禁書の記述
軽い雑談も交えながら遅めの晩飯を食べ終え、俺たちは本題の方へ移ろうとしていた。
「あれ、そういえばなんで兄さんは二人と一緒に家まで来たの?」
「ああ、それはー」
と言いかけたところでロメロードが口を開く。
「村雨君とはとある事件について調査を一緒にしていたのです。それで一度情報を整理しようということになりまして、村雨君が良かったら家で話さないか?と。」
「へぇ?兄さんが女の子を二人も呼んで?」
「うん、ちょっと語弊があるな。長話するには相応しい場所ではなかっただけだ。」
「ふ~ん、ホントかな?まあ夜も遅いし余り長時間話してちゃだめだよ?」
「ああ、分かってる。」
そう言い楓は寝室の方へ行ってしまった。
「さて、と。早速だけれど聞かせて貰えるから?箱庭の管理者について。」
「ああ、私が数年前故郷で暮らしていた時のこと。祖先が禁書を保管していた倉庫に賊が現れたの。私は何とか戦って勝てたけどその時には遅かった。賊のもう一人が戦っている間に禁書を盗み出してしまっていたの。そして去り際、『私は箱庭の管理者です』と言い消えてしまった。」
「まさか今日の戦闘も...!」
「ええ、私たちを注目させてその間に禁書庫に入りそのまま盗み出した可能性があるわ。」
確かにあの戦闘で俺たちはあいつに夢中になって禁書庫なんて頭の片隅にも置いていなかった。戦闘が終わった後もすぐに禁書庫に向かわず聖職者を呼んで事態の収拾をしていて、じっくりと探し物を探せたは
ずだ。あいつが言っていた人には過ぎたもの、それが一体何なのか彼女は知っていることだろう。
「それで、その箱庭の管理者がなんで禁書なんかを欲しがってるんだ?」
「それは...」
サークラリア先輩は俯いて次の言葉を出そうと考えこんでしまっている。禁書の中身が知りたいわけではないのにこの考えの様子を見ると禁書の中身がどれほどのものかと思ってしまう。
「故郷で盗まれた禁書の一部に今では失われた技術の全容について書かれたものもあります。その中には人体錬成、全てを破壊する制御不可の危険な兵器、神殺しについての記述もあります。」
「な!?」
「失われた技術、錬成....もしかして魔王によって消失した国家、レミフェリアの錬金術でしょうか?」
「ええ、あれは禁術に一番近いものでした。実際残っている書物には錬金術は神の叡智によってもたらされたと記述されいましたし。」
「まさか神が実在したっていうのか!?」
「それを裏付けるような記述もあります。中には元々この世界の人々はこの大地で生活していたが月に行きそして再び帰ってきた、なんて神話かおとぎ話のようなのもありますし。」
「何にしても危険な書物を目的もなく集めるだけっていうのは現実的ではないわね。もしかするとエリス教とかいう邪教より遥かに危険なことをしだす可能性すらあるわね。」
その言葉を聞いた彼女は苦虫でも嚙み潰したかのように顔を歪ませる。そして数秒の沈黙の後、サークラリア先輩は決心したように話し出す。
「まだ帰ってきていない禁書もあります。そこであなたたちの仕事の手伝いをしたいのです。」
「私としては人手が足りていないからありがたいわ。是非とも仲間に加わっていただきたいわね。」
「ホントですか!?今後ともよろしくです!!」
「ええ、よろしくサークラリアさん。」
「えっと、私のことはエクシィと呼んで頂戴。」
「じゃあ私もアルメラと呼んで。」
「ふふ、ありがと。特別にあんたもエクシィって呼んでいいわよ、というか先輩呼びやめて。」
「ああわかったよ。んじゃ俺のことは雫って...」
「あんたはあんたでいいわ。」
「なんでだよ!?」




