招待
戦闘が終わり緊張が解けるのかと思いきや別の緊張感が教会内を支配する。あの奇妙な出会いといいロメロードの仕事の事は他言無用なのは分かっているつもりだ。
しかし聖教の信者でもない上に関係者と夜に一緒にいるとなれば自然と答えは出て来るだろう。
「村雨君とは仕事での関係よ。」
まるで当たり前じゃないと言わんばかりの対応に思わず驚いてしまった。こうなっては隠す意味もないということだろうか。
「それより、箱庭の管理者と言ったかしら?さっきの不審者。色々と聞かせて欲しいのだけれど。」
「まあ待て。教会がこんなじゃ立って長話は辛いだろ?家に来て色々話せばいいんじゃないか?楓も他人の秘密を周りに言いふらすような性格じゃないし安心しろよ。」
「楓?まさかあの娘の?」
「え?何?」
「いいえ、こちらの話よ。それより、貴方の家でということだけど私は問題ないわ。」
「そうね。私の方も荒らされた教会で立ち話なんて落ち着かないもの。いいわ。」
二人の了承も取れて俺たちは教会を後にした。時間は夜11時前。この時間帯ともなると寝ている人が大半な上、夜遅くまで開けている店もないため外に出歩く人も殆どいない。
あの不審者がこの時間帯を狙って来たのも頷けるほどの静けさで、教会周辺は住宅もないため入口の爆破も知られる危険性もなかった。全く持って用意周到な奴である。
そうこう考えているともう家も前まで着いていた。通っている学院とは方向は違うが距離的には一緒くらいで何かあればロメロードがいるであろう教会まですぐに行ける。
とりあえず二人を家に上げ客間の扉を開こうとする。しかしこの時俺は緊張から解放されたという油断から客間の明かりがついているのを疑問にすら感じていなかった。そうして無心に扉を開き訪れた光景を前に血が引いていくのを感じた。
「随分と...遅かったですね、兄さん。」
普段の穏やかな雰囲気とは違い、満面の笑みを浮かべこちらを見る楓の瞳に光は宿っておらず、その表情を見た俺は悪寒を感じてしまった。そうして何て謝ろうか思考を巡らせていると、隣の部屋から漂う料理の匂いに気が付き少しずつ思考が冷静さを取り戻していく。
「遅くなるならちゃんと言って。」
「...はい、ごめんなさい。」
「ほら、向こうで座って食べよ?ってあれ後ろの人たちは?」
「ああ、ちょっとそこで一緒になってな。」
「へぇ?まあとりあえずアルメラさんも一緒に...ってエクシィさん!?」
「あ、あっぱり二位の人だったか。」




