そう言われて時計を見る。もう授業が終わってここに来てから2時間が経っている。
「そろそろ閉門しますわよ。私はもう帰りますけど、戸締りはしっかりなさってくださいね?」
「は、はい。」
「それでは、御機嫌よう。」
初めて生徒会長と話したが、旧貴族とでも話しているような感じだった。あの口調も相まってやっぱりそうではないかと考えてしまうが、生徒会長の名はたしかメーリス・マイモント。フォンのような前置詞がない辺り貴族なはずがない。あの奇抜な恰好を考えると貴族のそういうのが好きなんだろう。
すると何かを思い出したかのようにこちらに振り返り話し出す。
「言い忘れていましたが、ロメロード嬢に例のものが完成しましたと伝えて下さる?」
「ああ分かった。」
「ふふ、それでは。またお会いできることを楽しみにしております。」
そういい去っていった。なんというか物語に出てきそうな淑女ではあるのだが、不思議なことに全くと言っていいほど隙がない。それで生徒会長の言う例のものってなんだろうか。なんとも謎の多い人物だなとそんなことを考えながら帰宅の準備を始めるのだった。




